著者:平野 千果子[ひらの・ちかこ](1958-) フランス植民地史。
NDC:316.8 民族・人種問題.民族運動.民族政策
※
著者によるルビは亀甲括弧〔 〕に示した。
私(id:Mandarine)の付加したメモは全括弧[ ]で括った。
【目次】
目次 [i-ii]
序章 人種主義を問う 001
1 言葉の始まり
2 「人種」の不在
3 人種主義が人種を作る
第一章 「他者」との遭遇――アメリカ世界からアフリカへ 017
第1節 大航海時代 018
1 1942年という幕開け
2 コロンブスの視線
3 働き手としての他者
4 「インディオは人間か」
5 バリャドリ論争
第2節 ノアの呪い――黒人蔑視の淵源 031
1 アフリカ人奴隷の取引
2 「カナンは呪われよ」
3 人間の奴隷化の正当化
第二章 啓蒙の時代――平等と不平等の揺らぎ 043
第1節 人間を分類する 044
1 世界の探検の進展
2 資料の収集から分類へ
3 分類の多様化
4 ベルニエ[François Bernier, 1620-1688]――人間と性の分類
5 コーカサス人種をめぐる問い
6 近代社会への移行と人種
第2節 思想家たちと奴隷/奴隷制 062
1 人種の単元論と多元論
2 モンテスキューと黒人奴隷制――『法の精神』をめぐって
3 続く論争――モンテスキューの真意は?
4 モンテスキューの黒人観
5 ルソー ――「善き未開人」の系譜
6 ディドロ――反植民地主義?
7 時代を問い返すこと
第三章 科学と大衆化の一九世紀――可視化される「優劣」 085
第1節 人間の探究と言語学 086
1 キュヴィエ[Georges Cuvier]の「三大人種」説
2 アーリア人、あるいはアーリア神話の誕生
第2節 人種の理論書 093
1 ゴビノー[Arthur de Gobineau]とその著作
2 ゲルマン礼賛と「階級人種論」
3 アメリカの人種理論書――ノット[Josiah C. Nott]とグリドン[George Gliddon]
4 ノックス[Robert Knox]『人間の種』[The races of men: a fragment]――ヨーロッパ人の分類
第3節 優劣を判定する科学 108
1 ホッテントットへのまなざし
2 イメージの形成
3 ホッテントット・ヴィーナス
4 「科学」の介入
5 「世論の汚染」
第四章 ナショナリズムの時代――顕在化する差異と差別 127
第1節 諸科学の叢生 128
1 一九世紀と人種
2 進化論と社会進化論
3 ブロカ[Paul Broca]とパリ人類学会
4 遺伝と優生学
5 クレマンス・ロワイエ[Clémence Royer, 1830-1902]の事例から
第2節 国民国家の形成と人種 145
1 「アメリカ国民」の範囲――南部人種隔離体制の構築
2 移民の制限へ
3 人種論のなかの「混血」
第3節 新らたな視角――黄禍論、イスラーム、反ユダヤ主義 161
1 黄禍論
2 多様なイスラーム観
3 まなざしの変化
4 反ユダヤ主義
5 チェンバレン[Houston Stewart Chamberlain (1855-1927)]とチュートン人
6 チュートン人種から北方人種へ
第五章 戦争の二〇世紀に 183
第1節 植民地支配とその惨禍 184
1 アフリカ人の大量虐殺
2 起点としての南アフリカ戦争
3 人種構成の重層化から人種意識の形成へ
4 「黒い恥辱[Schwarze Schmach]」と「ラインライトの雑種〔バスタート〕[Rheinlandbastard]」
第2節 ナチズム下の人種政策 199
1 ユダヤ人迫害
2 「ドイツ人」とは誰か――人種主義の遂行性
3 優生思想の具現化
第3節 逆転の位相 210
1 パンアフリカニズム
2 パンアフリカ会議の開催
3 さまざまなヴェクトル
4 秩序の逆転へ?
終章 再生産される人種主義 225
1 複雑化する人種主義
2 人種とアイデンティティ――優劣の内面
3 マクロとミクロの視点から
あとがき(二〇二二年三月 善福寺川のほとりにて) [242-245]
主要参考文献/図版出典一覧 [1-21]