著者・聞き手:鳥海 不二夫[とりうみ・ふじお](1976-) 計算社会科学、人工知能技術の社会応用。
企画・編集・取材協力:森岡知範(スタジオAK)
話し手:
松原 仁 (はこだて未来大学教授)
山田 誠二 (国立情報学研究所・総合研究大学院大学 教授)
松尾 豊 (東京大学特任准教授)
東中 竜一郎 (NTTメディアインテリジェンス研究所主任研究員)
羽生 善治 (棋士)
我妻 広明 (九州工業大学准教授)
山川 宏 (ドワンゴ人工知能研究所所長)
栗原 聡 (電気通信大学教授)
中島 秀之 (東京大学特任教授)
強いAI・弱いAI - 丸善出版 理工・医学・人文社会科学の専門書出版社
【目次】
まえがき [iii-vi]
目次 [vii-xi]
チューリングの手のひらの上で 001
話し手・松原仁
強いAIの出発点/ダートマス会議/ゲーデルの不完全性定理による反論/コンピューターに知能は持たれたくないという思想/西洋の思考と東洋の思考/マルチタスクをこなすための意識/意識と自意識、そして自我や心の定義/人間の自意識・自我の生成/AIは進化的に自我を発生させるのか、人が与えるのか/ディープラーニングではAIは自我に目覚めない/AIは直観力を持つのか/人を凌駕し始めたAI
次のブレークスルーのために 028
話し手・山田誠二
第三次ブームとガートナーのハイプ・サイクル/第二次ブームが残したもの/30年間の継続が実を結んだディープラーニング/第二次ブームと第三次ブームの違い/ディープラーニングだけがAIではない/ディープラーニングはいまどう利用されているのか/第三次ブームの終焉とは/シンギュラリティは誤解されている/数学的ブレークスルーが強いAIを生み出す/人間とAIの共生社会を目指して
強いAIの前に弱いAIでできること 053
話し手・松尾豊
ディープラーニングによるイノベーション/ディープラーニングに先を越された/シンボルは知能のターボエンジン/ディープラーニングにできることには限界があるが、その先にあるものが果てしない/ディープラーニングは強いAIそのものにはならない/片付けロボットが世界を革新する/世界のグーグルの強さ/強いAIについて議論するには早すぎる
汎用人工知能と真の対話エージェント 075
話し手・東中竜一郎
対話エージェントの黎明期、または二人の思い出話/対話エージェントの進化/オープンドメインへの挑戦/ソーシャルロボットの台頭/ジェミノイドとマツコロイド/難解な複数人での会は/まだまだ? 頑張っている? ペッパーくん/対話システムと倫理/AIが自律して思考し、話をするとき
人工知能が将棋を指したいと思う日 099
話し手・羽生善治
囲碁・将棋を襲うAIの波/AIの思考とプロ棋士の思考/人の思考とAIの思考の類似/将棋や囲碁のAIは意思を持つのか?/AIと人の違いは生物としての本能/AIには接待ゴルフはできない/AIが社会進出したときの問題/AIによる将棋の研究/創造性・人間らしさの獲得への道/強いAIは将棋を楽しめるのか?/人間のパートナーとしてのAI
脳・身体知から自動運転まで 124
話し手・我妻広明
脳科学と工学の融合/道具を使うサルと考えるAI/記号接地問題/記憶を扱うことの難しさ/海馬と認知地図/海馬では時間は圧縮されて記憶される/背景の概念/AIの苦手な気づき/物理的な拘束条件と身体知/工学とAIの融合/自動運転に必要なもの/セマンティック情報の活躍/運転にかかわる拘束条件とオントロジー/AIが公道を自動運転する日
全脳アーキテクチャ ――汎用人工知能の実現 157
話し手・山川宏
認知アーキテクチャから汎用人工知能へ/汎用性を実現するアプローチ/再利用しやすい知識を機械学習で獲得する/すでに汎用性を実現している脳に学ぶ/大脳新皮質、大脳基底核、海馬、小脳の機能/感情、情動は再現が難しい/NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ/人工知能の意識/人工知能が持つ自律性
大人のAI・子どものAI 190
話し手・栗原聡
大人のAI・子どものAI/ディープラーニングは子どものAIとなるか?/AIが持つ感情意思と汎用性/メタ思考を持つ脳と弱いAIの違い/身体性によって生まれる知能/シンギュラリティと強いAIがつくる未来/群知能とSFの世界/今後のAI技術の発展性
いまAIとは何か 219
話し手・中島秀之
アインシュタインからAIへ/伝説のAI勉強会AIUEO /AIに意識は宿るか? 中国語の部屋と足し算の部屋/哲学的ゾンビは人かゾンビか/分析的な学問と構成的な学問/メタ推論と強いAI/マルチエージェントなシステムで強いAI/「何でもあり」な自由意志の存在/環境に応じて勝つエージェントが決まる/夢の量子コンピューター/ソサエティ5.0/2022年グーグルが消える?
あとがき [252-257]
索引 [259-260]