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『人種主義の歴史』(平野千果子 岩波新書 2022)

著者:平野 千果子[ひらの・ちかこ](1958-) フランス植民地史。
NDC:316.8 民族・人種問題.民族運動.民族政策


人種主義の歴史 - 岩波書店



著者によるルビは亀甲括弧〔 〕に示した。
私(id:Mandarine)の付加したメモは全括弧[ ]で括った。


【目次】
目次 [i-ii]


序章 人種主義を問う 001
  1 言葉の始まり
  2 「人種」の不在
  3 人種主義が人種を作る


第一章 「他者」との遭遇――アメリカ世界からアフリカへ 017
第1節 大航海時代 018
  1 1942年という幕開け
  2 コロンブスの視線
  3 働き手としての他者
  4 「インディオは人間か」
  5 バリャドリ論争

第2節 ノアの呪い――黒人蔑視の淵源 031
  1 アフリカ人奴隷の取引
  2 「カナンは呪われよ」
  3 人間の奴隷化の正当化


第二章 啓蒙の時代――平等と不平等の揺らぎ 043
第1節 人間を分類する 044
  1 世界の探検の進展
  2 資料の収集から分類へ
  3 分類の多様化
  4 ベルニエ[François Bernier, 1620-1688]――人間と性の分類
  5 コーカサス人種をめぐる問い
  6 近代社会への移行と人種

第2節 思想家たちと奴隷/奴隷制 062
  1 人種の単元論と多元論
  2 モンテスキューと黒人奴隷制――『法の精神』をめぐって
  3 続く論争――モンテスキューの真意は?
  4 モンテスキューの黒人観
  5 ルソー ――「善き未開人」の系譜
  6 ディドロ――反植民地主義
  7 時代を問い返すこと


第三章 科学と大衆化の一九世紀――可視化される「優劣」 085
第1節 人間の探究と言語学 086
  1 キュヴィエ[Georges Cuvier]の「三大人種」説
  2 アーリア人、あるいはアーリア神話の誕生

第2節 人種の理論書 093
  1 ゴビノー[Arthur de Gobineau]とその著作
  2 ゲルマン礼賛と「階級人種論」
  3 アメリカの人種理論書――ノット[Josiah C. Nott]とグリドン[George Gliddon
  4 ノックス[Robert Knox]『人間の種』[The races of men: a fragment]――ヨーロッパ人の分類

第3節 優劣を判定する科学 108
  1 ホッテントットへのまなざし
  2 イメージの形成
  3 ホッテントット・ヴィーナス
  4 「科学」の介入
  5 「世論の汚染」


第四章 ナショナリズムの時代――顕在化する差異と差別 127
第1節 諸科学の叢生 128
  1 一九世紀と人種
  2 進化論と社会進化論
  3 ブロカ[Paul Broca]とパリ人類学会
  4 遺伝と優生学
  5 クレマンス・ロワイエ[Clémence Royer, 1830-1902]の事例から

第2節 国民国家の形成と人種 145
  1 「アメリカ国民」の範囲――南部人種隔離体制の構築
  2 移民の制限へ
  3 人種論のなかの「混血」

第3節 新らたな視角――黄禍論、イスラーム反ユダヤ主義 161
  1 黄禍論
  2 多様なイスラーム
  3 まなざしの変化
  4 反ユダヤ主義
  5 チェンバレン[Houston Stewart Chamberlain (1855-1927)]とチュートン人
  6 チュートン人種から北方人種へ


第五章 戦争の二〇世紀に 183
第1節 植民地支配とその惨禍 184
  1 アフリカ人の大量虐殺
  2 起点としての南アフリカ戦争
  3 人種構成の重層化から人種意識の形成へ
  4 「黒い恥辱[Schwarze Schmach]」と「ラインライトの雑種〔バスタート〕[Rheinlandbastard]」

第2節 ナチズム下の人種政策 199
  1 ユダヤ人迫害
  2 「ドイツ人」とは誰か――人種主義の遂行性
  3 優生思想の具現化

第3節 逆転の位相 210
  1 パンアフリカニズム
  2 パンアフリカ会議の開催
  3 さまざまなヴェクトル
  4 秩序の逆転へ?


終章 再生産される人種主義 225
  1 複雑化する人種主義
  2 人種とアイデンティティ――優劣の内面
  3 マクロとミクロの視点から


あとがき(二〇二二年三月 善福寺川のほとりにて) [242-245]
主要参考文献/図版出典一覧 [1-21]