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『本当のたばこの話をしよう――毒なのか薬なのか』(片野田耕太 日本評論社 2019)

著者:片野田 耕太[かたのだ・こうた] 国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計・総合解析研究部部長
件名:喫煙
件名:禁煙
NDLC:SC194
NDC:498.32 医学 >> 衛生学.公衆衛生.予防医学 >> 個人衛生.健康法 >> 禁煙.禁酒


本当のたばこの話をしよう|日本評論社


【目次】
はじめに [i-iii]
目次 [iv-viii]


  第1部 タバコを吸う人の話 001

第1章 タバコを吸っても長生きする人がいるのはなぜか 002
タバコが吸える=元気の証?
寿命=運?
タバコを吸っても平気な遺伝子?


第2章 タバコを吸う医者やスポーツ選手がいるのはなぜか 010
ストレス解消になる?
集中力向上?


第3章 百害あって一利なし、は本当か 017
タバコでなりにくくなる病気もある
コミュニケーションツール


第4章 それでもタバコを止めたほうがよい理由 022
ピンピンコロリ、太く短く生きる、の幻想
タバコを吸うと体の中で何が起こるか
依存症とは
発がん
血管への影響
肺への影響
タバコが引き起こす病気のリスト


第5章 禁煙で得られるもの、失うもの 036
タバコを止めると体の中で何が起こるか
高齢でも禁煙は間に合う
楽に、安く禁煙する方法
禁煙することで失うもの?
知ることで価値観も変わる


第6章 喫煙者のプライドと自我 046
喫煙=病気なのか
被害者扱いされたくない
上から目線への嫌悪 
「最後のたばこ」
知ることで価値観が変わる


  第2部 タバコを吸わない人の話 053

第1章 「受動喫煙の害は証明されていない」は本当か 054
日本人による世界初の報告
受動喫煙とは
平山論文
科学的な反論
社会的なバッシング
その後の科学的検証
実験研究も含めた検証
それでも「受動喫煙の害は証明されていない」?


第2章 本当にあった陰謀の話 067
受動喫煙はタバコ産業のアキレス腱
受動喫煙=他者危害
「いまだ証明されていない」という決まり文句
1950年代に編み出された戦略
「証明されていない→研究が必要」の無限ループ
受動喫煙の害をめぐるタバコ産業の猛攻
タバコ会社がタバコ研究の財団を作る
科学としての一線を超える


第3章 タバコ産業の研究不正 082
「日本人配偶者研究」(Japanese Spousal Study)
タバコ産業のトータルプロデュース
「根本的な問題」のある論文
研究者に知らせずに出版
研究者側の執念の反論
ヨーロッパでのタバコ産業の干渉
米国、そして日本でも
内部文書が明らかにした歴史


第4章 持たざる者の逆襲——訴訟 099
飲食店を訴える――スタローン対マクドナルド訴訟
雇い主を訴える――マガウ対ミドルタウン教育委員会訴訟
タバコ会社を訴える――ブロイン対タバコ会社訴訟
米国訴訟史上最高の賠償額――州政府による医療費請求訴訟
日本の裁判はタバコ産業寄り
日本のタバコ会社を訴えた裁判
科学と法廷での闘いから社会のルールへ


  第3部 社会全体の話 121

第1章 世界中で公共の場所が禁煙になっているわけ 122
タバコ対策のために条約を作る
科学に基づいて作られた条約
条約のメニュー
分煙ではだめなのか
法律を作ると病気が減る
アジア諸国でも屋内は禁煙
未成年者が同乗する車も禁煙


第2章 われらがガラパゴス、日本 137
屋外で吸えない
市民の声
やけどのわかりやすさと肺がんのわかりやすさ
路上のもつ公共性
反対勢力が少ない
屋外を禁煙にしたツケ
タバコ産業の思惑どおり
「客が選べればよい」の怖さ


第3章 ガラパゴス日本の法改正 その顛末 152
「改正健康増進法」の成立
すべては東京五輪から始まった
タバコフリー(タバコのない)オリンピック
日本はすべて努力義務
オリンピックをきっかけに健康増進法を改正する
「タバコ白書」の公表
安倍総理の答弁
「たたき台」の公表
業界団体のヒアリング
自民党による袋だたき
「たたき台」の変更
「タバコ議連」の対案
塩崎大臣の直談判と場外乱闘
小池劇場
衆議院選挙、財務省主導へ
大幅緩和の報道と「新厚労省案」
閣議決定と国会での場外乱闘
署名活動
根深い社会構造


第4章 お金がモノを言う社会 174
タバコの税収=年2兆円
JT筆頭株主財務大臣
役員報酬天下り
広告料、テレビのスポンサー
タバコ産業の「健全な発展」
アリと象の闘い
みんなが少しずつタバコに依存している


第5章 タバコのこれから 187
タバコ税を健康のために使う
計画的にタバコのない社会(Tobacco-free)を目指す
タバコを薬物として規制する――米国の例
ハーム・リダクション――害をなくすより減らす
新型タバコの登場
加熱式タバコでハーム・リダクション?
「低タールタバコ」での前科
タバコ産業の本気度―― 1兆円を投じた研究財団
研究費という毒まんじゅう
科学雑誌のささやかな抵抗――投稿受付禁止
タバコ対策関係者の踏ん張りどころ
正解のない問題にどう対峙するか


おわりに(2019年 1月21日 片野田耕太) [217-219]
注と参考文献 [1-9] ([221-229])




【関連記事】

『不健康は悪なのか――健康をモラル化する世界』(Jonathan M. Metzl & Anna Kirkland編 細澤仁ほか訳 みすず書房 2015//2010)
 特に、Richard Kleinによる「第2章 健康とは何なのだろう? そして、どうしたら健康になれるのだろう?」を参照。