著者:一ノ瀬 俊也[いちのせ・としや] (1971-) 日本近現代史(軍事史・社会史)。
解説:吉田 裕[よしだ・ゆたか] (1954-) 日本近現代史。
カバー装幀:柳沼 博雅[やぎぬま・ひろまさ] グラフィックデザイナー。GOAT代表。
カバー写真:(著者提供)
NDC:392.1 軍事 >> 軍事史・事情
朝日新聞出版 最新刊行物:文庫:軍隊マニュアルで読む日本近現代史
【目次】
はじめに [003-011]
目次 [013-017]
第一章 軍隊「マニュアル」の出現――明治一〇年代〜日清戦争期 021
徴兵令の通俗解説書
教科書による兵士教育
徴兵正当化の論理
①ナショナリズムの涵養
②なぜ軍隊は必要なのか
③兵営の世界
④兵役は「血税」
「なぜ徴兵が名誉、なことであるか」を説く
軍隊は人生学校?
兵士が「書くべき」手紙――「軍人文範」の登場
兵士を称揚する社会――「式辞挨拶模範」の出現
日清戦争と弔辞「マニュアル」
国家の命運と自己のそれの一体視
【コラム1】兵士の一日 065
第二章 発達・多様化する「マニュアル」――日露戦争期 067
英露に対する敵懷心の昂揚
「精神主義」のはじまり
朝鮮人に対する根深い猜疑心
海軍軍人専用の手紙「マニュアル」
「徴兵忌避」の禁忌を浸透させるしかけ
兵士にとっての法律問題
後顧の憂いなく戦いに集中するために
「慰問状」とその返事の模範文
戦場での死をどのように受容するか
戦争の「目標点」が明確だった時代
「捕虜=禁忌」という観念
ロシア兵捕虜へ向けられたまなざし
社会の輸重兵観/屈辱的な講和条件を受け入れた真相
“将来の潜在的敵”アメリカ
【コラム2】兵士の給料 115
第三章 平和な時代の「マニュアル」――日露戦後〜大正期 117
なぜロシアに勝てたのか?
「捕虜になるくらいなら死ね」
負傷した戦友はどう扱うべきか
裏マニュアル・で処世術を説く
「最後に物をいうのは学力」
在郷軍人用「マニュアル」の登場
社会的イメージを気にしはじめた軍
入営準備「講義録」
「父兄は兵士に送金すべからず」
兵士の食事は悪くない
作文を投稿する兵士たち――「軍人文集」の世界
作文を書くことで体制に順応していく
平和な時代における、軍隊の存在意義
「軍隊=楽なところ」というイメージの流布
総力戦思想を「マニュアル」はどう説明したか
精神力重視主義の合理化
兵士自ら入営「マニュアル」を作成
式辞「マニュアル」のなかの戦争
平和を謳歌した時期に登場した「玉砕」の語
【コラム3】兵士の死と遺骨 181
第四章 どろ沼の戦争と「マニュアル」―日中・太平洋戦争期 183
日露戦争を継承した昭和の戦争に対する考え方
なぜアメリカと戦争をしなければならないのか
戦争に勝つ見込みはどう説明されていたのか
日中戦争と慰問文「マニュアル」の登場
日中戦争を世界戦争の一部ととらえる認識
迷走する敵愾心の矛先
あるべき銃後の女性像/凱旋のない戦争
遺書「マニュアル」の出現
おわりに [213-218]
あとがき(平成一六年六月 一ノ瀬俊也) [219-220]
文庫版あとがき(令和二年一二月 一ノ瀬俊也) [221-223]
参考文献 [224-226]
解説(吉田裕) [227-233]