著者:鹿毛 雅治[かげ・まさはる](1964-) 教育心理学。
件名:動機づけ
NDLC:SB115
NDC:141.72 心理学 >> 普通心理学.心理各論 >> 行動.衝動 >> 動機づけ
【目次】
はじめに――やる気と意欲を問う 「やる気」と向き合う私たち [i-ix]
やる気と努力
意欲――意志+欲求
やる気や意欲の高め方?
モチベーションとは
本書の目的――素朴理論を超えて
目次 [x-xviii]
第1章 モチベーションとは何か 001
1 なぜモチベーションが問われるのか――「達成」をめぐって 001
人をコントロールするという関心
日常生活における達成とその意義
2 モチベーションへの心理学的アプローチ 005
行為の理由としての「動機」
モチベーションをめぐる3つの問い
(1)行為始発の問い
(2)行為持続、行為終結の問い
(3)方向づけの問い
3 モチベーションの2側面 010
エネルギー性――量的側面
方向性――質的側面
4 プッシュ─プル・モデル――押す力と引く力 013
5 動因モデルと誘因モデル 016
6 接近─回避モデル 019
誘意性と快楽原則
方向性の合力と葛藤
感情の種類とはたらき
7 場モデル 人と環境の相互作用 024
「場」とは何か
場の力学
8 モチベーション心理学の挑戦 030
第2章 モチベーション理論の展開 031
1 やる気はどのように説明されてきたのか 031
2 外発的動機づけと内発的動機づけ 034
やる気には種類がある
外発的動機づけ――ムチを避け、アメを求める
内発的動機づけ――好きだからやる
コンピテンス――学習と成長を促す生得的能力
3 欲求理論――性格がやる気にあらわれる 042
『白い巨塔』にみるモチベーションの違い
パーソナリティと心理的欲求
3つの社会的欲求――達成欲求、支配欲求、親和欲求
達成欲求――やる気満々な人とは?
(1)達成物語にみられる個人差
(2)経済発展と達成欲求
自己実現と欲求階層説
4 期待×価値理論 059
期待とは、価値とは
かけ算の「積」としてのモチベーション
道具性理論――価値と期待をさらに分析する
5 モチベーションの現象学――われわれはやる気をどう体験するのか 066
モチベーションの3水準
意欲的な姿とは
「やらせる─させられる」という感覚
エンゲージメント――集中、熱中、夢中
6 グランドセオリーからミニセオリーへ 076
第3章 達成と価値――目標説 079
1 価値とモチベーション 079
もし1年間好きなことをするとしたら?
何が価値かは人によって違う
課題関連価値――なぜこれをするのか
2 目標とモチベーション 087
そもそも目標とは何か
目標の個人差と階層構造
目標設定理論――どのような目標を立てるべきか
3 目標内容アプローチ 095
「したいこと」の背後に潜む理由
エゴかタスクか
達成目標理論――何のために達成を目指すのか
(1)パフォーマンス目標とマスタリー目標
(2)2種類のパフォーマンス目標
(3)課題関与と自我関与
(4)マインドセット――成功と失敗をめぐる信念システム
他者のためのやる気
(1)他者志向的動機と利他的動機づけ
(2)親密動機と社会的コア動機
(3)自己イメージ目標と思いやり目標
(4)社会的目標と多重目標プロセス
4 目標プロセスアプローチ 114
私たちは目標を調整する
意図――行為へのスタンバイ状態
自己調整――行為を自ら調節・修正する
(1)フィードバックとフィードフォワード
(2)目標階層構造と自己調整
(3)感情と自己調整
セルフ・コントロール――意志力
(1)ルビコンモデル――カエサルの決断
(2)マシュマロ・テスト――我慢できるかな?
(3)「筋肉」としての意志力
決意前と決意後――目標プロセスとモチベーション
第4章 成功と自尊心――自信説 135
1 期待とモチベーション 135
自信がモチベーションを左右する
予期と信念
2 随伴性認知と学習性無力感 140
「為せば成る」という自信
無気力のメカニズム
われわれに身近な学習性無力感
3 自己効力 結果期待と効力期待 146
自己効力研究の実際
(1)ヘビ恐怖症を治療する
(2)3つの切り口で自己効力が理解できる
(3)自己効力を左右する4つの情報源
4 自己概念とモチベーション 154
自己をめぐる3つの動機
自己概念とその構造
自己価値理論――自分のプライドを守るために
(1)「諸刃の剣」としての努力
(2)失敗回避方略――無能さをさらさないために
自己不一致理論――自己像をめぐるダイナミズム
5 自尊心とモチベーション 164
李徴はなぜ虎になったか
自尊心とは
自己価値随伴性――自尊心の拠り所
ナルシシズムと「本当」の自尊心
自尊心追求のコスト
第5章 学びと発達――成長説 177
1 成長へのモチベーション センス・オブ・ワンダー 177
人は怠けものではない
人は環境と関わりあいたい
人は意味を希求する
自己実現のもうひとつの側面
ポジティブ感情の恩恵
2 没頭のメカニズム――集中する、熱中する、夢中になる 192
興味は学びの出発点
どんでん返しと認知的動機づけ
没頭が成長を促す
3 自己決定理論 205
報酬が意欲を低下させる?
自己決定理論のはじまり
最も基本的で重要な3つの欲求
自律化する外発的動機づけ
あなたの人生の目標は?
第6章 習慣と態度――非意識説 221
1 心理学界に「自動性革命」が起こった 221
意識が先か、行為が先か
二重プロセス――システム1とシステム2
潜在的モチベーションと自動性
2 習慣――決して目立たない偉大なモチベーション 227
習慣によって成り立つ日常
習慣への関心とその変遷
行動分析学と新行動主義
(1)三項随伴性――ABC分析
(2)動因低減説と行動の定式化
習慣化のメカニズム
(1)フィードバック説
(2)認知説
(3)習慣の二重プロセスモデル
習慣がもたらす恩恵
(1)非意識による効率化
(2)心理習慣と卓越性
3 態度――思わず振る舞ってしまうのはなぜか 241
「読書に対する態度」とは
態度のしくみ――三構成要素モデル
潜在的態度とその測定
態度とモチベーション――計画的行動理論
第7章 場とシステム――環境説 251
環境がモチベーションを生み出す
1 アメとムチの神話 251
罰の弊害
(1)尻を蹴とばせ方略
(2)「罰なき世界」を
報酬の効用と限界――させる理論、させる方法
(1)報酬システムの弊害
(2)報酬システムのメリット
(3)報酬システムの進化――成果主義と目標管理
(4)報酬システムは真のモチベーターではない
2 競争という信仰 270
テクノロジーとしての競争
競争とはゼロサムゲームである
競争は効果的なのか?
3 ほめればやる気が高まるのか 276
フィードバックとしてのほめ言葉
ほめ言葉のメリット、デメリット
4 「システム」としての環境 284
「北風と太陽」
「システム」をめぐる難問
(1)X理論とY理論――モチベーションに関する信念
(2)組織と人間性のジレンマ――融合の可能性を探る
(3)太陽型アプローチへ――デザイン原理とは
協同と互恵性
(1)社会的相互依存理論と目標構造
(2)協同の理想と現実
自己調整とエンパワメント
(1)応答性――「トーキング・タイプライター」に学ぶ
(2)随伴性――システムとしての自己評価
(3)権限性――選択の機会を提供する
エンゲージメントと学び
(1)興味を喚起する
(2)注意を持続させる
(3)活動の意味や価値が実感できる
(4)チャレンジしがいがある
個性と環境適合
5 「場」としての環境 322
予期せぬ事態が生んだ予期せぬ行動
行為を創発する「場」
「あなた」と向き合う心構え
感情的な絆と「居心地のよい生活空間」
場の「空気」――モチベーションの伝染
終章 「モチベーションの心理学」に学ぶ 339
「○○モデル」としての人間
人の共通性と多様性、そして多面性
達成の逆説
「達成=成功」か?
「居る意欲」と誠実さ
謝辞 [352]
注 [353-371]
キーワード一覧 [372-377]