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『経済学のパラレルワールド――入門・異端派総合アプローチ』(岡本哲史,小池洋一[編著] 新評論 2019)

編者:岡本 哲史[おかもと・てつし](1962-)  ラテンアメリカ経済論(チリ経済)、開発経済学国際経済学
編者:小池 洋一[こいけ・よういち](1948-) 経済開発論、地域研究(ラテンアメリカ)。
著者:内橋 克人[うちばし・かつと](1932-) 経済評論家。
著者:佐野 誠[さの・まこと](1960-) レギュラシオン理論。
著者:飯塚 倫子[いいづか・みちこ](19-) 開発学。STI for SDGs、途上国の科学技術イノベーション政策。
著者:佐々木 憲介[ささき・けんすけ](1955-) 経済学史・経済思想・経済学方法論。
著者:塩沢 由典[しおざわ・よしのり](1943-) 理論経済学進化経済学
著者:柴田 德太郎[しばた・とくたろう](1951-) 制度進化の経済学。
著者:幡谷 則子[はたや・のりこ](1960-) 社会学ラテンアメリカ地域研究。
著者:Bresser-Pereira, Luiz Carlos[ブレッセル=ペレイラ,ルイス・カルロス](1934-) 開発経済学マクロ経済学
著者:森岡 真史[もりおか・まさし](1967-) 経済理論、経済思想。
著者:安原 毅[やすはら・つよし](1963-) 開発経済学ラテンアメリカ経済論。 
著者:矢野 修一[やの・しゅういち](1960-) 世界経済論。
著者:山田 鋭夫[やまだ・としお](1942-) 理論経済学。現代資本主義論。
著者:山本 純一[やまもと・じゅんいち](1950-) 政治経済学。メキシコ地域研究。
装訂:山田 英春
NDC:331 経済学.経済思想
NDC:331.6 社会主義学派.マルクス経済学派
NDC:331.76 制度学派


経済学のパラレルワールド 入門・異端派総合アプローチ | 新評論


【目次】
はじめに(2019年3月13日 岡本哲史 小池洋一) [001-009]
 経済学における異端と正統 
 異端と正統をめぐる注意点
 経済学における多様性の喪失
 多様性の保全のために
 「異端派総合」という言葉
目次 [010-015]


序章 新古典派経済学の系譜とその問題点[岡本哲史] 019
経済学における派閥対立の理由
数理モデルは価値中立的か?
ミクロ経済学としての新古典派経済学
源流としてのアダム・スミス
新古典派と経済自由主義思想
アダム・スミスの価値論と新古典派
アダム・スミスの実物経済論と貯蓄=投資論
セイ法則体系の出現
限界学派の考え方
限界トリオ以後の新古典派経済学
新古典派マクロ理論の誕生
新古典派マクロ理論の変なところ
セイ法則体系と貨幣ベール観
新古典派の変な焼き鳥屋
ケインズ新古典派経済学
ケインズ革命に対する新古典派経済学の対応
新古典派マクロ経済学の誕生
新古典派モデルのリアリティ欠如
価格は柔軟には変化しない
新古典派の価値観
新古典派経済学新自由主義イデオロギー
経済学における異端のすすめ


第1章 21世紀におけるマルクス経済学の効用[岡本哲史] 055
マルクス経済学と『資本論
世紀資本主義とマルクス
マルクスへの誤解
20世紀共産主義体制の非道
マルクスの青少年期
マルクスと父親
マルクスヘーゲル哲学
新聞記者マルクスと亡命生活
マルクスの思想的転機
マルクスと1848年革命
イギリスでの生活
マルクスの考えた共産主義社会
資本の定義
商品と2つの価値
価値の実体
マルクスの労働価値論
価値=労働=価格
マルクスの生産価格論
価値形態論――単純な価値形態
展開された価値形態
一般的価値形態
貨幣の出現
貨幣の呪物崇拝
資本の出現
産業資本の誕生
搾取理論の誕生
労働力の価値とは何か?
マルクスの基本定理
各種投入係数の設定
総生産物Xと純生産物Q
剰余生産物
利潤と搾取の関係
マルクス以後のマルクス経済学
応用系マルクス経済学
人文系マルクス経済学
数理系マルクス経済学
21世紀におけるマルクス経済学の効用


第2章 制度派経済学とは何か?[柴田德太郎] 119
ヴェブレンの主流派経済学批判(前進化論的経済学)
ヴェブレンの進化論的経済学
「ものづくりの原理」対「金儲けの原理」
金融バブルの形成と崩壊
ヴェブレンの未来社会像(思考習慣=制度の進化)
コモンズの制度進化論
3種類の取引
ゴーイング・コンサーンと行動準則
私有財産概念の進化と拡張
無体財産と無形財産
コモンズの最気循環論
コモンズの現代資本主義論(安定化の時代)


第3章 ポスト・ケインジアン経済学の全体像[安原毅] 147
マクロ経済の基礎
投資は何によって決まるか
投資に必要な資金はどうやって調達されるのか
企業の資金調達は社会的にどう影響するか
雇用はどのようにして決まるのか
「生産性が上がれば賃金が上がる」は本当か?
ポスト・ケインジアン、カレツキアンの方法の現代的意義


第4章 レギュラシオン理論の原点と展開[山田鋭夫] 169
レギュラシオン理論の40年
経済諸学派とレギュラシオン理論
レギュラシオンとは何か
レギュラシオンの基礎概念
イギリス型発展様式
フォーディズムの成長体制
フォーディズムの調整様式
金融主導型資本主義
資本主義の多様性


第5章 進化経済学の可能性[森岡真史] 191
生物学における進化の概念
進化概念の一般化
進化論的アプローチの意義
「進化する実在」としての生産物
知識と投入・産出関係
生産物の再生産を阻む諸要因
資本主義における生産物の進化
生産物進化の歴史性
商品世界の多様性
多様な商品の存在理由
商品の多様化と販売競争
商品世界の光と影


第6章 異端派貿易論の最前線[塩沢由典] 219
国際経済を考える基礎理論
リカード『原理』200年
リカードの数値例
リカードが真に言ったこと
比較生産費説の原型理解と変型理解
交易条件はいかに決まるか
「生産の経済学」から「交換の経済学」へ
古典派価値論の弱点
連結財あるいは共通財の考え方
新しい国際価値論
賃金率と価格
絶対優位と比較優位
投入財貿易と世界付加価値連鎖


第7章 ハーシュマンと不確実性/可能性への視座[矢野修一] 249
ハーシュマンとは何者?
社会改良と連帯をあきらめさせる主流派の理屈
「利益」は社会秩序の基盤となりえるか
新自由主義権威主義の親和性
デジタル化と権威主義
不均整成長論の含意
単線的・均質的時間概念の転換
無駄は無駄か?――オルターナティヴとしてのスラック経済観
離脱・発言・忠誠
アメリカン・ドリームから共同性への道筋
市場経済と民主主義――社会の「可能性」拡大のために


第8章 ネオ・シュンペタリアンとイノベーション[飯塚倫子] 275
シュンペーターの経済発展論の特異性
ネオ・シュンペタリアンの主張
イノベーションの定義と将来的な展望
イノベーション・システム:イノベーションを生み出す仕組み
イノベーション・システムの政策への適用とその課題
技術の転換がシステムの再構築を促す
研究動向にみるイノベーションの新たな方向性
利用者によるイノベーション
ソーシャル・イノベーション
公共セクターのイノベーション
インクルーシブ(包摂的)・イノベーション
イノベーションは社会的課題を解決できるのか


第9章 ポランニーから共生経済へ[小池洋一] 303
市場経済は勝利したのか
市場経済と資本主義の相対化
自己調整的市場はフィクションに基づいている
悪魔のひき臼
三重運動としての歴史
経済グローバル化と社会の防衛運動
複合社会
機能的社会主義
マルクスのアソシエーション論
市場と経済を社会に埋め戻す
共生経済社会の創造に向けて


第10章 経済学方法論と新自由主義[佐々木憲介] 331
方法論とは何か
新自由主義の捉え方
経済政策の論理
新自由主義政策の目的
  資源の効率的配分
  自由の尊重
  価値に対する批判と反批判
  新自由主義の目的の多様性 
新自由主義の理論
  理論と現実の混同
  理論選択の偏り
新自由主義の社会的機能
新自由主義負の遺産


第11章 開発のマクロ経済学としての新開発主義[Luiz Carlos Bresser-Pereira 著/岡本哲史 訳] 355
古典的な開発主義の誕生
古典的な開発主義の危機
新開発主義の誕生
新開発主義の政治経済学
資本主義の原型と開発主義の諸類型
第2の開発主義の危機
新開発主義の基本的な考え方
開発主義国家とは何か
新開発主義のミクロ経済学マクロ経済学
新開発主義の為替レート理論
3つの「お決まりの政策」
為替レートの割高化傾向
成長と投資関数
危機と適応
経済政策
マクロ経済的価格の適正化
オランダ病の克服
為替レートとインフレ抑制
分配
結論


第12章 フェアトレードと市場の「正義」[山本純一] 401
経済の仕組みは公正か?
「公正」と「正義」
「公正としての正義」
市場は「自由」なだけで十分なのか
フェアトレードという試み
フェアトレード誕生前夜――「自由かつ公正な貿易」
フェアトレードの基本原則――慈善から開発貿易・連帯貿易へ
フェアトレード産品はなぜ高い?――「適正な価格」の根拠
市場志向化がもたらしたもの
フェアトレードの新たな地平
「公正な取引」を広げる――「足元」の問題に向き合うために
市場の「正義」は果たされるか


第13章 世界の多様性をとらえる地域研究[幡谷則子] 435
地域研究とは何か
地域研究の歩み
地域研究の意義と志向性
地域研究の貢献――「市井の人々の知恵」の尊重
地域の価値観に立脚する――再発見された「コミュニティ参加」の概念
現地調査における倫理と双方向的な学び
グローバル・スタディーズの創成
グローバル・イシューに向き合う地域研究
覇権的グローバリゼーションへの批判的視座
テリトリーの概念
自然との関係性に基づく地域概念――生命の基盤としてのテリトリー
共感、コミットメント、双方向性の方法論をめざす地域研究
多様性に密着する地域研究


[特別収録]
1 ラテンアメリカ経済の研究は何のためにあるのか――日本語で書くことの可能性と意義[佐野誠] 466
  はじめに
  1 地域研究の諸類型―――各々の存在意義を自覚的に問う  
  2 往還する知
  3 筆者自身による往還型地域研究の試行錯誤
  おわりに:簡単な考察を兼ねた結び


2 連帯・共生の経済を――日本型貧困を世界的視野で読み解く[内橋克人, 佐野誠] 481
  現実と乖離する経済学
  日本型貧困の由来
  日本型新自由主義の政治構造
  1人ひとりの抵抗から連帯へ


[対談再掲への付言]佐野経済学の可能性[内橋克人] 497


おわりに(2019年7月 岡本哲史,小池洋一) [501-509]
図表一覧 [510]
事項索引 [511-518]
人名索引 [519-522]
執筆者紹介 [523-525]



【図表一覧】
0 経済学の系譜で見る異端と正統 003
0.1 価格変化による需給の一致 023
0.2 効用関数の形 032
0.3 労働市場と資本市場の均衡 037
1.1 『資本論』全3巻の構成 058
1.2 マルクスが残した共産主義に関する記述 075
1.3 「マルクスの基本定理」の簡単な証明 102
1.4 マルクス以後のマルクス経済学(20〜21世紀) 109
2.1 利潤マージンの変動 138
3.1 GDPが分配され支出に充てられるメカニズム 149
3.2 日本の労働生産性と実質賃金上昇率 163
4.1 経済諸学派の市場経済観 171
4.2 レギュラシオンの基礎概念と見方 174
4.3 イギリス型発展様式の成長体制と調整様式 177
4.4 フォーディズムの成長体制と調整様式 178
4.5 金融主導型資本主義の成長体制と調整様式 186
4.6 主要OECD諸国にみる資本主義の多様性 186
5.1 進化経済学における「進化」の概念図 194
5.2 日本標準商品分類の大分類・中分類 207
5.3 JANコード登録商品の内訳 208
6.1 毛織物とブトウ酒の生産に必要な労働者数(人/年) 222
6.2 貿易の利益(労働の節約:毛織物1単位とブドウ酒1単位とを交換する場合) 225
6.3 マーシャルの需要曲線・供給曲線交差図 232
6.4 2国3期の世界生産可能集合 236
6.5 2国3財に対応する全域木 239
6.6 ひとつの全域木はひとつの国際価値(賃金率と製品価格)を決める 241
8.1 『オスロ・マニュアル』におけるイノベーションの定義:重要な変更点 286
8.2 イノベーション・システムの概念図 289
8.3 マルチ=レベル=パースペクティブの概念図 292
10.1 エレファントカーブ(グローバルな所得水準で見た1人当たり実質所得の相対的な伸び 1988-2008年) 350
11.1 経常収支と為替レート 377
11.2 2つの均衡とその推移 377



【画像一覧】
序章 ミルトン・フリードマン 043
序章 アウグスト・ピノチェ 049
1章 カール・マルクス 066
2章 ソースティン・ヴェブレン 119
2章 ジョン・R・コモンズ 139
3章 ジョン・メイナード・ケインズ 155
7章 アルバート・ハーシュマン(評伝表紙) 250
8章 BlaBlaCarのステッカー 296
9章カール・ポランニー 304
12章 ジョン・ロールズ 404
12章 メキシコ先住民によるフェアトレードの実践 426
13章 コロンビア民衆居住区の互助活動 443
13章 コロンビアのアフロ系住民と鉱物資源 456





【抜き書き】
・巻末の執筆者紹介(pp. 523-525)がとても詳しいので転載しておく。版元のサイトには載っていない。

執筆者紹介(50音順)


飯塚倫子(Iizuka Michiko) 石川県生まれ。サセックス大学科学政策研究所(SPRU)にて博士号(科学技術イノベーション政策),同大学開発学研究所(IDS)にて修士号(開発学),ロンドン大学インベリアルカレッジにてディプロマ(環境管理)取得。(財)国際開発センター研究員,国連ラテンアメリカ・カリブ経済環境委員会環境担当官,国連大学マーストリヒト技術革新・経済社会研究所(UNU-MERIT) リサーチ・フェローを経て,現在政策研究大学院大学教授。SPRU,UNU-MERIT 外部フェローを兼任。専攻は持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション(STI for SDGs),途上国の科学技術イノベーション政策(天然資源,農業,環境分野)。主要業績に「協働が生み出す革新システム」(田中祐二・小池洋一編『地域経済はよみがえるか』新評論,2010年). “Potential for Innovation in Mining Value Chains: Evidence from Latin America," in A. Daly, D. Humphreys, J. Raffo and G. Valacchi (eds.), Global Challenges for Innovation and IP in the Mining Industries, Cambridge University Press (近刊).共編著に Chile's Salmon Industry: Policy Challenges in Managing Public Goods, Springer, 2016 などがある。


内橋克人(Uchihashi Katsuro) 1932年兵庫県生まれ。経済評論家。著書に『共生の大地』(岩波新書,1995年),『経済学は誰のためにあるのか』(共著,岩波書店,1997年),『不安社会を生きる』(文藝春秋,2000年),『「節度の経済学」の時代』(朝日新聞社,2004年),『悪夢のサイクル――ネオリベラリズム循環』(文藝春秋,2006年)、「始まっている未来――新しい経済学は可能か(宇沢弘文との共著,岩波書店,2009年),『新版 匠の時代』(全6巻,岩波現代文庫,2011年),『共生経済が始まる』(朝日文庫,2011年),『荒野渺茫』(I・II,岩波書店,2013年)などがある。2006年,第16回イーハトーブ賞,2009年,第60回NHK放送文化賞受賞。 【特別収録2】


岡本哲史(Okamoto Tetsushi) 1962年徳島県生まれ。専攻はラテンアメリカ経済論(チリ経済)開発経済学国際経済学。1986年,東北大学経済学部卒。1992年,東北大学大学院経済学研究科博士課程後期満期退学。博士(経済学)(東北大学,2001年)。1989年,メキシコ・グアダラハラ大学で学ぶ(外務省日掲交流計画)。東北大学助手,九州産業大学講師などを経て,現在,九州産業大学経済学部教授。チリ・カトリック大学歴史研究所客員研究員(1998年8月~99年8月),チリ大学物理数学学部客員研究員(2005年8月~06年8月,2011年8月~12年8月)。主要業績として『衰退のレギュラシオン――チリの開発と衰退化 1830~1914年』(新評論,2000年),『ラテンアメリカはどこへ行く』(共著,ミネルヴァ書房,2017年),『現代経済学――市場・制度・組織』(共著,岩波書店,2008年)などがある。 【編者,はじめに,序章,第1章,第11章翻訳,おわりに】


小池洋一(Kaike Yoichi) 1948年埼玉県生まれ。1971年立教大学経済学部卒。アジア経済研究所研究員・主任調査研究員・部長(1971~2000年), この間ジェトゥリオ・ヴァルガス財団サンパウロ校客員研究員(1977~79年), サンパウロ大学経済研究所客員教授(1992~93年),英国開発学研究所(IDS)客員研究員(1993~94年),拓殖大学国際開発学部教授(2000~2007年),立命館大学経済学部教授・特任教授(2007~19年)を経て,現在立命館大学社会システム研究所客員研究員,アジア経済研究所名誉研究員。専門は経済開発論,地域研究(ラテンアメリカ)。主要業績として『社会自由主義国家――ブラジルの「第三の道」』(新評論,2014年),『抵抗と創造の森アマゾン――持続的な開発と民衆の運動』(共編著,現代企画室,2017年),『現代ラテンアメリカ経済論』(共編著,2011年,ミネルヴァ書房),『市場と政府――ラテンアメリカの新たな開発枠組み』 (共編著,アジア経済研究所,1997年)などがある。 【編者,はじめに,第9章,おわりに】


佐々木憲介(Sasaki Kensuke) 1955年岩手県生まれ。専攻は経済学史・経済思想・経済学方法論。1980年,東北大学経済学部卒。1985年,東北大学大学院経済学研究科博士課程後期3年の課程単位取得退学。東北大学助手,北海道大学経済学部助教授・教授などを経て,現在,北海道大学大学院経済学研究院特任教授。博士(経済学)。主要業績に『経済学方法論の形成――理論と現実との相克 1776-1875』(北海道大学図書刊行会,2001年),『イギリス歴史学派と経済学方法論争』(北海道大学出版会,2013年:2018年経済学史学会賞),『イギリス経済学における方法論の展開――演繹法帰納法』(共編著,昭和堂,2010年),『経済学方法論の多元性――歴史的観点から』(共編著,蒼天社出版,2018年)などがある。【第10章】


佐野誠(Sano Makoto) 1960年新潟県生まれ。経済学者,博士(経済学)。1982年早稲田大学政治経済学部卒業後東北大学大学院,筑波大学大学院,東北大学助手,外務省専門調査員(在アルゼンチン日本大使館)などを経て98年より新潟大学教授(経済学部および大学院現代社会文化研究科)。2001年,アルゼンチン国立ラ・プラタ大学国際関係研究所招聘教授として集中講義。主著『開発のレギュラシオン』(1998年),『もうひとつの失われた10年」を超えて』(2009年), 『99%のための経済学【教養編】』(2012年),『同【理論編】』(2013年)内橋克人(本書「特別収録2」)との共編著「ラテン・アメリカは警告する」(2005年,以上新評論),柴田徳太郎(本書第2章)・吾郷健二との共編著『現代経済学』(岩波書店,2008年)など。2013年11月6日没。【特別収録1.2】


塩沢由典(Shiozawa Yoshinori)1943年長野県生まれ。京都大学理学部数学科卒,同修士。フランス政府給費留学生としてニース大学パリ第9大学に学ぶ。京都大学数学科・同経済研究所助手,大阪市立大学経済学部教授・同大学院創造都市研究科教授・研究科長,中央大学商学部教授を勤め、現在大阪市立大学名誉教授。専門は理論経済学。(日本)進化経済学会第2代会長。同フェロー。『市場の秩序学――反均衡から複雑系へ』(筑摩書房,1990年)でサントリー学芸賞(1991年)『リカード貿易問題の最終解決』(岩波書店,2014年)で進化経済学会賞(2016年)。単著に『近代経済学の反省』(日本経済新聞社,1983年),『関西経済論――原理と議題』(晃洋書房,2010年)、共著に A New Construcetion of Ricardian Theory of International Values(2017). Microfoundations of Evolutionary Economics (2019,以上Springer)などがある。反均衡・複雑系・過程分析などを標語とする現代古典派経済学のリーダーの1人。 【第6章】


柴田徳太郎(Shibata Tokutaro) 1951年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業,東京大学大学院経済学研究科修了。経済学博士(東京大学)。西南学院大学経済学部講師,同大学助教授,東京大学経済学部助教授,同大学教授を経て,現在,帝京大学経済学部教授(東京大学名誉教授)。専門は制度進化の経済学,アメリカ金融制度論,現代資本主義論。主要業績に『大恐慌と現代資本主義』(東洋経済新報社,1996年),『資本主義の暴走をいかに抑えるか』(ちくま新書,2009年)、『制度と組織――理論・歴史・現状』(編著,桜井書店,2007年),『現代経済学』(吾郷健二・佐野誠との共編著,岩波書店,2008年),『世界経済危機とその後の世界』(編著,日本経済評論社,2016年)などがある。 【第2章】


幡谷則子(Hataya Noriko) 1960 年神奈川県生まれ。2008年,ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL: University College London)にて Ph.D.取得(地理学)。アジア経済研究所研究員(1984年4月〜2001年3月)を経て,2001年4月より上智大学国語学部教員,現在,上智大学国語学イスパニア語学科教授。専門は社会学ラテンアメリカ地域研究。主要業績に「ラテンアメリカの都市化と住民組織』(古今書院, 1999年),La ilusion de participación comunitaria: Lucha y negociación en los barrios irregulares de Bogoti, 1992-2003, Bogori: Universidad Externado de Colombia, 2010,『小さな民のグローバル学――共生の思想と実践をもとめて』(共編著,上智大学出版,2016年),近刊に『ラテンアメリカの連帯経済――コモン・グッドの再生をめざして』(上智大学出版,2019年)などがある。 【第 13 章】


ブレッセル=ペレイラ,ルイス・カルロス (Luiz Carlos Bresser-Pereira) 1934年ブラジル・サンパウロ生まれ。ジェトゥリオ・ヴァルガス財団サンパウロ校教授を経て,現在同校名誉教授。Brazilian Journal of Political Economy 誌編集人。博士(経済学,サンパウロ大学)。専門は開発経済学マクロ経済学。現在のテーマは新開発主義,新古典派経済学の方法論的批判,社会民主主義と開発国家など。ブラジル連邦政府財務省行政改革省,科学技術省の各大臣を歴任。著書に The Political Construction of Brazil (2017). Developing Brazil: Overcoming the Failure of the Washington Consensus (2009, 以上 Lynne Rienner Publishers) など,共著に Globalization and Competition: Why Some Emergent Countries Succeed while Others Fall Behind (Cambridge University Press, 2009), Developmental Macroeconomics: New Developmentalism as a Growth Strategy (Routledge, 2014).共編著に Financial Stability and Growth, Routledge Studies in Development Economics(Routledge, 2014)などがある。【第11章】


森岡真史(Masashi Morioka) 1967年大阪府生まれ。1993年,京都大学大学院経済学研究科博士課程中退。博士(経済学)。現在,立命館大学国際関係学部教授。専門は経済理論および経済思想。著書に『数量調整の経済理論――品切回避行動の動学分析』(日本評論社,2005年)『ボリス・ブルックスの生涯と思想――民衆の自由主義を求めて』(成文社,2012年),Microfoundations of Evolutionary Economics(塩沢由典・谷口和久との共著,Springer, 2019)などがある。 【第5章】


安原毅(Yasuhara Tsuyoshi) 1963年兵庫県生まれ。京都大学経済学部卒。2001年,メキシコ国立自治大学経済学部大学院博士課程にて Ph.D.取得(経済学)。南山大学国語学部講師(1992年〜)を経て,現在同大学国際教養学部教授。専攻は開発経済学ラテンアメリカ経済論。主要業績に『メキシコ経済の金融不安定性』(新評論,2003年:2004年度国際開発研究大来賞),「グローバリゼーションの中のラテンアメリカ――経済危機と経済政策」(『神奈川大学評論』77号,2014年), “Analisis de la industria manufacturera por el modelo Poskeynesiano y Kaleckiano,” Qué hacer: científico en Chiapas, Vol. 3, No. 1, Universidad Autónoma de Chiapas, 2018などがある。 【第3章】


矢野修一(Yano Shuichi) 1960年愛知県生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程退学。京都大学博士(経済学)。現在,高崎経済大学経済学部教授。専攻は世界経済論。著書に『可能性の政治経済学』(法政大学出版局,2004年),『サステイナブル社会とアメニティ』(共著,日本経済評論社,2008年),『デフレーション現象への多角的接近』(共著,日本経済評論社, 2014年),『新・アジア経済論』(共編著,文眞堂,2016年),訳書にアルバート・ハーシュマン『離脱・発言・忠誠』(ミネルヴァ書房,2005年),同『連帯経済の可能性』(共訳,法政大学出版局,2008年),スーザン・ストレンジ『国際通貨没落過程の政治学』(共訳,三嶺書房,1989年),エリック・ヘライナー『国家とグローバル金融』(共訳,法政大学出版局,2015年)などがある。【第7章】


山田鋭夫 (Yamada Toshio) 1942年愛知県生まれ。1969年,名古屋大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。経済学博士。大阪市立大学教授,名古屋大学教授,九州産業大学教授などを経て,現在,名古屋大学名誉教授。専門は理論経済学および現代資本主義論。著書に『レギュラシオン理論』(読談社現代新書,1993年),『レギュラシオン・アプローチ』(増補新版,藤原書店, 1994年)、『さまざまな資本主義』(藤原書店,2008年), Contemporary Capitalism and Civil Society: The Japanese Experience, Springer, 2018 などがある。 【第4章】


山本純一(Yamamoto Junichi) 1950年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業,スペイン留学。会社勤務を経て,メキシコ大学院大学経済修士課程満期退学。帰国後,慶應義塾大学環境情報学助教授・同教授。現在は同大学名誉教授,フリースクール「大地の大学」代表。専門は政治経済学,メキシコ地域研究。著作に『メキシコから世界が見える』(集英社新書,2004年)、『インターネットを武器にした〈ゲリラ〉――反グローバリズムとしてのサパティスタ運動』(慶應義塾大学出版会,2002年:義塾賞),最近の業績として「メキシコの連帯経済――「共通善」としてのコーヒーのフェアトレードを中心にして」(幡谷則子編『ラテンアメリカの連帯経済――コモン・グッドの再生をめざして』上智大学出版,2019年)などがある。 【第12章】


■序章から何箇所か抜粋。


新古典派の歴史を概観した部分(の一部)。

新古典派マクロ経済学の誕生

 さて、1936年にケインズの「一般理論」が出版されてから1960年代に至るおよそ30年ほどの間は、欧米では、ケインズ経済学(新古典派総合を含む)が圧倒的な知的権威を有し、新古典派経済学は守勢に立っていました。しかし、1970年代になると状況が変わってきます。世界各国でケインズ的な財政金融政策がうまく働かなくなり、景気を刺激しても実質経済成長率は伸びず、ただインフレ率だけが昂進する現象が広く見られるようになったからです。インフレ(inflation,物価の上昇)と不況(stagnation)とが同時に存在するスタグフレーション(stagflation)という現象です。
 このような中で開始されたのが、新古典派経済学によるケインズ経済学への反撃であり、新古典派経済学自身の進化です。簡単に言うと、新古典派総合のように、景気局面の使い分けでケインズ理論新古典派理論との折衷を図るのではなく、マクロ経済モデルの中に新古典派の諸仮定を積極的に潜り込ませ、ケインズ理論新古典派マクロ経済学へと換骨奪胎する試みです。
 その最初の推進力になったのが、ハイエクの弟子にあたるフリードマンでした。フリードマンは、インフレ期待(=予想)や短期と長期という概念を巧みに用いることで、ケインズ的な非自発的失業が存在する局面は一時的な(短期の)現象であり、労働者のインフレ期待が修正される長期においては、摩擦的失業(=自発的失業)しか存在しない完全雇用が実現するという議論を展開しました。これを「自然失業率仮説」といいます。
 フリードマンによれば、裁量的な金融政策によるマネーストック(=経済に出回っているお金の総量)の変化は予期せぬインフレを生み出し、これが短期の景気変動の原因になるが(=「貨幣的景気循環理論」)、長期的にはインフレ期待と現実のインフレ率とが一致し、すべての経済変量が価格変化に対応して均衡を達成するため(=完全雇用の実現)、裁量的なマクロ政策(=不景気の際の財政金融政策の発動)は無意味であることが強調されます。フリードマンは、現代版貨幣数量説を信奉するマネタリズムという学派を形成し、ケインズ理論への攻撃を強めたことで有名です。


・序章の末尾から。

経済学における異端のすすめ
 新古典派に関する記述は以上です。わたしたちの問題意識の一端をお分かりいただけたでしょうか。 
 ただし注意してください。わたしたちは新古典派に厳しい態度を見せましたが、新古典派経済学を学ぶ必要が無いとか、富裕層や資本主義体制の擁護論だから排撃すべきだ、などと考えているわけではありません。先ほど見たように、新古典派の中にも、真摯な学問態度を貫いた尊敬に値する研究者は多くいます。また、ここでは触れることができませんでしたが、その分析手法にも学ぶ点は多々あります。
 わたしたちが本書の出版によって企図していることはシンプルです。本書を通じて、少しでも多くの人々に経済学の世界の多様性を知ってもらいたい。それだけです。どうか、いろいろな異端派の世界をのぞき込んで見てください。もしかしたら、新古典派とは違う側面を見せてくれるパラレルワールドに魅了され、あなたから未来の経済学の刷新が生じるかもしれません。