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『グレート・スモーカー ――歴史を変えた愛煙家たち』(祥伝社新書編集部[編] 祥伝社新書 2006)

編者:祥伝社新書編集部[しょうでんしゃしんしょ・へんしゅうぶ]
著者:青羽 芳裕  読売新聞東京本社勤務。パイプ愛好家。
著者:大久保 雅夫(1954-)  財団法人たばこ総合研究センター 研究副部長。
著者:川床 邦夫(1943-)  農学博士。財団法人たばこ総合研究センター 特別研究員。
著者:竹石 健(1949-)  ジャーナリスト。有限会社 未来工房 代表。
著者:谷田 有史(1958-)  たばこと塩の博物館 主任学芸員。近世・近代たばこ産業史。
著者:並木 芳雄(1950-) 素性不明。たばこ関連の編著作がある。(過去の著作には専売公社の広報を経て、たばこ総合研究センターの研究員など。また、謎の“ユーモア集団「TABASCCO」所属"という謎の肩書が記載されている)
著者:林 由紀夫 雑誌(葉巻生活提案誌)HUMIDOR』編集長。元・CIGAR REPUBLIC 代表。
  ※以上の肩書はほぼ2006年当時の情報。
編集協力:エディテ一〇〇 
図版・頁デザイン:スタジオアイス
感想:軽めのアンソロジー。稚拙な喫煙擁護論がちょくちょく顔をのぞかせているので、それらを省いた方が本の完成度は高まったと思う。


グレート・スモーカー 祥伝社公式サイト


【目次】
はじめに(祥伝社新書編集部) [003]
目次 [004-009]


プロローグ――グレート・スモーカー誕生まで 011
  たばこに出会った最初のヨーロッパ人
  たばこの故郷、新大陸アメリカの人々
  儲け損なったコロンブス
  ヨーロッパ人の喫煙事始め
  「王妃の薬草」と呼ばれたたばこ
  イギリス人にはパイプが似合う
  兵士が広めたヨーロッパのたばこ
  たばこの日本伝来


第一章 紙巻たばこを愛した人々 023
紙巻たばこの歴史 024
紙巻たばこの種類 025


 「朝日」
夏目漱石 028
  漱石の紙巻、鴎外の葉巻
  漱石流たばことのつきあい方
寺田寅彦 032
  好みの銘柄は、師匠漱石と同じ
  意外なつながり
内田百閒 035
  幼稚園で喫煙していた、その理由


  「キャメル」
菊池寛 038
  着物も座布団もたばこの灰だらけ
  菊池寛のこだわり


  「ゴールデンバット
芥川龍之介 044
  時代を反映、芥川作品に登場するたばこ
  晩年、芥川が「バット」から「敷島」に変えた理由
徳川夢声 048
  二十歳でやっと覚えた酒とたばこ
  カツベンからラジオの世界へ
  たばこを一服、間合いの芸


  「敷島」
北原白秋 054
   「カルメン」の劇中歌「煙草のめのめ」
  妻は三回替わったが、たばこは常にかたわらに


  「ピース」
山本周五郎 058
  こだわりある『つむじ曲がり
  周五郎流の喫煙法
坂口安吾 062
  豪快な安吾には小さすぎた煙管
  オールスター「たばこキャスト」
小津安二郎 065
  小津作品とたばこ
  たばこぷかぷか


  「チェリー」
池波正太郎 072
  一晩で吸うたばこの本数
  「チェリー」が好き、だがパイプも葉巻も吸った
市川崑 076
  トレードマークの銜〔くわ〕えたばこ
  チェリー好き、だが浮気も止むなしあの時代


  「特別なたばこ」
明治天皇大正天皇 080
  皇室のたばこ
  両陛下の思い出
毛沢東 084
  毛沢東は中国史上、最大の盗賊
  自分専用のたばこをつくらせていた毛沢東
ジェームズ・ボンド 088
  ジェームズ・ボンドは六つの顔を持った
  007は特注たばこで紫煙をくゆらせた


第二章 葉巻を愛した人々 093
葉巻の歴史 094
現代に葉巻を広めた男 095


  「英断」
ウィンストン・チャーチル 098
  キューバ葉巻との出会い
  偉大な政治家チャーチルと、彼が好んだ特大葉巻
吉田茂 102
  世界の舞台で学んだ外交と葉巻
  首相吉田茂に届けられた、絶品の葉巻
  シンボルは葉巻と白足袋
J・F・ケネディ 107
  アメリカがキューバと通商停止をした背景
  アップマンの名をさらに高める


  「英雄」
フィデル・カストロ 112
  いろいろあったカストロ暗殺計画
  カストロの葉巻“コイーバ”と“トリニダー”
チェ・ゲバラ 116
  坂本龍馬を尊敬していたゲバラ
  たばこ党になったきっかけ/公的には葉巻、私的にはパイプ
グラント将軍 121
  葉巻と運命を共にした名将


  「自然」
アーネスト・ヘミングウェイ 124
  彼にシガレットを吸わせたという刻の悪戯もある
  葉巻を旨そうにくゆらせるほどのグレート・スモーカー?
  フィンカでは極めて限りなくゼロに近い彼の喫煙の指数だった
開高 健 130
  一番旨いたばこの吸い方を知っているか――


  「美」
森鴎外 134
  子どもたちが大好きだった父の葉巻
  葉巻が唯一の贅沢
團伊玖磨 138
  自分と向かい合う時間を演出する葉巻


  「筋肉」
アーノルド・シュワルツェネッガー 142
  アメリカンドリームを体現した男
力道山 145
  国民的ヒーローの葉巻
大錦卯一郎 148
  近代相撲の開祖と言われた横綱
  心身ともの強さを支えた葉巻


第三章 煙管〔きせる〕を愛した人々 153
刻みたばこの歴史 154
煙管の形と種類 156
刻みたばこのトップブランド 「国府たばこ」 158


五代目 古今亭志ん生 160
  持って生まれた天性のおかし味
  よくぞここまで。破天荒な噺家

八代目 桂文楽 164
  集めに集めた「たばこ入れ」
  女の不貞も芸に磨き上げた文楽

幸田露伴 170
  若者の“禁酒”を叱った露伴
  露伴先生から頂戴したたばこ

小泉八雲 176
  法螺貝を鳴らすのが煙管の火が消えた合図
  西洋風俗が嫌いだった八雲

樋口一葉 182
  一葉の作品に登場する女性とたばこ


第四章 パイプを愛した人々 187
  パイプの歴史 188
  パイプの種類と楽しみ方 189


石川欣一 192
  日本にパイプを広めたエッセイスト


ダグラス・マッカーサー 195
  一ドル六五セントのコーンパイプを愛用した臍天皇


フィンセント・ファン・ゴッホ 198
  死の床でもパイプを手放さなかった
  パイプは絵描きの分身である


シャーロック・ホームズ 203
  難事件解決の陰にパイプあり
  たばこの灰から犯人を捜し出す?


ウォルター・ローリー 208
  数々の伝説を残す宿命にあった男


ウィリアム・シェイクスピア 213
  同時代にオペラと歌舞伎が生まれた
  王が怖くてパイプを捨てたら


ポカホンタスとジョン・ロルフ 217
  ブッシュ大統領一族はポカホンタスの末裔?


エル・フマドール 222
  神はたばこを吸い、煙で大地を清めた
  神はたばこを吸い続けた


ちょっと一服コラム① ピース発売秘話 
ちょっと一服コラム② 映画のなかの葉巻 
ちょっと一服コラム③ マイ・ネーム イズ ニコチアナ・タバカム 
ちょっと一服コラム④ 歌舞伎役者と喫煙具 〜知らざぁいって聞かせやしょう〜 
ちょっと一服コラム⑤ 煙草は四匁女房が一匁 江戸時代のたばこ屋の看板と看板娘
ちょっと一服コラム⑥ 遊女と喫煙具〜ちょっと一服差しなんし〜
ちょっと一服コラム⑦ イギリスの青年外交官が見た日本のたばこ
ちょっと一服コラム⑧ 漫画に登場するパイプ
ちょっと一服コラム⑨ 北米先住民の神聖な喫煙具
(番外編)歴史のなかの嫌煙者たち 211
(番外編)もうひとつの楽しみたばこと切手 226


写真提供/参考文献 [234]
謝辞(二〇〇六年八月 ニコチアナ・タバカム) [235-236]





【抜き書き】

・誰かが何故か植物になりきって謝辞を書いている。
 おそらく謝辞を担当した「誰か」が、Richard Dawkins『利己的な遺伝子』を読んで感化されて、「人類は栽培植物の乗り物だったのだ!」というネタを思いつき、それを面白いと思って、実際に使ってしまったのかもしれない。
 句読点が官僚の作文かのように多いのも、「なろう系」のように改行ばかりの文章スタイルなのも、きっと非・常人さを演出するためだと思う。

   謝辞

 一四九二年、コロンブスが新大陸に到達したこの年は、私にとって転機となった。
 南米大陸ボリビアからアルゼンチンにまたがる山中で生まれ、インカ、マヤ、アステカなどの高度な文明を築いた人々によって、新大陸のあちこちで愛用されて暮らしてきた私が、それからわずか一〇〇年ほどの間に、世界中を巡ることになろうとは思いもかけないことであった。
 その後、私は、Nicotiana tabacumという世界で共通する学名をもらうこととなり、さらに時が過ぎた。
 現在、私の仲間であるたばこ属は、六六種が世界中で自生していることが確認され、また私自身の子孫は世界中で栽培されている。
 私は、これまで数え切れないほど多くの人々に出会ってきた。私を愛した人、憎んだ人――さまざまな人たちである。
 本書では、そのなかでもほんの一握りの人たち、たぶん読者の皆さんも名前を知っているだろうと思われる人たち、そんな人たちを主に紹介した。
 私との出会いをきっかけに、歴史に、文化に、思いを馳せていただけると幸いである。
 〔…中略…〕

  二〇〇六年八月 ニコチアナ・タバカム