原題:Whiteshift: Populism, Immigration and the Future of White Majorities (Harry N. Abrams, 2018)
著者:Eric Peter Kaufmann(1970-) 政治学(北アイルランドのオレンジ結社、ナショナリズム、政治・宗教人口学など)。
訳者:臼井 美子[うすい・よしこ] 英日・仏日翻訳。
解説:西山 隆行[にしやま・たかゆき] 政治学(アメリカ政治)。
装丁・DTP:たけなみゆうこ イラストレーター/デザイナー。内藤由有子(※右記サイトには《※「たけなみゆうこ」はイラストレーターとしてのペンネームです。》とあるが、本書の奥付では装丁者が「たけなみゆうこ」と記載している。本書にイラストは無い)。コトモモ社。
件名:人種問題
件名:白人
NDLC:EC131 社会・労働 >> 社会学 >> 社会集団 >> 人種集団
NDC:316.8 政治 >> 国家と個人・宗教・民族 >> 民族・人種問題、民族運動、民族政策
WHITESHIFT[ホワイトシフト] 白人がマイノリティになる日 – 亜紀書房のウェブショップ〈あき地の本屋さん〉
【目次】
目次 [001-005]
第一章 白人がマイノリティになる世界――ホワイトシフト 007
データの重要性
白人の民族伝統主義
世界史における移民とエスニック集団
なぜ今なのか?
闘争、抑圧、逃亡、または参加
闘争
抑圧
左派モダニズム
逃亡か参加か?
白人マジョリティの未来
第一部 闘争
第二章 ホワイトシフト前章――アメリカ史におけるWASPから白人への転換 048
移民の国?
アングロアメリカ人の「移民排斥主義」
リベラルな移民伝統
経済競争と移民政策
移民制限の始まり
人種差別、反人種差別と移民
自由進歩主義者
若き知識人たちと多文化主義の誕生
移民制限主義者の空白期間、一九二四年~一九六五年
一九六五年――アメリカの門戸開放
アメリカのマジョリティ―― WASPから白人〔ホワイト〕へ
白人であること〔ホワイトネス〕が力ではなくアイデンティティの問題である理由
第三章 トランプの台頭――移民時代の民族伝統主義的ナショナリズム 096
価値観と反移民政策
知識人のエスニック・ナショナリスト
一九六五年以降の価値観と移民の受け入れに対する態度の変化
一九六五年以降の移民政策
英語公用語化
新保守主義〔ネオコンサヴァティズム〕と共和党のエリート
宗教右派
宗教右派の衰退
原保守主義者〔ペイリオコン〕と新保守主義者〔ネオコン〕
パット・ブキャナンのアメリカ第一主義
提案一八七
メディアと移民問題の顕著性
草の根運動の反乱――国および州の反移民政策
連邦移民闘争 (二〇〇五年~二〇一四年)
移民と党派的分極化
右翼メディアの台頭
トランプの台頭
トランプ勝利の理由
別種の価値観によって投票する有権者
問題は移民
トランプに投票するマイノリティたち
問題なのは、移民に対する態度ではなく、移民問題の顕著性
ムスリムという要因
新たな移民制限主義者のエリートたち
第四章 英国――英国保護区の崩壊 191
歴史的見地から見た反移民政治運動
一九九七年以降の移民問題の顕著性の高まり
英国の開国――ブレアの時代
ブレア政権下におけるリベラル・ナショナリズム
多文化主義の崩壊
多様性か団結か?
東欧と移民
BNPの台頭
なぜ地方の問題は国家の問題より重要度が低いのか
UKIPの台頭
二〇〇〇年代における移民問題と政界再編成
保守党の勝利
発言、抑圧、UKIP
階級――PCの新たな形?
ブレグジット――英国のEU離脱
EU離脱投票の説明
社会心理学とブレグジットへの投票
移民の中心的役割
ブレグジッ投票の余波
第五章 欧州における右派ポピュリズムの台頭 291
東西のポピュリズム
右派ポピュリストの台頭
欧州への移民
ムスリム
移民の増大
欧州での安全?
避難と定住の境界線があいまいになると、なぜ危険なのか
バックラッシュと分極化
移民問題の顕著性と右派ポピュリスト政党への投票
難民危機とEU
移民と政治への信頼
焦点はムスリム
分極化
欧州懐疑主義
思想闘争
新たな常態〔ニューノーマル〕?
第六章 カナダ特殊論――アングロスフィアにおける右派ポピュリズム 360
民族変化――英国系入植者社会の比較
新世界は他の国々とは異なるのか?
カナダ特殊論?
相対的に見たカナダ人の移民に対する態度
ケベック特殊論
大陸の分断―― 英語圏カナダとアメリカ合衆国
異なる性質の社会?――英語圏カナダと欧米
第二部 抑圧
第七章 左派モダニズム―― 一九世紀のボヘミアンから大学闘争まで 398
道徳による政治スタイル
人種差別主義者は誰か?
左派モダニズム――イデオロギーの歴史
モダニズムと反ナショナリズム
大学キャンパスにおける公民権運動とアイデンティティ政治の出現
白人の罪悪感と反人種差別という宗教
大学キャンパス外の左派モダニズム
「反人種差別という宗教」と白人特権
人種差別の意味に関する矛盾
多文化的幻想
学問の世界を超えた左派モダニズム
反人種差別という宗教とナショナル・アイデンティティ
第八章 左派モダニズムと右派ポピュリストの戦い 461
多文化主義は死なず
被抑圧者の帰還
人種的自己利益
移民と人種差別
二重規範に挑戦し、意見の穏健化をもたらす
第三部 逃亡
第九章 避難――白人マジョリティの地理的・社会的退却 520
白人の逃亡
白人は逃げているのか
白人の退却?
不寛容な白人は多様性に富む地域から出ていくのか?
二つの国?
避難する――白人の社会的ネットワーク
多様性と連帯
多様性に富む社会の結束力は弱いのか?
部族主義、離脱、そして発言
第四部 参加
第十章 サラダボウルか坩堝か?――欧米における異人種間結婚 574
異人種間結婚
新しい人間?
マジョリティの民族境界の変化
民族混交の地理学
第十一章 白人マジョリティの未来 601
民族分離
融合のダイナミクス
将来の人口推計
混血人種はどのようなアイデンティティをもつのか
どの集団が同化の恩恵を受けるのか?
坩堝のなかの白人
坩堝かモザイクか?
肌の色による階層化
世論――モーリシャスかメキシコか?
クレオールのナショナリスト
第十二章 「非混血の」白人は絶滅するのか? 636
ホワイトジェノサイド
白人によるテロ
ホワイトジェノサイド説は完全に誤ったものなのか?
未来のシナリオ
白人原理主義者
白人の核の堅牢性
第十三章 ホワイトシフトのナビゲーション――包摂的な国の包摂的なマジョリティへ 679
地方および国家の反応
民族伝統主義的ナショナリズムの政治学
均整のとれたアイデンティティ政治
移民に対する二つのモデル
形を変えたことによる悲劇
コスモポリタンと地方住民の間のバランスを見つける
多義主義――柔軟なナショナリズムに向かって
開放的な白人マジョリティに向かって
謝辞(二〇一八年二月二五日 ロンドン エリック・カウフマン) [717-718]
解説(西山隆行) [719-737]
民族変化と白人の四つの反応
①闘争
②抑圧
③逃亡
④参加
本書の特徴
参考文献および原注 [738-782]
【図一覧】
本書の図のキャプションには、「図・グラフの説明」だけではなく、代わりに「調査の解釈」が書かれている図も多い(私の経験から判断すると、これは本書の特徴の一つといってもいいと思う)。したがって本文と照らし合わせないと概要がつかめない。
基本的にそのまま載せているが、明らかな誤植(図7-5)や、とくに説明が必要そうな部分(図11-6や図12-9)には、墨付き括弧【 】で補足を加えた。
また、ここに出典は載せていないが、それぞれの図に出典が示されている。
図1-1 国別出生率 027
図2-1 アメリカ合衆国における外国生まれの住民数とその総人口に占める割合(1850-2010) 054
図3-1 南西部の国境における移民逮捕者数(1960-2016) 098
図3-2 ギャラップ世論調査(移民受け入れ数について)(1965-2017) 107
図3-3 移民をアメリカの最重要問題とする人々の割合(対アメリカ成人比)(1994-2014) 139
図3-4 移民を最大の課題とする「非常に保守的な」白人のアメリカ人の割合(2012.01-2017.07) 141
図3-5 民主党に投票した有権者、共和党に投票した有権者、全有権者における非白人の割合、10年ごと 157
図3-6 移民削減を求める白人のアメリカ人の割合、党別 158
図3-7 移民に対する意見と所得によるトランプへの投票志向の強さ(白人のアメリカ人) 172
図3-8 移民の削減、あるいは同程度/増加を望む人々の間の2012年から2016年の選挙における変化 173
図4-1 移民に関するニュース記事、移民問題を最重要問題だと呼ぶ回答者の割合、および純移動の経時的推移 225
図4-2 2008年ロンドン議会議員選挙におけるBNPの得票率:一次選挙、標準偏差地図 238
図4-3 2014年欧州議会選挙でUKIPに投票した有権者の動向 257
図4-4 白人の移民に対する反対、投票政党別(1964~2014年) 259
図4-5 UKIPの「限界(ブレイキング・ポイント)」のポスター 270
図4-6 政治に無関心な労働党支持者が離脱を支持(英国世帯調査、白人の英国人) 273
図4-7 所得と死刑に対する支持とブレグジット 276
図4-8 移民削減、年代別、1964~2017年(英国選挙調査《BES》) 287
図5-1 欧州31か国の選挙における投票率、 政党系別(1918-2014) 299
図5-2 欧州14か国の選挙における投票率、 政党系別(1949-2013) 300
図5-3 西欧における移民と同性愛に対する態度、2014年 304
図5-4 同性愛への寛容度とエスニック・ナショナリズム(世界価値観調査) 306
図5-5 外国生まれの人口の比率、欧州国別、2002年 309
図5-6 北西ヨーロッパにおける純移動、2014~2015年 317
図5-7 欧州難民危機。1980年以降のOECD、EUおよびドイツへの難民申請者数 317
図5-8 非欧州人に対する態度は安定している (2002年~2016年) 331
図5-9 「主にイスラム諸国からのこれ以上の移民の受け入れは停止すべきだ」 という提案に対する態度 332
図5-10 現在、 [自国の] 直面する最も重要な二つの問題は何か」という質問に対する回答 333
図5-11 (地中海経由でスペインに上陸した) 非正規移民数の推移は、移民への懸念の高まりの推と一致する 334
図5-12 オランダの移民レベルとヘルト・ウィルダースのPVV に対する支持との関係 335
図5-13 月別難民到着数とAfDに対する支持、2013~17年 337
図5-14 外国生まれの入口の比率と、西欧における反移民政党の支持 338
図5-15 西欧における右派ポピュリストの最高得票率とムスリムの予測人口比率 344
図5-16 ムスリム人口比率別に見た西欧における非欧州系移民に対する態度 346
図5-17 ムスリムの人口比率、治安の重視度、 右派ポピュリストへの投票の可能性 347
図5-18 西欧17か国における中道左派の得票率の低下 351
図6-1 オーストリアにおける外国生まれの住民の出身国別割合 362
図6-2 英国系入植者国家における白人の比率(1965~2050年) 364
図6-3 英国と北米における移民に関する意見の予測因子 366
図6-4 移民を最大の問題とする白人の反移民英国人/アメリカ人 367
図6-5 アングロスフィアにおける移民の受け入れに対する反対 377
図6-6 「あなたはこれらの項目をどれほどアメリカ的だと思いますか?」 390
図6-7 「あなたはこれらの項目をどれほどカナダ的だと思いますか?」 391
図7-1 アメリカの大学における講演拒否の試み、2000年~2017年 409
図7-2 アメリカの大学の心理学部教員における [民主党支持者/リベラル] 対 [共和党支持者/保守派] の比率、 1920年~2014年 430
図7-3 アメリカの大学教授の自己のイデオロギー的位置づけ、1989年~2014年 431
図7-4 Google Books で選択された言葉の使用頻度、1960年~2000年 433
図7-5 Google Trends で選択された言葉の使用頻度、2004年~20017年【※~2017年の誤記だと思われる。図7-6も同様。】 435
図7-6 Google検索における人種差別と性差別の検索頻度、2004年~20017年 436
図7-7 ハンガリー語、スウェーデン語、ポーランド語での人種差別と性差別の検索頻度、2004年~2018年 436
図7-8 白人の割合と、 白人と黒人の不平等 451
図7-9 ラテンアメリカにおける黒人と比較した白人の所得の高さ 452
図8-1 西洋における反人種差別のタブーの衰退(1990年~2017年) 470
図8-2 右派ポピュリストの可動化スパイラル 479
図8-3 反人種差別の規範の拡大により、移民が増加し、多文化主義的政策が採用される 482
図8-4 Google Trends (アメリカ) に示された二つの用語の検索頻度(2011年~2017年)(2010年比) 485
図8-5 トランプはノンPCだと思われている(%) 486
図8-6 2015年以降、大学が国に与える影響に対する共和党支持者の意見はより否定的なものになっている(大学は国内の出来事に影響を及ぼしていると述べた人々のパーセンテージ) 488
図8-7 トランプへの支持に与える影響 (白人のアメリカ人) 490
図8-8 トランプへの投票の予測因子(白人のアメリカ人) 491
図8-9 白人のアメリカ人の白人と黒人に対する温かさ 497
図8-10 「あなたは次のことを人種差別だと思いますか」(白人とマイノリティの比較) MTurk の回答者 503
図8-11 「あなたは次のことを人種差別だと思いますか」(2016年投票) MTurk の回答者 505
図8-12 「白人が民族文化的な理由で移民の削減を求めることは人種差別か?」(%) (アメリカ) 509
図8-13 移民反対と人種差別との認識された関係 512
図8-14 「民族文化的な理由で移民を制限することは人種差別か?」(欧米と欧米以外との比較) 513
図9-1 ロンドンにおける白人の英国人とバングラデシュ人の居住地の変化、2001年~2011年 525
図9-2 白人の英国人の変化とマイノリティの変化、ロンドン、2001年~2011年 527
図9-3 アメリカの大都市部の白人人口の増加、州別、2000年~2010年 534
図9-4 英国の行政区とアメリカの大都市の統計区における白人の人口増加の比較 536
図9-5 ブリティッシュコロンビア州の都市部とオンタリオ州の地域社会における白人のカナダ人の人口増加、2000年~2011年 537
図9-6 居住地域は白人の英国人のアイデンティティにとって「非常に重要である」、行政区の多様性による、2007~2011年 549
図9-7 居住地域は白人の英国人のアイデンティティにとって「非常に重要である」、マイノリティ回答者、行政区のマイノリティの割合または宗教による、2007~2011年 549
図9-8 生徒数の増加している学校の白人の英国人の割合と増加、サウス・イースト・イングランド、2010年~2015年 550
図9-9 16歳~25歳の白人の英国人の地域的な交友関係 (2009年~2011年) 556
図9-10 同質的な地域と多様性に富む国勢統計区における近隣住民に対する信頼感 560
図9-11 アメリカの住民の多様性と下院における分極性の相関関係 565
図9-12 白人の英国人の近隣に対する帰属意識。統計区のマイノリティの割合と移民に関する意見 568
図10-1 大都市における共和党の得票率の変化、2012年~2016年、上位50大都市 576
図10-2 異なる年齢コーホートにおける移民に対する態度、1995~2011年 579
図10-3 失われた愛:EUに対する好意的な意見、世論調査回答者に占める割合 579
図10-4 イングランドとウェールズの各エスニック集団における無宗教者の割合、2001年~2011年 587
図11-1 2121年までのイングランドとウェールズの人種構成 612
図11-2 2299年までのイングランドとウェールズの人種構成 613
図11-3 イングランドとウェールズの白人: 移民流入数の3つのケースによる、 2011年~2121年 614
図11-4 未来の西洋において人種がどのように見えるか 616
図11-5 ハワイ先住民の人口は急激な減少後、回復している 619
図11-6 多様性に富む社会:サラダボウルか坩堝か?【※7つの地域(ハワイ、トリニダード、ガイアナ、スリナム、オランダ領アンティル、モーリシャス、ベリーズ)における、三つの人種カテゴリー[伝統的な人種/ハイブリッドまたは開放的な集団/混血]の人口分布を示したもの)(年度不明)】 623
図11-7 アメリカにおける民族的に多様な未来に対する支持 630
図11-8 マイノリティの存続と同化の道 634
図12-1 20世紀のオールド・オーダー・アーミッシュ 661
図12-2 2015年~2265年のアーミッシュの増加モデル 662
図12-3 非ヒスパニックの白人、年齢層別(%) 665
図12-4 1950年代以前と 1980年代以後の世代集団による英国系またはアイルランド系の姓をもつアメリカの俳優の割合、入植時の先祖別(%) 670
図12-5 英国系の姓をもつアメリカの俳優と政治家の割合、 コーホート別 (%) 671
図12-6 アメリカの歴史映画またはアカデミー賞候補作の白人主演俳優における英国系の姓の割合、出生コーホート 672
図12-7 「あなたはネイティヴ・インディアン、WASP、黒人が最も〈真正と言えるアメリカ人〉のグループだと思いますか?」 674
図12-8 シャーロッツビルの事件後の意見、人種別 675
図12-9 シャーロッツビルの事件後の意見、人種別【※アメリカの大統領選の投票先(トランプorクリントン)×人種(白人or黒人orヒスパニックor他の人種)、の8グループのうち、5グループを示している。】 675
図12-10 混血人種のマジョリティにとってのイデオロギーのレンズと民族の選択肢 677