著者:木村 俊介[きむら・しゅんすけ](1977-) インタビュアー。
[interviewee]
鈴木 智彦[すずき・ともひこ](1966-) フリーライター
出井 康博[いで・やすひろ](1965-) ジャーナリスト
栗原 俊雄[くりはら・としお](1967-) 毎日新聞学芸部記者
加藤 弘士[かとう・ひろし](1973-) スポーツ報知プロ野球担当記者。173cm、61kg、右投右打。
本田 由紀[ほんだ・ゆき](1964-) 教育社会学者
阿部 彩[あべ・あや](1964-) 貧困問題研究者
本田 美和子[ほんだ・みわこ](1965-) 内科医
浅川 芳裕[あさかわ・よしひろ](1974-) 雑誌編集者、農業アドバイザー
佐々木 融[ささき・とおる](1967-) 為替ストラテジスト
渡辺 靖[わたなべ・やすし](1967-) 文化人類学者
佐藤 克文[さとう・かつふみ](1967-) 海洋生物学者
中田 亨[なかた・とおる](1972-) ヒューマンエラー研究者
宮川 淳一[みやがわ・じゅんいち](1954-) 航空機開発者
淵邊 善彦[ふちべ・よしひこ](1964-) 弁護士
高木 慶子[たかぎ・よしこ](1937-) 悲嘆ケアワーカー
北村 明子[きたむら・あきこ](1947-) 演劇プロデューサー(有)シス・カンパニー代表取締役
野村 萬斎[のむら・まんさい](1966-) 狂言師
国広 正[くにひろ・ただし](1955-) 弁護士
萱野 稔人[かやの・としひと](1970-) 哲学者(政治哲学)。コメンテーター
田島 隆[たじま・たかし](1968-) 漫画家
東風 孝広[こち・たかひろ](1972-) 漫画家
NDC:002.7 研究法.調査法
NHK出版新書 387 「調べる」論 しつこさで壁を破った20人 | NHK出版
【簡易目次】
第一章 調査取材で、一次資料にあたる
「一次情報を、引いた視点で集めたくて」 鈴木智彦
「選挙活動って、やっぱりいやなものでしたよね」 出井康博
「罪深い取材をするからには,まっとうなものを書きたい」 栗原俊雄
「一五分間で一〇〇〇字を書かなければならない時もある仕事です」 加藤弘士
第二章 「世間の誤解」と「現実の状況」の隙間を埋める
「現実の解決策は、面倒な作業の後にしか見つからない」 本田由紀
「少し前まで、日本に貧困は『ない』とされていたんです」 阿部彩
「情報の流通が、病気への誤解を深める場合もある」 本田美和子
「本当の話は、何回言っても嘘にならない」 浅川芳裕
第三章 膨大なデータや現実をどう解釈するか
「流れに逆らうと、非効率的なお金の使い方になる」 佐々木 融
「調査は、降りてくる瞬間に一気にまとまるもの」 渡辺 靖
「世界初の調査ができても、意味を捉えるのが難しい」 佐藤克文
「私の役目は、企業が改革を進めるための触媒です」 中田 亨
第四章 新しいサービスや市場を開拓する
「営業の業務を調べなければならなかった」 宮川淳一
「M&Aの仕事って、結構、人間臭いですよ」 淵邊善彦
「人の話は、評価しながら聞いてはならない」 高木慶子
「業界の常識を調べ、別の常識を作り上げた」 北村明子
第五章 自分自身の可能性を調べて発見する
「過去を調べなければ、美しさは生まれない」 野村萬斎
「同じ方針を取り続けたら、時代の変化がよくわかりました」 国広 正
「知性の本質は、アウトプットに宿るもの」 萱野稔人
「調査や経験を、作品にまで高めるために」 田島 隆・東風孝広
【目次】
はじめに [003-008]
目次 [009-014]
第一章 調査取材で、一次資料にあたる 015
「一次情報を、引いた視点で集めたくて」 鈴木智彦 フリーライター 017
一次情報を丹念に集め、直に見たものを書いている人が少なくて
「型通り」でない取材は危険だけど、それをアウトプットしなければ
抗議は、取材のきっかけにもなる
「選挙活動って、やっぱりいやなものでしたよね」 出井康博 ジャーナリスト 026
選挙取材で痛感したのは、簡単に勝負が決まりすぎる現実
残念ながら、日本社会の人材の層は薄いとわかった
潜入取材の結論は「こんなのでいいのか?」
大物政治家にも、必要な情報が吸い上げられていない?
「罪深い取材をするからには,まっとうなものを書きたい」 栗原俊雄 毎日新聞学芸部記者 038
インプットで気づいた「歴史と現在の接点」
調査の対象と距離があるからこそ、知りたい、伝えたい
「聞き倒す」「裏を取り、取捨選択を行う」という方針
「一五分間で一〇〇〇字を書かなければならない時もある仕事です」 加藤弘士 スポーツ報知プロ野球担当記者 048
野村克也元監督に教わった、言葉のエンターテイメント性
ぼくらの仕事は、すべてのスポーツ報道の「はじめの一歩」になる
書いていいこと、いけないことの境界線を探るのも記者の仕事
スポーツ記者の「現役選手」でいられるうちは、ガツガツ行きたい
第二章 「世間の誤解」と「現実の状況」の隙間を埋める 059
「現実の解決策は、面倒な作業の後にしか見つからない」 本田由紀 教育社会学者 061
若者をめぐる年長者のためのお喋りはやめよう
言論活動を続けるほど、四面楚歌になってしまうところも
研究で得た専門性は、私自身を助けてくれた
「少し前まで、日本に貧困は『ない』とされていたんです」 阿部彩 貧困問題研究者 071
「あの日本人の女の子」ではなく、阿部彩として仕事をしたい
「貧困という現実を見て見ぬフリする日本人」にショックを受けて
現実を数字というデータで見せなければ、「なかったこと」にされてしまう
政府を変えることより、世論を変えることのほうが難しい
「情報の流通が、病気への誤解を深める場合もある」 本田美和子 内科医 081
少ない情報をもとにした議論は、患者と世間の溝を深めかねない
初診の目的は「話を聞き相談に乗ること」
社会を意識せざるを得ない、HIVという病気
内科医の必須条件は「親切で正直であること」
「本当の話は、何回言っても嘘にならない」 浅川芳裕 雑誌編集者 089
産業の成長する可能性を奪ってはいけない
調査の原点は、紛争地帯で情報屋をしていた体験
事実に近づかないで事実っぽく書いているものが、世の中に溢れている
第三章 膨大なデータや現実をどう解釈するか 099
「流れに逆らうと、非効率的なお金の使い方になる」 佐々木 融 為替ストラテジスト 101
流れに逆らうのは非効率
様々な事実を立体的に見ていく
現実が間違っているということはない
「調査は、降りてくる瞬間に一気にまとまるもの」 渡辺 靖 文化人類学者 110
現場に行かなければわからないことがある
現場では、事前の膨大なインプットをすべて忘れるべき
アウトプットには「ザ・モーメント」というものがある
「世界初の調査ができても、意味を捉えるのが難しい」 佐藤克文 海洋生物学者 117
教科書で習ったこととデータが違う?
ひるまないでデータを取りまくる
データを「取る」からデータが「わかる」へ
伝わらなければ「発見」も認めてもらえない
研究の未開拓地に入っていくには、新しい道具、新しい仲間が必要
「新しい道具」が「新しい調査」を生み出す
調査者の後半生の仕事は「後進を集めること」ではないだろうか
「私の役目は、企業が改革を進めるための触媒です」 中田 亨 ヒューマンエラー研究者 135
実名発表しづらいミスの研究
「ミス」を「不確かさ」として捉え直す
システムの遅れが産む宿命的なミス
第四章 新しいサービスや市場を開拓する 149
「営業の業務を調べなければならなかった」 宮川淳一 航空機開発者 151
もともと開発が大好きだった
「定時運航できる技術」で信頼を獲得する
「M&Aの仕事って、結構、人間臭いですよ」 淵邊善彦 弁護士 161
「外」から自分の国と仕事を見る
案件は突然来るもので
M&Aのやりとりに関わることで、日本経済を活性化させたい
「人の話は、評価しながら聞いてはならない」 高木慶子 悲嘆ケアワーカー 175
「神秘を受けとめる」のが悲しみのケア
なぜ、人の心を開くことができるのか?
「業界の常識を調べ、別の常識を作り上げた」 北村明子 演劇プロデューサー 183
テレビに、映画に、役者を売り込む
チケットを売る方法は、足を使って調べた
トラブルに備えて現場にいてこそプロデューサー
役者の新境地を開拓する
第五章 自分自身の可能性を調べて発見する 195
「過去を調べなければ、美しさは生まれない」 野村萬斎 狂言師 197
身体の発散には抑圧が必要だった
「自分」を消しつつ、人間そのものが問われる自覚を持つ
狂言の外の世界で狂言を活かしたい
「同じ方針を取り続けたら、時代の変化がよくわかりました」 国広 正 弁護士 206
「小さな正義」を重んじる姿勢は、訴訟大国アメリカでできた
ひとつのスタンスを守ることで潮目が見える
「知性の本質は、アウトプットに宿るもの」 萱野稔人 哲学者 214
日本の知識人や研究者予備軍は、言葉と行動が矛盾している
言葉を使って他の分野の人と話をするのが哲学
言葉によるアウトプットが、自分の考えを明確にしてくれる
「調査や経験を、作品にまで高めるために」 田島 隆・東風孝広 漫画家 222
終章 インタビューを使って調べるということ 243
人の肉声を使って歴史を記録する 245
スタッズ・ターケル氏がインタビューで追いかけた「口述の歴史」
取材は、人生そのものを崩壊させてしまうこともある
カポーティ氏がノンフィクションに見出した「潜在的な可能性の大きさ」
「偉そう」でないのが、聞き書きの魅力 253
「弱い立場の取材者」だから捕まえられるもの
インタビューの声の流れを滞らせるのは「俺は偉い」という前提条件
「ほんとうの話」がしたくて 258
インタビューで「ほんとうの話」がしたくて
取材現場で、直に聞いた言葉から伝わってきたこと
インタビューを用いれば「普通の人々の肖像」を描くことができるのではないか?
準備、取材、執筆にとにかく時間をかけるということ
インタビューは個人的な「密室」と「密室」をつなぎ、共鳴させるものである
過去を解釈するということは、「やり直しの繰り返し」である
おわりに(二〇一ニ年八月 木村俊介) [276-277]
初出一覧 [278]
【抜き書き】
・初出について。
本書は以下の連載記事をもとに、大幅に加筆、修正を加えました。
●「文藝春秋」(文藝春秋)「『新書』に聞く」(二〇一〇年二月号〜二〇一二年四月号)
●「週刊文春」(文藝春秋)「仕事のはなし」(二〇〇八年五月二九日号、二〇〇八年七月二四日号、二〇〇九年一月二九日号、二〇〇九年四月二三日号)
●「モーニング公式サイト」(講談社)「漫画技術論」(二〇一一年六月三日〜六月十日、六月一七日、六月二四日掲載分)