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『物語論 基礎と応用』(橋本陽介 講談社選書メチエ 2017)

著者:橋本 陽介[はしもと・ようすけ](1982-) 比較文学。文体論。テクスト言語学


『物語論 基礎と応用』(橋本 陽介):講談社選書メチエ|講談社BOOK倶楽部


【目次】
はじめに 「物語論」とは何を論じるのか
目次


  第I部 理論編

第一章 「物語」の形態学 
  『めぞん一刻』は「よくある話」
  あらゆる魔法昔話は同じ型
  プロップの「三一の機能」 人物は行為に従属する
  花と花束の関係
  ブレモンの可能性の論理
  バルトの『物語の構造分析序説』
  物語に時間はあるか
  視点を持つ人物、語り手となる人物
  物語論の系譜
  「物語論」、および「物語」という用語について
  フランス語、英語、日本語の「物語」


第二章 物語に流れる「時間」
  「内容」より「形式」を重視する
  「形式」「内容」と「物語行為」
   「物語内容の時間」と「物語言説の時間」
   『百年の孤独』の恐るべき冒頭
  ジュネットの時間の分類
  「持続」の分類――休止法と情景法
  要約法と省略法
  叙述の速さ
  「頻度」の分類
  物語を語る位置と時間
  ジュネットに先立つ理論
  物語現在的語り
  時間のダイクシス
  回想的な小説の場合
  『こころ』の直接話法
  森鴎外舞姫』の「回想構造」
  芥川『南京の基督』の誤解
  言文一致運動と「過去形」
  二葉亭四迷の翻訳の文体 


第三章 視点と語り手
  誰が語り、誰が見るのか
  バルトの視点論
  叙法とは何か
  セリフ表現の分類
  距離と臨場感
  パースペクティヴと焦点化
  外的焦点化と内的焦点化
  『藪の中』は「内的多元的焦点化」
  語られないはずのことが語られる場合
  態、すなわち「語り手」の理論
  語りの審級
  語りの時間、語りの水準
  メタ物語物語内の物語
  語りの水準が変わる転説法
  人称――語り手はどこにいるか
  「誰が語るか」と話法
  自由直接話法――ジョイスユリシーズ』で多用
  自由間接話法
  自由間接話法の効果


第四章 日本語の言語習慣
  自由間接話法を使用する理由
  日本語への自由間接話法の翻訳
  オーバーラップした語り
  日本語の英語訳例から
  『1Q84』の英語訳
  ヨーロッパ言語から日本語への翻訳


第五章 ノンフィクションは「物語」か
  ノンフィクションの場合
  ルポルタージュの物語化
   『竜馬がゆく』の語り
  歴史は「物語」か
  現実と虚構
  なぜ「心情」と「出来事」が問われるのか


第六章 物語論への批判
  「詩学」のアプローチ
  読者の受容の問題
  作者や歴史、社会との関係
  その他の理論書とその後の発展


  第II部 分析編

第七章 「おもしろい展開」の法則
  その物語は、どう出来上がっているか
  『シン・ゴジラ』の物語構造
   「排除→失敗」のシークエンス
  観客の予知とフラストレーション
  「指標」「叙述の速度」「視点」
   『エヴァンゲリオン』の期待を裏切る展開
  「ひどい」映画監督、キム・ギドク
  ゲームが破った「物語の常識」
  トニ・モリスン『ビラヴド』の意外性
  特殊な時間展開――ルルフォの『ペドロ・パラモ』
  創作への応用――『ドラゴン桜』『暗殺教室』『スラムダンク
  単線的な『半沢直樹』、複線的な『進撃の巨人
  読者を欺く展開の「コマドレス坂」
  ジャンルを逆手に取る――『ワンパンマン』『まどか☆マギカ
  おもしろい物語の構造とは


第八章 叙述のスピードと文体
  省略する方法――カフカ『田舎医者』
  余華『血を売る男』のデタラメさ
  省略で愛情を描く
  タルコフスキーの時間展開
  ライトノベルの体験性
  説明、描写、出来事の叙述
  ガルシア=マルケスと新聞記事の文体
  『百年の孤独』――「魔術的リアリズム」の文体
  詳細情報の描写
  修飾語部分への注目
  莫言の「誤読」


第九章 登場人物の内と外
  エンターテインメント小説と視点
  視点の変更――『シュタインズ・ゲート』などの場合
  『悪童日記』の客観的な残酷
  マンスフィールドの間接的な感情表現
  『この世界の片隅に』と間接的感情表現
  『蒲団』の内面描写


第十章 さまざまな語りの構造
  一人称の語り手の個性
  フォークナー『響きと怒り』にみる語り手の個性
   『オレンジだけが果物じゃない』―――価値観の混在
  V・S・ナイポール『ミゲル・ストリート』
  ボルヘス『八岐の園』
  アレナス 『めくるめく世界』


第十一章 「物語」のこれから
  物語の諸形式
  ロシアのアネクドート
  「長さ」に決定される構造
   「歴史」と物語
  霧社事件を描いた『セデック・バレ
  歴史物語とイデオロギー
  現実世界と物語世界
  

おわりに 人間だけが物語る 


引用文献
主要参考文献