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『「次の一手」はどう決まるか――棋士の直観と脳科学』(中谷裕教,伊藤毅志,勝又清和,川妻庸男,大熊健司 勁草書房 2018)

著者:中谷 裕教[なかたに・ひろのり](1973-)
著者:伊藤 毅志[いとう・たけし](1964-)
著者:勝又 清和[かつまた・きよかず](1969-)
著者:川妻 庸男[かわつま・つねお](1954-)
著者:大熊 健司[おおくま・けんじ](1946-)
装丁:吉田 憲二[よしだ・けんじ] 
NDC:491.371 中枢神経:脳・脊髄の生理,心理学的生理学
NDC:796 将棋


「次の一手」はどう決まるか - 株式会社 勁草書房


【目次】
口絵(3頁)
目次 [i-v]


第1章 思考の秘密を解く楽しみ 001
1 盤上に広がる思考研究の世界 001
2 「次の一手」を生み出す思考の不思議 003
3 棋士の思考の特徴 006
4 直観的判断の認知的メカニズム 008
5 「見る」ことの認知的な特徴と直観との共通性 014
6 直観的な思考に関する脳機能の仮説――小脳仮説 018
7 将棋を題材にした脳研究への期待 021
8 将棋思考プロセス研究プロジェクトの発足 024
9 研究プロジェクトの準備と将棋会館での予備実験 028
注 031


第2章 「次の一手」を生み出す脳機能解明へのアプローチ 033
1 将棋棋士の直観 033
2 尾状核――直観的な指し手の案出に関わる脳部位 038
3 楔前部――局面理解に関わる脳部位 042
4 楔前部と尾状核――将棋棋士の直観の神経回路局 045
5 駒の価値と役割――局面理解の手掛かり 047
  棋士の眼球運動――局面理解の際にどこを見ているのか
  駒の価値
  駒の価値と役割
6 局面理解の脳内情報処理過程 060
  棋士の脳はわずか0.2秒で定跡形に反応する
  二段階の情報処理
  局面認識のための脳内役割分担
7 残された課題 069
  小脳仮説の検証
  対局中の思考
  創造性に関わる直観
  将来への期待
注 074


第3章 将棋の認知科学的研究 075
1 ゲーム情報学から見た将棋 075
2 その他のゲームを題材とした認知研究 078
3 将棋における局面の記憶研究 080
4 将棋における次の一手実験 088
5 コンピュータの思考と人間の思考 091
6 将棋と囲碁の認知的な違いに関する研究 096
7 十分に強くなったコンピュータ将棋の利用 099


第4章 棋士の視点から読む将棋研究 107
1 将棋のルーツ 107
2 「読み」と「大局観」 108
3 プロ棋士の鍛錬方法 111
4 羽生世代が何故強いのか? 115
5 コンピュータ将棋 116
6 完全情報ゲームにおける人間とAIの対決 117
7 プロ棋士 VS. コンピュータ将棋 121
8 コンピュータが将棋を変える 124
9 プロ棋士の今後 130


第5章 コンピュータの夢 133
1 なぜ今AIなのか 134
  あこがれの器官 脳
  研究を始めた動機
  なぜ今AIなのか
2 AIは作れるのか 139
  コンピュータの進歩と夢の変遷
  AI研究の歴史
  AIは作れるのか
  人工生命とAI
  「弱いAI」と「強いAI」
3 AIと協調する未来 152
  AIへの期待、夢、恐れ
  冷たいAI
  成長できるAI
  優しいAI
4 最後に 159
注 161


第6章 ヒトを対象とした脳研究が向かう先 165
1 振り返って 165
2 マウスでなくヒトを研究対象とした脳研究 168
3 将棋を対象にして、直観を働かせる脳の働きに関する研究への期待 172
  詰将棋の視点から思う脳の不思議さ
  直観をてくのとサイエンスの違いから考える
  「記憶、意識、無意識」「創造力」と脳の関係


索引 [iii-v]
執筆者紹介 [i-ii]




【メモランダム】
 出版社サイトから執筆者略歴を転載。

中谷 裕教(なかたに ひろのり)
1973年生まれ。東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。東北大学大学院助手、理化学研究所脳科学総合研究センター研究員、ERATO岡ノ谷情動情報プロジェクト研究員を経て、現在は東京大学大学院総合文化研究科助教理化学研究所脳科学総合研究センター客員研究員。著書に『将棋と脳科学:脳を知る・創る・守る・育む』(分担執筆 2010、クバプロ)がある。


伊藤 毅志(いとう たけし)
1964年生まれ。名古屋大学工学研究科博士後期課程修了。工学博士(名古屋大学)。現在は電気通信大学大学院情報理工学研究科助教デジタルハリウッド大学客員教授。著書に『人間に勝つコンピュータ将棋の作り方』(共著 2012, 技術評論社)、『コンピュータ将棋の進歩6:プロ棋士に並ぶ』(分担執筆 2012、共立出版)、 『先を読む頭脳』(共著 2006、新潮社)等がある。


勝又 清和(かつまた きよかず)
1969年生まれ。将棋棋士・六段。東海大学理学部数学科卒業。著書に『新手ポカ妙手選』(振り飛車編 2013;居飛車編 2014、ともにマイナビ)、『実戦に役立つ詰め手筋』(2008、毎日コミュニケーションズ)等がある。


川妻 庸男(かわつま つねお)
1954年生まれ。東京工業大学工学部機械物理工学科卒業。富士通株式会社入社後、ネットワークサービス事業本部長, 執行役員常務、CTO&CIOを歴任。同社および富士通研究所において脳研究プロジェクトを発足させ自ら指揮。


大熊 健司(おおくま けんじ)
1946年生まれ。東京大学法学部卒業。旧科学技術庁に入省。文部科学省科学技術・学術政策局長、内閣府政策統括官、理化学研究所理事を経て、現在は公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団理事。


【関連書籍】
『先を読む頭脳』(羽生善治,松原仁,伊藤毅新潮文庫 2009//2006)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20091205/1460980033


『頭脳対決!棋士vs.コンピュータ』(田中徹,難波美帆 新潮文庫 2013//2011)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20151108/1461868840


『AIの衝撃――人工知能は人類の敵か』(小林雅一 講談社現代新書 2015)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20160428/1461868100


『強いAI・弱いAI ―― 研究者に聞く人工知能の実像』(鳥海不二夫 丸善出版 2017)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20180617/1528848107


『将棋と脳科学:脳を知る・創る・守る・育む』(クバプロ 2010)
https://www.kuba.jp/syoseki/detail.php?no=3260


『人間に勝つコンピュータ将棋の作り方』(コンピュータ将棋協会[監修] 技術評論社 2012)
https://gihyo.jp/book/2012/978-4-7741-5326-1


『コンピュータ将棋の進歩6:プロ棋士に並ぶ』(松原仁[編著] 共立出版 2012)
https://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320123212



【関連しない書籍】
『消えた戦法の謎――あの流行形はどこに!?』 (勝又清和 毎日コミュニケーションズ 2003//1995)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20110125/1295881200


『最新戦法の話』(勝又清和 浅川書房 2007)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20110301/1298905200


先崎学のすぐわかる現代将棋〈NHK将棋シリーズ〉』(先崎学, 北尾まどか NHK出版 2010)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20160402/1460521193




【本書に関連する記事など】 
日本経済新聞(2018年5月19日)掲載の書評。要登録。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30687320Y8A510C1MY7000/


・棋書ミシュラン。書評待ち。
http://rocky-and-hopper.sakura.ne.jp/Kisho-Michelin/326/978-4-326-29929-4.htm


遠山雄亮のファニースペース
 「将棋とAI」を知るためにおすすめの2冊+@
https://www.toyama-shogi.com/entry/20180816/1534410000


・2007年の記事。
 「理研富士通、将棋連盟が共同プロジェクトを開始 プロ棋士の小脳を研究して情報システムに活用」
https://www.atmarkit.co.jp/news/200708/03/shougi.html


・本家。
 理化学研究所 脳科学研究センター 将棋棋士の直観の脳科学的研究
https://bsi.riken.jp/shogi-project/
 ……プロジェクト紹介からコラムまで充実しているサイト。





【メモランダム】
・誤植@59頁3行目。本文における符号の間違い。図面の方は正確。
  ✕「黒枠で囲んだ3七の銀がどこに進むか」
  ○「黒枠で囲んだ3八の銀がどこに進むか」