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『ルポ自殺――生きづらさの先にあるのか』(渋井哲也 河出新書 2022)

著者:渋井 哲也[しぶい てつや](1969-) ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
NDC:368.3 社会病理 >> 自殺.自殺防止


ルポ自殺 :渋井 哲也 | 河出書房新社


【目次】
目次
図(自殺者の年次推移)


はじめに 
  若年層や女性の自殺者数増加はコロナ禍だから?
  自殺とはどんな現象か?
  「生きづらさ」の発見
  「自殺」を取材する理由
  自殺のリスク要因と取材のバイアス
  自殺をどう位置付ける?
  心理学的剖検は役に立たない?
  本格的調査はされない「理由」「死因」
  「見えない」自殺の理由


第1章 バブル経済崩壊から自殺対策へ
  社長3人が同時に自殺!?
  新聞記者を辞めてから自殺をテーマに
  借金と離婚が希死念慮の引き金か
  彼女との喧嘩をきっかけに
  就職活動で失敗し、自殺掲示板へ
  起業した会社がうまくいかず
  40代の自殺者のピークを迎える
  バブル崩壊後に自殺急増期に。世代効果も
  自殺対策はいつから?
  「自死遺児」の声が大きくなり、基本法
  国会議員との連動
  自死遺児と自殺のリスク
  自律神経失調症や会食恐怖症に


第2章 インターネット時代の自殺
  ドクター・キリコ事件~毒物配送自殺幇助事件
  「ドクター・キリコの診察室」という掲示板を設置
  ネット心中が起きる
  連鎖するきっかけの入間市のケース
  自殺系掲示板で呼びかける
  自分語りをしない呼びかけ人
  呼びかけ人のメールの中身
  ネット心中のやりとり
  自殺系掲示板でネット心中を止める
  参加する中でグループから離れる
  ネット心中のウェルテル効果
  ネットの中にヒントがあった自殺方法
  自殺の生放送配信「コミュは、妹に相続する」
  ニコ生での自己顕示
  配信での中継が連続する
  自殺の理由はナンパの失敗?
  中学生も配信して自殺


第3章 効果的な自殺対策はあるか
  SNS相談のきっかけは座間事件
  インターネット規制~座間事件以前から
  自殺願望を吐き出したことで殺人事件へ
  「自殺誘引情報」の削除の取り組み
  SNS相談の強化へ
  SNS相談は誰に届いているのか
  児童生徒の自殺予防教育
  生徒指導による自殺への対策は不十分
  コロナ禍での女性の自殺増加
  年代によって、地域によって違う傾向
  自殺報道はどこまで影響するのか
  自殺は男性、未遂は女性が多い
  若年層ほど未遂が多い


第4章 子ども・若者の自殺
  虐待を受けた上、夢を否定された少女
  性的虐待の加害者は兄。しかし、唯一の居場所
  運営するネット掲示板で自殺予告
  子どもの自殺
  リタリン・ネットワークに翻弄され、自殺
  「同じような悩みを持つ人たちにも使ってほしい」
  死の前にリタ抜きをしていた
  薬物にハマる背景
  マジックマッシュルームとの出会い、人間関係への依存
  狭い社会のなかで
  スプレー缶で落書き
  練炭自殺の実験
  教師からの性被害を受け、噂話が立った後に自殺
  理科準備室で指導中に
  わいせつ行為発覚以前にも予兆が
  「自分の娘と同じ年齢。同じくらい可愛かった」
  不適切な指導・叱責を受けた翌日に自殺
  事実確認が十分ではない指導は「不適切」
  「もう誰とも連絡を取るな。しゃべるな」
  顧問は暴言を吐いていた
  判決では指導を契機として生じたものとしたが……
  個別指導を受けたあとの自殺
  遺族が抱く疑問
  怒鳴り声・暴言・威圧


第5章 女性の自殺
  コロナ禍で職場の人間関係に追い詰められる
  2度も救急搬送される
  自傷行為は気が紛れる?
  男女7人ネット心中
  運営していたサイトは「死にたい症候群」
  性的虐待のサバイバー
  「自殺クラブ」で一緒に自殺する人を募る
  別のグループで
  一度の未遂を経て、再び「自殺クラブ」で募集
  最後に見せた笑顔
  2度目は薬の大量服薬
  小学校からの慢性的な「死にたい」思い
  いらだちからの摂食障害リストカット
  性被害と不信感
  「死にたいなら人に迷惑をかけるな」
  インターネットで共感を求める
  もっとレベルの高い高校へ。それがプレッシャーに?
  食へのこだわりから過食嘔吐
  家族本位の過剰適応のパターン
  「よい子」でいることの葛藤
  現実逃避としてのOD[overdose]とリストカット
  父親と対峙したくないと、ODからの中毒死
  地下アイドルの死
  アイドルになろうとした理由
  発端はカフェのオーナーとのトラブル


第6章 理由なき自殺
  世紀末的不安
  どうして生きているのですか?
  「理由なき自殺」をした少年
  アノミー的自殺
  遺書もなく、理由も定かではない自殺
  直前は精神疾患の可能性があるが……
  もし、私が死んだらそれは自殺です
  直前のきっかけは……
  孤立していたわけではない
  「死にたい」と「消えたい」
  統計上つくられる「理由不明の自殺」
  簡単な調査では把握できない自殺が増える?


おわりに 
 「失われた30年」と自殺者数
  同級生や恋人という「遺族」
  ケアとして役立ったのは……
  未遂者との信頼関係を築けるか
  ハーム・リダクション



【関連記事】
・本書で言及された古典二冊。
Émile Durkheim(1897) Le suicide: Étude de sociologie. [宮島喬[訳]、『自殺論』、中央公論新社(中公文庫)、1985年。]

Gustave Le Bon (1895) La psychologie des foules. [桜井成夫[訳]『群衆心理』講談社講談社学術文庫)、1993年)]


・白書。
 厚生労働省[編集]『自殺対策白書 令和4年版』
 令和4年版自殺対策白書|自殺対策|厚生労働省


 目次構成。

  本体
第1章 自殺の現状
  1 自殺統計に基づく自殺の状況
  2 人口動態統計に基づく自殺の状況
  3 令和3年の主要な自殺の状況
  4 令和3年の詳細な自殺の状況
  5 令和3年の月別・曜日別の自殺の状況
  6 令和3年の都道府県別の自殺の状況
  7 海外の自殺の状況

第2章 自殺対策の基本的な枠組みと新型コロナウイルス感染症の感染拡大下の自殺の動向等の分析
  第1節 自殺対策の基本的な枠組み
  第2節 新型コロナウイルス感染症の感染拡大下の自殺の動向
  第3節 学生・生徒等の自殺の分析

第3章 令和3年度の自殺対策の実施状況


  資料編
資料1-1 自殺総合対策大綱における施策の実施状況
資料1-2 座間市における事件の再発防止策の実施状況
資料2 自殺対策に関する参考統計資料<<