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『議論入門――負けないための5つの技術』(香西秀信 ちくま学芸文庫 2016//1996)

著者:香西 秀信[こうざい・ひでのぶ] (1958-2013) 修辞学、教育学。
原本:『議論の技を学ぶ論法集』明治図書
内容:ディベート用の説得技法を例示し解説する本。大学生レベルの授業を想定しているとのこと。
NDC:375.8 国語科.国語教育


筑摩書房 議論入門 ─負けないための5つの技術 / 香西 秀信 著


【目次】
目次  [003-005]


序――議論の技を学ぶ 009
注 016


第1章 定義 017
1 最も必要なことだけの定義 018
2 説得的定義――論証的定義 031
3 定義としての名づけ 053
4 反論に関する若干の注意 062
注 071


第2章 類似 077
1 正義原則 078
2 暗示的人格攻撃 085
3 相手の主張を不条理に帰結させる論法 092
4 その他のヴァリエーション 098
5 反論の方法 105
注 118


第3章 譬え 123
1 関係の誇張 124
2 論争の武器としての笑い 136
3 価値の転移による効果 141
4 譬えの脆弱さと反論の方法 144
注 153


第4章 比較 157
1 a fortiori ――より強い理由によって 158
2 勿論解釈とその応用 174
3 反論の可能性――誰にとっての「より」なのか 187
注 197


第5章 因果関係 199
1 これは「論法」か? 200
2 原因による正当化 213
3 結果による正当化 224
4 反論の方法 237
注 248


あとがきにかえて――高専柔道と学問(平成八年五月二八日 香西秀信) [252-255]




【抜き書き】


◆「序」の冒頭より、テーマと問題意識(p. 9)。

[一] 本書は、議論指導に関心のある教師に、指導のための補助資料を提供するという目的のもとに執筆されたものである。
[ニ] 最近、ディベートや討論など、議論領域に属する活動の重要性が指摘され、その実践も盛んになってきている。そのこと自体は大いに結構であり、喜ばしいことであるが、一般的に見てそれらの指導には大きな欠点がある。それは、そこでは議論という活動を体験させることが授業の主たる目的となってしまっていて、議論に勝つための具体的な技はほとんど教えられていないということである。


◆実際的な議論のご提案(p. 10)

[三] したがって、議論指導の基礎訓練として、ある事を論じる(論証する)にはどのような方法が可能かということを取り立てて教える必要がある。本書では、まずそれを指導する教師に、基本的な論法についての様々な情報を与えることをねらいとした。


◆本書における論法の分類(p. 12)

[四] 蛇足にしては長すぎたようである。ここで、私が議論指導の出発点として選んだ、基本的な論法の種類を示したい。「定義」・「類似」・「譬え」・「比較」・「因果関係」の五つがそれである。この分類については、何か特別の演繹的根拠があるわけではない。私の一応の専門である古典修辞学での論法分類をもとにして、不要と思われるものは削除し、包含関係にあると考えられるものは一つにまとめて、大体独立していると思われるものを選んだ結果である。論法の名称が奇妙に感じられるかもしれないが、これも古典修辞学での名称をそのまま借用したものだ。なお、この分類はあくまでも整理上の方便にすぎないものであり、選言的(disjunctive)な厳密さを有するものではない。つまり、ある論法の型に所属させた議論が、観点を変えれば、別の型に分類されることもありうるということである。



◆「序」の締めと初出情報(p. 15)。

[六] 断わる必要もないと思うが、この五つの論法で、議論法のすべてが説明できるわけではない。議論は多彩で複雑なものであるから、それに熟達しようと思えば、より多くのことを学ぶ必要がある。〔……〕まずは基本から始めていただきたたい(※)。


※ 本書の第1章から第3章までは、すでに発表された論文にもとづいているので、ここにその初出論文を記しておく。ただし、いずれも大幅に加筆・修正してある。

第1章 ―― 「説得的言論の発想型式に関する研究(2)――類および定義からの議論」、『宇都宮大学教育学部紀要』、39(平成元年2月)第一部、1〜23ページ。
第2章 ―― 「正義原則と類似からの議論」、『日本語と日本文学』、16(平成4年2月)、9〜18ページ。
第3章 ―― 「譬え」による議論の修辞学的分析」、『日本語と日本文学』、13(平成2年10月)、1〜9ページ。