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『古文書はいかに歴史を描くのか――フィールドワークがつなぐ過去と未来』(白水智 NHKブックス 2015)

著者:著者:白水 智[しろうず・さとし] (1960-) 日本中世史。山村史、海村史。
NDC:210.029 日本史 >> 歴史補助学 >> 古文書学.花押


NHKブックス No.1236 古文書はいかに歴史を描くのか フィールドワークがつなぐ過去と未来 | NHK出版


【目次】
目次 [003-007]


序章 知られざる歴史研究の舞台裏 009
  忘れられた大震災
  古文書が人の世に光を当てる
  歴史は身近にあるか
  研究の舞台裏と身近な古文書
  歴史を知るもう一つの意味
  本書で伝えたいこと


第一章 古文書とは何か 021
一 歴史と史料 022
  書き替えられていく歴史
  歴史をたどる手がかりとしての史料
  活字史料の恩恵
  かけがえのない実物史料
二 失われた史料・たまたま残った史料 032
  日々廃棄されている文化財
  時間との戦い――昨日ゴミに出してしまいました
  時間との戦い――失われゆく山村史料
  廃棄史料はなぜ残されてきたか
  廃棄史料の特徴
  京都古刹から見つかった襖裏張文書
三 和紙という素材 046
  虫が喰い、ネズミが囓り、湿気が襲う
  いろいろな修復
  できるだけ避けたい修復


第二章 史料調査の日々――フィールドワークの重要性 057
一 歴史学とフィールドワーク 058
  各時代史のフィールドワーク事情
  「切り身」の活字史料の背後にあるもの
  調査の始まり
  怪しい者ではありません
  簡単ではない調査意図の説明
  所蔵者の姿勢を変えたもの
  相互の信頼関係が基本
  集団調査と個人調査
二 これまでの調査履歴から――駆け出しの頃 077
  初めての調査経験
  必ず起きる「偶然」
  五島列島
  日本常民文化研究所の調査
  激論の日々から
三 これまでの調査履歴から――ライフワークとなる調査の開始 089
  中央大学山村研究会の調査
  調査方法の変化
  毎年活動成果を刊行
  「歴史学の現場」に身を置くこと
  信越国境秋山の調査
  古文書を訪ねて
  八年かけて秋山関係の古文書を調査
  土蔵まるごとの文化財調査
  猛暑の中の土蔵調査
  学際研究のフィールドとして
  地元への成果還元とメンバーのつながり
  多分野共同研究の醍醐味――江戸時代の鉱山跡を探る
  次々見つかる手がかり
  江戸時代の森林が甦る――歴史学と林学とのコラボレーション
  調査経験から得たもの


第三章 史料の調査と整理を考える 131
  研究か史料整理か
  史料整理は「雑務」なのか
  最初にしか採れない情報――現状記録の重要性
  「ともにあること」の史料的価値
  内容と形態による整理方式は適切か
  史料内容の豊かさを生かすには
  形態別整理の問題点
  現状記録に意味はあるのか
  現状記録の重要性
  一体化する配置と記憶
  未来に備える
  何をどこまで採るか
  専門家でなくてもできる現状記録採り
  史料調査自体の記録を


第四章 史料の具体的整理方法 165
  現状記録を採ってみよう
  史料利用のための調査と目録づくり
  調査や目録の深度――概要調査と精細調査
  簡易な目録づくりも重要
  史料IDをつける
  史料自体をどう整理するか
  近世史料に合わせた目録仕様の不都合
  目録編成の考え方
  形態情報とイメージ情報の有効性
  パソコンを利用した目録の作成
  史料をどう撮影するか
  デジタルカメラマイクロフィルム


第五章 発掘・整理した史料から歴史を読み解く 205
一 断簡文書が明かす歴史 206
  謎だらけの古文書
  江戸城に提供されていた早川入の材木
  危険を冒しての運材
  垣間見える山地の重要性
  教科書に書き加えられる山の産業
二 襖張文書が明かす奥能登の記憶 221
  今に残る船道具
  裏張文書に残されていた証拠
三 衣装の中に古文書があった 227
  襟裏張文書の発見から追跡まで
  裏張文書を剥がしてみる
  裏張文書の内容を探る
  袴の中からも古文書が
  現地へ飛ぶ
  見えてきた背景
四 裏打ちで甦った史料から 241
  山村に残された狩猟関係史料
  犬を使った狩猟の実態
  猟師が投げかけた疑問
五 冷凍保存された地名発音 252
  文字に音声を聞く
  小若狭村と小赤沢村
  発音と表記の間に横たわる溝
六 遠のいた海の話 262
  青方氏の拠点はどこにあったか
  海際にあった殿山


第六章 歴史史料と現代――散逸か保存か 267
  身に迫らない歴史
  滅びようとするムラの前で歴史学は何をするのか
  地域を元気にする歴史学
  「三〇〇年後に小滝を引き継ぐ」
  「これまで」 があって「これから」がある
  史料を整理する職務の必要性
  史学カリキュラムにも史料整理やフィールドワークを
  地域に史料を遺せる環境を


終章 長野県北部震災を経て 291
  震災と文化財救出―― 三・一二の大震災
  「まるごと調査」の土蔵はどうなった?
  文化財救援組織「地域史料保全有志の会」の結成
  フィールドワークの経験が生きた現場
  文化財保全から活用へ――地域への還元の始まり
  文化財保管施設のリニューアルへ
  「人文学の現場」であること
  確かな未来は確かな過去の理解から始まる


あとがき(二〇一五年一一月一五日 白水智) [317-318]