contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由』(清水勝彦 日経BP 2016)

著者:清水 勝彦[しみず・かつひこ] 経営学(経営戦略など)。
装幀:水戸部 功[みとべ・いさお] 装幀。
NDC:336 経営管理


日経BP Shop|お探しの商品が見つかりません


【目次】
まえがき(2016年4月 清水勝彦) [003-007]
目次 [008-014]


第1部 書籍篇 


第1章 なぜわが社は「何億円もの失敗」より「タクシー代」にうるさいのか? 017
――C.N.パーキンソン『パーキンソンの法則』 
  巨額の資金取引の意思決定(High Finance)
  人選の法則
  パーキンソンの法則:ピラミッドが大きくなる理由
  「好き」の反対は?


第2章 攻撃は最大の防御 033
―― Randall Stross『Yコンビネーター』
  大企業の経営層にも示唆に富むスタートアップの視点
  信頼を培う直接のコミュニケーション
  「働く」
  競争相手が多い市場ほどチャンスがある
  金鉱掘りにツルハシを売れ
  「バットを振り続ける」ことと「驚き」
  経営者として忘れてはならない「不安」と「自信」
  stay hungry, stay foolish


第3章 「満足度調査で5点満点中4・5点」ではイマイチな理由 053
――谷岡一郎『データはウソをつく』
  「事実」vs.「見たいもの」
  「事実」と「一部の事実」の大きな違い
  「定義」や「言葉」で「事実」は変わる
  陥りやすい因果関係の誤解


第4章 人材教育における「教」と「育」の本質的違い 069
――西堀榮三郎『ものづくり道』『石橋を叩けば渡れない』
  創造性と「切迫感」「知識」「執念」
  創造に取り組む勇気を育む
  組織の目的がなぜ共有されないか
  共通の目的が多様性を組織力につなげる
  三種類の議論と終わり方
  リーダーシップ1:自主性
  リーダーシップ2:陰ながら見守る
  リーダーシップ3:楽観と細心
  リーダーシップ4:幅役〔はばやく〕
  日本的なものへのこだわり


第5章 部下を「指導」してつぶしていないか? 097
――河合隼雄心理療法序説』『カウンセリングを語る』
  カウンセラーやコンサルタントの本当の役割とは?
  「教育」の2つの意味
  因果律のワナ


第6章 40年前に語られた日本のグローバル化の課題 121
――中根千枝『適応の条件』
  グローバル化日本食
  日本人の「自信観」
  「自信」とは何か
  コミュニケーションと信頼
  デジタルな日本人
  グローバル化ダイバーシティーの共通点
  「観念的自信」の限界
  ウチとソト:本社と現地
  外国語にどう向き合うか
  次の40年に向けて


第7章 リーダーシップは自分の中にしかない 147
――増田弥生/金井壽宏『リーダーは自然体』
  自分の価値とは何か?
  「英語という壁」の本質
  自分(のアイデンティティ)をよく知る
  行動と実践と振り返り


第8章 「自分で気づく」から自分を変えられる 165
――野村克也『負けかたの極意』『そなえ』
  「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
  短所を長所を消してしまう
  人間の最大の悪、それは鈍感である
  ほめられているうちは半人前と自覚せよ
  正しい努力をせよ
  言葉を身につけよ
  再び、「攻撃は最大の防御」


第2部 論文篇 


第1章 あなたの会社が理不尽な理由――組織の不合理さを説明する「制度派理論」 191
・Meyer, J., & Rowan, B. 1977. Institutionalized organizations: Formal structure as myth and ceremony. American Journal of Sociology.
・DiMaggio, P.J. & Powell, W.W. 1983. The iron cage revisited: Institutional isomorphism and collective rationality in organizational fields. American Sociological Review
  「なぜ多くの組織は似通っているのだろう?」
  経済合理性を超えて
  同質化の3つのメカニズム
  正当性と経済効率的さの対立とdecoupling
  「自身と誠実の論理(the logic of confidence and good faith)」
  「理由のある理不尽」と「理由のない理不尽」
  難しいから差別化につながる
  合理性偏重を見直すビジネススクール
  経営学は「答え」を出す学問ではない
  「経営学」「理論」の本当の力


第2章 「正しい」からではなく「interesting」だから心に残る――大学教授必読の論文「That's Interesting!」 213
・Davis, M. S. 1971. That's Interesting! Philosophy of Social Science.
  経営学とデータ
  古い真理を否定する
  interestingな仮説・理論のパターン
  どのような前提を持っているかを理解すること
  「社長、それは無理です」と思ったらどうするか
  唯一の方法は「weakly held assumption」を考えること
  リーダーへの示唆


第3章 「戦略バカ」で日本に負けた欧米企業 ―― MBAの古典的論文「ストラテジック・インテント」 231
・Hamel, G., & Prahalad, C.K. 1989. Strategic Intent. Harvard Business Review.
  「5フォース分析」
  ストラテジック・インテントとは何か
  社員に浸透しなければ意味がない
  「社員を信じる」ことが前提
  会社の問題を自分の問題として考えられるか?
  社員の潜在能力には無限の可能性がある
  コミュニケーションの重要性
  「ユニーク」「オンリーワン」の勘違い
  日本企業の潜在力は目覚めるか


第4章 「ワクワクするビジョン」のパラドックス――経営とはジレンマへの挑戦 253
・Garud, R., Schildt, H.A., & Lant, T.K. 2014. Entrepreneurial storytelling, future expectations, and the paradox of legitimacy. Organization Science.
・Quinn, J.B. 1980. Strategies for Change: Logical Incrementalism.
  レジティマシー(regitimacy)とは
  コミットメントとは期待の裏返し
  パラドックス1:夢ばかり語ってお金(投資家)が集まらない
  パラドックス2:期待が高まるほど失敗のリスクが高まる
  パラドックス3:期待を高め社会的信用を獲得するための「関連付け」は「逆噴射」の可能性を高める
  パラドックスへの対処策1:アナロジーを使う
  パラドックスへの対処策2:下手な言い訳をしない
  パラドックスへの対処策3:期待を再定義する
  ビジョンと現実のジレンマにどう立ち向かうか
  明確な戦略こそが大切 vs. 実行こそが大切
  ビジョンと現実のバランスを求める「ロジカル・インクリメンタリズム」
  身近にあるゴールとプロセスのジレンマ
  さじ加減
  サイバーエージェントの人事制度
  「実行」があるから「さじ加減」ができる


第5章 意思決定のスピードを決める意外な要因――シリコンバレー企業の勝因と敗因 277
・Eisenhardt, K. M. 1989. Making fast strategic decisions in high-velocity environments Academy of Management Journal.
   That's Interesting!
  意思決定スピードと業績
  日本企業へ示唆


第6章 「分析」で人間組織は動かない――ポーター理論への痛烈なアンチテーゼ 299
・Mintzberg, H. 1994. The fall and rise of strategic planning, Harvard Business Review.
  戦略プランニング(strategic planning)と戦略思考(strategic thinking)
  分析の限界と日本企業
  プランニングの3つの誤解
  リーダーは戦略スタッフを使いきれているか?
  戦略プランニングの本当の役割
  組織と人間と言葉


第7章 「知識」がないから失敗するのではない――失敗から学ぶための質問は「Why」ではなく「How」 317
・McGrath, R. 2011. Failing by design. Harvard Business Review.
・Schoemaker P.J. H. & Gunther, R.E. 2006. The wisdom of deliberate mistakes. Harvard Business Review.
  「失敗」から学んでいるか?
  アトリビューション・バイアス
  役員会議事録は「宝の山」というアイロニー
  「失敗せずに成功はできない」という前提
  わざわざ失敗することが必要な4つの理由
  「失敗から学ぶ」ことの本質
  失敗するのは「知識」が足りないからではない


第8章 50年前のアメリカ企業の失敗の轍をより深く踏む日本企業――「グローバル・マインドセット」とは何か 349
・Perlmutter, H. 1969. The tortuous evolution of the multinational corporation. Columbia Journal of World Business.
  1969年に始まった「グローバルマインドセット」論
  ジオセントリックのプラスとマイナス
  「Window Dressing(見せかけ)」をする企業
  50年前に指摘された原点を見直す


第9章 いまどき5年計画をつくっているのは旧ソ連くらい?――不確実性に対する「リーン・スタートアップ」という考え方 361
・Blank, S. 2013. Why the lean start-up changes everything. Harvard Business Review.
・Eric Ries, 2011 The Lean Startup: How Constant Innovation Creates Radically Successful Businesses.
  新規事業参入という「振り子」
  上がる新規事業の難度
  専門家の予想は当たらない
  不確実性への挑戦
  新規事業に参入する「前提」とは何か?
  新規事業にとって計画や分析は必要十分条件ではない
  脅威をチャンスに変える方法論
  Minimum Viable Product(MVP)
  顧客からのフィードバック(実験)
  仮説検証と学習
  ビジネススクールと経営者(候補)への示唆


第10章 そもそも「取締役」ってなんだろう?――コーポレートガバナンスの本質を考える 387
・Withers, M.C., Hillman, A.J., & Cannella, A.A. 2012. A multidisciplinary review of the director selection literature. Journal of Management.
  コーポレートガバナンスとは
  取締役の役割
  見逃されている「リスクテイク」の重要性
  取締役はどのように選ばれるのか?
  アメリカでの取締役の選定は必ずしも「合理的」ではない
  「解決策」としての取締役論議
  「一般論ガバナンス」の限界
  日本のガバナンス議論の「問題」


第11章 なぜ愛は急に失われるのか?――本来ポジティブなのにネガティブにひかれる人間の性 417
・Cameron, K.S. 2008. Paradox in positive organizational change. The Journal of Applied Behavioral Science.
  ポジティブバイアス
  ポジティブバイアスの背景にあるネガティブへの恐れ
  ポジティブの潜在力
  Uncertainty and Managementとポジティブ
  「社内」が意識されないというもう一つのパラドックス


第12章 インドで考えた組織的コミュニケーション――国際化、IT化が迫る原点の再考 433
・Zhao, Z. J., & Anand, J. 2013. Beyond boundary spanners: The 'collective bridge as an efficient interunit structure for transferring collective knowledge. Strategic Management Journal .
  ITと組織的コミュニケーション
  中身がすごくても共有できなければ持ち腐れ
  ビジョンは「単純知識」ではない
  組織的コミュニケーション再考


まとめにかえて 449
この本を読んで「行進したい気持ち」になりましたか? 451
 ――藤沢周平『風の果て』
  「ふつう」だから飽きない
  家柄や育ちは侮れない
  お金の使い方、生かし方
  「現場主義」と本当に言えるか?
  もう一度「酔っぱらいのジレンマ」
  「いい気」になっていないか?


奥付 [471]