著者:黒木 登志夫[くろき・としお] 医学(がん研究)。
イラスト作成:朝日メディアインクーナショナル
図表作成・DTP:市川 真樹子
NDC:498.6 衛生学.公衆衛生.予防医学 >> 疫学.防疫
【目次】
推薦の言葉(山中伸弥) [i-ii]
はじめに(著者) [iii-vii]
目次 [viii-xiv]
序章 人類はパンデミックから生き残った 003
1 ペスト 004
ベネチア 2020年、カーニバル
フィレンツェ 1348年、デカメロン
リヨン 1564年、永井荷風
ウールスソープ 1665年、ニュートン
アルジェリア 194X年、カミュ
香港 1894年、北里柴三郎
2 スペイン風邪 011
スペイン風邪と日本文学
与謝野晶子
芥川龍之介
斎藤茂吉
武者小路実篤
宮沢賢治
スペイン由来でないスペイン風邪
最悪の合併症
第二波、第三波
日本に上陸
洋上の風邪
山内保:濾過性病原体の証明
河丘義裕:スペイン風邪ウイルスの復元
3 SARS 024
コロナ三兄弟
マニラ、2003年2月10日
ハノイ、2003年2月28日
香港、2003年2月21日
北京、2003年3月
関西空港、2003年5月8日
国際共同研究、2003年3月17日
自滅したSARSウイルス
第1章 新型コロナウイルスについて知る 033
1 ウイルスとは 035
ウイルスは日本語
ウイルスは一人では生きていけない
DNAウイルスとRNAウイルス
爆発的増殖
2 コロナウイルス 041
ウイルス学的分類
ウイルスゲノムと変異
第2章 新型コロナ感染症を知る 047
1 感染ルート 047
「口は災の元」
大量のウイルス
飛沫感染とエアロゾル感染を巡る論争
合唱によるエアロゾル感染
表面接触感染
半減期
無症状者からの感染
半数は無症状感染者からの感染
SARSとインフルエンザの感染
クラスター感染
スーパースプレッダー
感染した人は悪くない
感染の予防
2 新型コロナ感染症の経過 062
軽症者
3 新型コロナ感染症の病状 065
嗅覚、味覚障害
二種類の肺炎
インフルエンザ肺炎
新型コロナ肺炎
サイトカインの嵐
重症化リスク要因
血栓
川崎病
心筋炎
新型コロナ後遺症
新型コロナによる死亡
第3章 感染を数学で考える 079
感染症の数字
1 感染は指数関数的に増加する 080
ビリヤードの球
倍加時間
カーマック・マッケンドリックのSIRモデル
2 再生産数 085
8割おじさん
収束の判断
3 ロックダウンの数学的根拠 090
ファーガソン
51万人死亡予想
5万9000人の命を救う
武漢
ドイツ
4 スーパースプレッダー 096
R_0の分散
複雑系ネットワーク
第4章 すべては武漢から始まった 101
1 最初の2ヵ月 102
2019年12月、武漢
2020年1月 武漢、WHO
ゲノム解読の公表は何故遅れたのか
テドロスWHO事務局長
李文亮医師
2 石正麗―― Bat Woman 114
新型コロナウイルスの秘密に迫った女性
ウイルス分離
危険な実験
中国科学院武漢病毒研究所
3 新型コロナウイルスはどこから来たのか 120
意外な事実
人工的に作られたウイルスか
第5章 そして、パンデミックになった 125
1 パンデミックのルートを追う 126
エピデミック、エンデミック、パンデミック
五大陸に広がる
最初はアジアに拡散
ヨーロッパに広がる
アメリカの西と東
ラテンアメリカからインドに
波状攻撃
2 ゲノムで追うパンデミック 131
ウイルスの「ファミリーヒストリー」
武漢型からヨーロッパ型に
3 超過死亡 134
26万人が過剰に死亡
4 点と線 136
全てつながっている
第6章 日本の新型コロナ 137
民間臨時調査会
1 第一波(武漢型ウイルス) 138
武漢帰国者
ダイヤモンド・プリンセス号
クラスター対策と三密
2 第一波(ヨーロッパ型ウイルス) 145
ヨーロッパ旅行がもちこんだウイルス
志村けん
3 第二波 147
感染者増加
致死率低下
4 第一波、第二波のゲノム変異 150
新たな変異発生
5 日本の特徴と不思議 152
ゆっくりとした増加
少ない死亡者
6 ファクター X 154
何故?
日本語の発音は飛沫を飛ばさない?
山中伸弥の疑問
重症化リスク遺伝子
ネアンデルタール人の逆襲
第7章 日本はいかに対応したか 159
1 日本モデル 160
「日本モデル」の定義
2 初期対応 161
1月31日に介護施設に注意出す
台湾、韓国のすばやい対応
3 専門家 162
司令官
後退するコロナ対策
4 エクスキューズ 164
新型インフルエンザ(A/H1N1)対策報告書
5 法整備 166
感染症法指定感染症
新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)
6 緊急事態宣言 168
ソフトロックダウン
厳しさに欠ける緊急事態下の生活
Googleによる人の移動分析
日本の調査
人・人接触は86%減
7 選択もされず集中もされず 172
合理化の「草刈り場」
8 最大の問題はPCR検査 174
アメリカ大使館の注意勧告
専門家会議のポリシー
行政検査
37.5度以上4日間
厚労省は最初からPCR検査拡大に猛反対
内部秘密文書
9 官僚たち 181
厚労省医系技官
首相補佐官
全国一斉休校
アベノマスク
10 ベスト10、ワースト10 183
日本の対応・評価
第8章 世界はいかに対応したか 187
1 格差 188
医療、社会インフラ
シンガポールの出稼ぎ労働者
アメリカの人種格差
ブラジルのスラム街
2 反リベラル、ポピュリズム指導者 190
トランプ、ボルソナーロ、ジョンソン、プーチン
危険なほど無能なアメリカの指導者たち
3 成功した女性政治家 192
アーダーン、蔡英文、メルケル
アーダーン首相【Jacinda Ardern】
蔡英文【Tsai Ing-wen】
メルケル首相【Angela Merkel】
4 スウェーデンの集団免疫戦略 200
ロックダウンしないという選択
第9章 新型コロナを診断する 203
1 新型コロナ感染の検査法 204
PCR、抗原、抗体検査
感度/特異度、偽陽性/陰性
検体の採取時期
2 PCR検査 207
PCR法の原理
CDCの失敗
検体の採取と時期
PCR検査の感度と特異度
3 抗原検査 212
ウイルスタンパクの迅速検査法
4 抗体検査 214
過去の感染を検査
抗体保有者の分布
日本の抗体保有率
ソフトバンクの調査
5 PCR検査のあるべき姿 218
厚労省の考える「PCR検査のあるべき姿」
検査拡大のステップ提案
ステップ1:新型コロナ患者レベル
ステップ2:医療従事者レベル
ステップ3:感染リスク者レベル
ステップ4:社会の安全・安心レベル
ステップ3、4に進むために必要なこと
第10章 新型コロナを治療する 225
1 薬の開発 225
困難な抗ウイルス薬の開発
探索研究
第I相、第II相、第III相
効果の判定(エンドポイント)
2 新型コロナ薬のターゲット 229
何をターゲットにするか
スパイク―― ACE2結合のトラップ作戦
ナファモスタット(フサン)
クロロキンとヒドロキシクロロキン
RNAゲノム複製の阻害
レムデシビル
ファビピラビル(アビガン)
イベルメクチン
サイトカイン・ストーム
デキサメタゾン
トシリスマブ
血漿(血清)療法
新型コロナ治療薬開発の現状
3 アンジオテンシン系降圧剤 238
ARBとACE2阻害剤は安全
4 不適切な論文発表 239
オープンアクセス
データベースに問題。相次ぐ論文撤回
第11章 新型コロナ感染を予防する 243
1 自然免疫と獲得免疫 244
2段階防御装置
2 ワクチン 246
釣り餌作戦
生ワクチン(attenuated vaccine)
不活化ワクチン(Inactive vaccine)
サブユニットワクチン(Subunit vaccine)
VLP(virus like particle)ワクチン
遺伝子ワクチン(Genetic vaccine)
抗体依存性感染増強(ADE)
ワクチンができるまで
政治圧力
現在開発中のワクチン
3 集団免疫 253
60%の人の免疫が必要
4 BCG 256
100年前の生ワクチン
アメリカ、カナダ、イタリアはBCGをしたことがなかった
旧東ドイツと西ドイツの違い
BCG非接種国は感染、死亡が多い
イスラエルは差がなかった
記述疫学から分析疫学へ
訓練された免疫
第12章 新型コロナと戦う医療現場 263
1 院内感染 263
感染の12%が院内感染
永寿総合病院の院内感染
2 病院の現場 267
慶應大学病院のコロナ対策
和歌山県済生会有田病院
岐阜大学病院
東京医科歯科大学病院
千葉大学病院
徹底したPCR検査なしに院内感染は抑えられない
病室の確保
病院の予算
3 介護の現場 274
欧米では死亡の40%以上が介護施設、日本は13%
スウェーデンのトリアージ
日本の対応
4 保健所の現場 277
保健所の厳しい労働環境
第13章 そして共生の未来へ 281
1 われわれはどこに行くのか 282
銀の弾丸
変異
ハーバード大学の予測
2 共生するための医療システム 284
病院、介護施設、保健所
PCR検査
日本版CDC
3 共存するための社会システム 287
何を変えるか、何を変えないか
官僚制度
デジタル化
働き方改革
教育
限りある成長
グローバル化
環境問題
4 経済とコロナ対策のトレードオフは存在するか 293
感染症と経済への対策は両立できる
おわりに(2020年11月 黒木登志夫) [297-300]
再校時の追記(Note added in proof) 301
1. 第三波
2. グーグルによる日本の感染予測
3. ヨーロッパの感染爆発
4. ミンクのコロナ
5. 98%以上有効なワクチン開発
引用資料 [308-326]
[コラム]
1 ウイルス名 034
2 ベロ(Vero)細胞 036
3 変異 044
4 感染した医師の手記 064
5 コロナ感染を自己診断するメニュー 066
6 パルスオキシメータ 069
7 死亡判断書の書き方 075
8 致死率と死亡率 076
9 カーマック・マッケンドリックのSIRモデル 084
10 有効再生産数(R_t)の計算 086
11 有効再生産数のサイト 090
12 方方『武漢日記』 108
13 生物学的安全レベル 119
14 ダイヤモンド・プリンセス号からの帰還 142
15 PCR発見物語「もう一つ大発見ができますね」 211
16 安心のための注射 222
17 最初のワクチン物語 249
18 集団免疫に必要な免疫保有者の計算 254
19 院内感染:看護師の手記 266
20 保健所に134回電話して、やっとPCR検査 279
【関連サイト】
著者のブログとのこと。
コロナウイルスarXiv @ 「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」