著者:藤井 良広[ふじい・よしひろ] 金融論。
【目次】
はしがき [i-ii]
目次 [iii-vii]
第1章 日本の金融をどうみるか 001
1 金融・危機から再生、そしてバブル再燃? 002
激変する金融環境
金融NPOは“あだ花”か
何かが機能していない
2 金融NPOのルーツ 006
頼母子講の伝統と精神
わが家の場合
意志と知恵
3 営利金融と非営利金融 010
金融に求められる二つのリターン
非営利にこそ「知恵」が必要
米一九三三年証券法
銀行と金融NPOの「つなぎ」
加速する資金偏在
4 担い手は誰か 018
住民であり、借り手であり
団塊世代も担い手に
金利より社会性
「金融」を取り戻せ
第2章 広がるNPOバンク 023
1 住民自身の融資機関 024
銀行ではなく「バンク」
市民の「便法」
講から学ぶ
2 老舗格の行動派――未来バンク 028
出発は「郵貯批判」から
「エコバンク」がモデル
焦げ付きなし
特別担保提供融資
3 目指すは女性信用組合――女性・市民信用組合設立準備会(WCC) 035
女性向けバンクを
貸し手と借り手の相互信頼
4 「東京砂漠」でお金を活かす――-東京コミュニティパワーバンク 039
東京のど真ん中で
ともだち融資団
公開審査方式
5 行政との協働方式――北海道NPOバンク 043
道・市と二人三脚
三人四脚
融資判定表
出世払いも人づくりも
6 信濃の国で夢を応援―― NPO夢バンク 048
協調の長野方式
行政支援――融資と出資と
資金調達に奔走
7 地震被災地での資金循環を――新潟コミュニティ・バンク 053
始まりは「志」の投資から
困難を乗り越えて
じっくりと歩みを進める
8 アーティスト・パワー ―― APバンク 058
音楽家たちの参入
リアルなお金の使い方
自然エネと省エネと環境と
バンクバンドへの共鳴
9 若者も金融を主導する――コミュニティ・ユース・バンクmomo 064
「エコ貯金」が生みの親
「時間泥棒」から夢を取り戻す
お金の中央集権打破を
10 団塊世代中心で中小企業支援――愛知コミュニティ資源バンク 068
株式会社でNPO
日本版CRAにも奔走
毎月払いの出資金
地方の活力をどう引き出すか
第3章 多重債務者を救え 073
1 貸金業規制法改正のインパクト 074
灰色金利論議から波及
資産規制強化が重石に
政治決着で救われる
金融商品取引法でも
2 多重債務阻止の先駆者――日本共助組合 078
半世紀の歴史
「共助」の精神
神父が先導
教会に「お金」の窓口
激動にも直面
ラフォント神父の回想
3 もう一つの先駆者――岩手県消費者信用生活協同組合 086
花開いた信用生協方式
宮古事件で生まれた知恵
札束を積み上げる
金融機関との連携
4 首都の多重債務者救済を――生活サポート生協・東京 092
賛同から導入へ
資金調達は匿名組合方式で
血縁に代わる支援の輪は
5 広がる岩手方式――グリーンコープ生協ふくおかなど 097
生活が“分解”していく
ホームレス支援も
購買生協で初
雪深し青森
第4章 市民ファンドで起業支援 103
1 起業の夢にエール――市民バンク 104
バンクとファンドの狭間
バブル前に銀行を脱出
「エコバンク」の啓示
夢作文で会社を審査
2 女性起業家を特訓―― WWBジャパン 109
起業支援のスクール展開
公開起業オークション
3 地方のエンジェル――島根県民ファンド 112
みんなでエンジェルを
桃太郎モデル
団塊から若者まで
4 若者ベンチャー ――地域維新グループ 117
平成維新の志士たち
首相官邸に招待
「もったいない」運送
5 八つの起業ファンド 122
ファンドが促す若者と団塊の世代連携
カリスマ発明主婦を支援
年金生活宣言
6 NPOパワーで風車を回せ――自然エネルギー市民ファンド 126
風に込めた決意
原発反対から風車建設へ
匿名組合契約で資金調達
ウインド・ファームに挑戦
7 太陽が照る街――おひさま進歩エネルギー社 133
市ぐるみ太陽光発電
「おひさまファンド」の船出
地産地消のバイオマス起業
8 パイオ熱利用――備前グリーンエネルギー社 138
太陽と森のエネルギー
住民運動との協調
9 手づくりの医療機関債――中井生活経済研究所 141
母の死と医療への悔い
自主ルールで行政に先行する
債権証書も手づくり
総額貸付型と地域オープン型
地域医療の連携役も
病院職員向け債権
第5章 寄付で促す資金の還流 149
1 寄付文化は日本になじむか 150
寄付の効用
富者の篤志活動
寄付先進国・米国
2 マンション型寄付方式――大阪コミュニティ財団 154
大阪らしい社会貢献を探せ
多彩なメニュー
日本版ユナイテッド型
子孫のために木を植えよう
3 寄付による投票条例――寄付市場協会 161
ホームタウン・ドナー
第一号は泰阜〔やすおか〕村
障害者の海外旅行で賛否
一七番目は夕張市
非営利株式会社の設立
4 知恵と工夫の寄付活用――循環者ファンド 168
地域通貨との連携
銀行との協働
5 オンライン寄付―― NGOアリーナ、ガンバNPOなど 171
クリック一つで意志を送る
サイトの合従連衡も
つり銭型寄付から変化?
第6章 米英の金融NPOの担い手たち 175
1 米国の非営利金融活性化の政策 176
CRA制定までの道
格付け検査で合併に「NO」も
地域金融の担い手、CDFI
資金循環のメリーゴーラウンド
2 米CDF1の担い手たち――ボストン・コミュニティ・キャピタル(BCC) 182
ボストンの「下町再生」
個人資金が基盤
近隣のニーズを把握
3 NPOのインフラ整備――イリノイ・ファシリティーズ・ファンド(IFF)など 187
「風の街」の街づくり
学校債券発行をアレンジ
起業家向け技術支援も
4 世界の金融センターで――ノンプロフィット・ファイナンス・ファンド(NFF) 192
一〇六のCDFI
二つのボトムライン
5 米国モデルを「輸入」した英国 196
金融排除への挑戦
投融資免税策も
6 マイノリティ支援――フェア・ファイナンス 199
環境の前に貧困を
「年利一〇〇〇%」の高利貸し
一ポンド株主
7 多彩なCDFI活動―― GLEワンロンドンなど 204
開発会社のCSR
起業支援で助言者制度
CDFI輸入の先駆者
住宅エクイティ・スワップ
「不死鳥」なしで飛び続けられるか
銀行との連携
第7章 「銀行」になった金融NPO 211
1 コミュニティ・バンクの道 212
営利・非営利の統合へ
2 「三つの道」を目指す銀行――トリオドス銀行(オランダ) 213
ピンクの銀行本店
GFSの幹事役
マイクロ・ファイナンスに資金循環
3 資金の行き先が見える銀行―― GLS銀行(ドイツ) 217
シュタイナー運動が起源
「エコバンク」を救済合併
4 米コミュニティ・バンクのメッカ――ショアバンク(米国) 220
四人のシカゴ・マフィア
自助の意志を創り出す
大手銀行とも競う
クリントン大統領にインパクト
5 慈善を貫く営利銀行――チャリティ銀行(英国) 227
もう一つのメッカ
預金金利を自分で選ぶ
「慈善銀行」の問いかけ
おわりに――お金の巡りは社会を活かす 231
営利と非営利の金融をつなぐ制度設計を
民民連携の設計も
手探りの日本
監督行政と政策行政
金融NPO特区を
金融CSRで民民連携
団塊よ、核となれ!
金融NPO同士の連携も