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『発表倫理――公正な社会の礎として』(山崎茂明 樹村房 2021)

著者:山崎 茂明[やまざき・しげあき](1947-) 図書館情報学。科学コミュニケーション(レフェリーシステム、研究業績評価、科学発表倫理)。
NDC:407 研究法.指導法.科学教育
件名:科学者倫理


発表倫理 書籍データ 樹村房

 本書は、発表倫理を研究不正に対する解法とみなし、特に、オーサーシップをめぐる深刻な問題に焦点をあてている。明確な将来像を示めすために、歴史を掘り起こし、現在の事例と向き合い、 さらには、研究世界を映しだす鏡として文献データベースを位置づけ、論文データから研究動向や活動実態を俯瞰した。


【目次】
口絵 [/]
口絵改題 [/]
まえがき [001-002]
目次 [003-007]


  I部 研究環境の改善 

1章 科学研究目的の変化 010
  講演会の場で
  知的好奇心からの出発
  科学研究が生活を豊かにする
  科学研究を伝える
  変わる目的と変わらない目的


2章 繰り返される研究不正――求められる環境改善 018
  学術論文の信頼性
  信頼性を支えるレフェリーシステム
  研究不正の定義
  主な研究不正事件
  最近の国内主要事例
  研究環境の変化と今後のあり方


  II部 研究不正文献を可視化する

3章 ミスコンダクト文献を可視化する 034
  ミスコンダクト文献へのアプローチ
  データセットの形成と調査方法
  ミスコンダクト文献数の年次変化
  ワードクラウドから見たミスコンダクト文献
  ミスコンダクト領域のキージャーナル
  筆頭著者ランクの変化と掲載誌から、キーパーソンを識別する


4章 論文発表から見たミスコンダクト 045
  研究プロジェクトの監視
  論文発表からミスコンダクト研究を展望する
  研究公正局の企画によるミスコンダクト研究会議
  共出現キーワードから見た特性
  ミスコンダクト文献はいかなる視点から論じられてきたか


5章 医中誌Webから見た国内ミスコンダクト文献の分析 058
  いかに論じられているか
  ミスコンダクト文献数
  筆頭著者ランキング
  発表誌ランキング
  シソーラスランキング


  III部 発表倫理の展開

6章 生命倫理から発表倫理 068
  研究行動の公正さ
  研究公正局
  研究公正局とフィッシャー事件
  情報公開への取り組み
  ミスコンダクト事例に付きまとうもの
  オーサーシップ
  ピアレビューのオープン化
  研究環境の改良


7章 発表倫理から論文の書き方を再考する 081
  問題解決能力の育成
   「論文作法」の文献と図書
  論文は知識社会を支える
  データからファクトへ
  巨人の肩の上に立つ
  引用とは
  コピー・アンド・ペースト
  著者とは
  著者の責任とは
  発表しないのはミスコンダクト


8章 Honest errorから研究の誠実性を考える 093
  誠実という言葉
  誠実は共有する価値
  理化学研究所の対応方針
  誠実な誤り、事例から考える
  誠実さ


  IV部 事例から問う

9章 訂正記事を透明化する 102
  訂正記事
  米国国立医学図書館への問い合わせ
  訂正記事の表記事の掲載誌ランキング
  質の維持に抵触するオープン・アクセス誌のビジネスモデル
  訂正理由と発生場所


10章 研究公正局の不正調査手順モデルから学ぶ 112
  アエラ誌からのインタビュー
  ヒューマンエラーと研究環境を問う
  2004年の理研事例
  研究公正局の調査モデルから見る
  不正対象3論文の運命
  日本人例を中心に


11章 同等の寄与は受容されるか 125
  同等の寄与とは
  主要誌を対象にした調査
  業績の水増しと改ざんによる流通の混乱
  批判的な視点
  科学界の合意形成へ向けて


V部 歴史を振り返って

12章 ランセット誌の発刊と社会改良家トーマス・ウェイクリー 136
  ランセット誌とは ウェイクリーの碑銘板
  社会改良家
  偽医者
  薬の成分を伝える
  ウェイクリーの多忙な1日
  ウェイクリー・ストリートの起こり
   ウェイクリー・ストリートを歩く
  ウェイクリーの再評価
  創刊時の編集オフィス
  ロンドンの古地図


13章 メディカル・フィジカル誌の創刊と王立協会誌に却下されたジェンナー論文 154
  学術誌の創刊
  英国における医学雑誌の発刊
  表紙と編集者
  表紙に掲載されたキケローとベーコンの言葉
  序言から
  種痘実験を支持したメディカル・アンド・フィジカル・ジャーナル
  博物学者としての王立協会誌への投稿
  ジェンナーの種論文を受理しなかった王立協会誌


14章 ラッシュとコールドウェルの盗用をめぐる確執 170
  盗用事件
  ベンジャミン・ラッシュのリトグラフ
  ヒロイックなラッシュの治療法
  黄熱病をめぐる先取権争いと盗用
  師弟関係の崩壊
  学位審査をめぐる争い
  コールドウェルのシルエット


15章 健全な研究環境を目指して 180
  振り返ると2004年が転換点
  研究倫理教育から学ぶ
  日本からの英文論文
  発表を支える海外商業誌
  オープン・アクセス誌の矛盾


引用・参考文献 [187-196] ([xi-xx])
初出一覧 [197] ([x])
索引 [198-206] ([i-ix])