編者:樽本 英樹[たるもと・ひでき] 社会学。
著者:森千香子[もり・ちかこ](1972-) ランス社会科学高等研究院 (EHESS) 博士課程修了,博士 (社会学)
著者:佐藤 成基[さとう・しげき](1963-) カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院博士課程修了,博士 (社会学)
著者:秦泉寺 友紀[しんせんじ・ゆき](1973-) 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学
著者:永吉 希久子[ながよし・きくこ](1982-) 大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了,博士(人間科学)
著者:南川 文里[みなみかわ・ふみのり](1973-) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学 博士 (社会学)
著者:明戸 隆浩[あけと・たかひろ](1976-) 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学
著者:高 鮮徽[こう・そんふぃ](1960-) 中央大学文学研究科社会学専攻博士後期課程修了,博士 (社会学)
著者:田辺 俊介[たなべ・しゅんすけ](1976-) 東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学 博士 (社会学)
Design:Okuno Akira
件名:移民・植民
件名:排外主義
件名:人種差別
NDLC:EC132
NDC:316.8 家と個人・宗教・民族
排外主義の国際比較 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
※以下の目次内にある墨付き括弧【 】は、直前の語句に対して私が付加したメモなど。
【目次】
目次 [i-vi]
序章 外国人・移民と排外主義[樽本英樹]
1 なぜ排外主義を問うのか 001
噴出した排外主義
社会学の課題としての排外主義
本書の企図
2 排外主義とは何か 006
排外主義の多様性
排外主義の定義
3 排外主義の社会的特徴 008
社会間比較の視点
社会間相違の局面
4 排外主義の生起メカニズム 011
生起メカニズムの見取り図
生起メカニズムの再考にむけて
5 排外主義の解決と緩和 015
考察の方向性
効果の問題
6 本書の構成 017
注/文献 020
第I部 「西洋型」排外主義の多様性
第1章 カラー・ブラインドの建前とカラー・コンシャスの実態――在仏ムスリムが直面するレイシズムの特殊性[森千香子]
1 フランス型排外主義の特徴を問う 025
科学的レイシズムから文化的レイシズムへ
普遍主義レイシズムとイスラモフォビア
「共和主義」がレイシズムに与える影響――フランス型排外主義の特徴
2 カラー・ブラインド原則とその実態――まなざしの人種化 029
フランス型共和主義と多文化主義
「色の違い」は存在しない――フランス型カラー・ブラインドの特徴
実態としてのカラー・コンシャス
カラー・ブラインド原則の形骸化
3 共和主義のダブル・スタンダード 038
「人種化」されるマイノリティとされないマジョリティ
ダブル・スタンダードの効果――差別の隠蔽と責任転嫁
マイノリティの足かせとなるダブル・スタンダード
4 問題解決の展望 045
付記/注/文献 048
第2章 多文化主義は死んだのか――英国における排外主義の展開[樽本英樹]
1 多文化主義への死亡宣告 053
2 英国多文化主義の成立 054
移民の流入と人種という視角
社会統合の人種関係パラダイム
人種関係的多文化主義の成立
3 人種関係パラダイムの揺らぎ 058
超多様性の登場
イスラム過激主義の登場と展開
反移民・反ムスリムの排外主義
4 人種関係パラダイムの機能不全か 065
イスラム嫌悪とヴェール問題
過激主義の累積化
再国民化の模索
コミュニティ結合と国境管理の融合
構造的不平等からの逃避不可能性
ムスリム・パラダイムへの転換か
5 多文化主義の存在証明 076
付記/注/文献 077
第3章 なぜ「イスラム化」に反対するのか――ドイツにおける排外主義の論理と心理[佐藤成基]
1 台頭するドイツの排外主義 085
ペギーダとAfD――台頭する排外主義的政治運動
「ナチスの国」の新たな排外主義
2 排外主義としての「イスラム嫌悪」「イスラム批判」の言論 089
「外国人嫌悪」から「イスラム嫌悪」へ
「イスラム嫌悪」が発生する背景とその語られ方
「イスラム批判【Islamkrtik】」の言論とその担い手
正当化された排外主義
3 「イスラム批判」の拡散――ザラツィン【Thilo Sarrazin 1945-】論争と社会国家 100
『ドイツは消滅する』がベストセラーに
社会国家【Sozialstaat】の再分配問題
『ドイツは消滅する』の受け入れら方
4 運動する排外主義――ペギーダとAfD 106
ペギーダの発生――街頭に出た「普通の市民」の排外主義
「怒り」の所在
AfDの右傾化
再分配をめぐる対立
5 グローバル化との出会い――これからの展望 116
排外主義の論理と心理
治安問題と再分配問題――グローバル化がもたらす国家の負担
排外主義の再エスノナショナル化?
注/文献 120
第4章 イスラムはなぜ問題化されるのか――イタリアの排外主義の現状[秦泉寺友紀]
1 注視/攻撃されるイスラム 125
注視されるイスラム
攻撃されるイスラム
2 排外主義の展開 129
移民受け入れと法整備の展開
イタリアにおける排外主義――北部同盟の移民論
排外主義に抗する動き
3 宗教と社会の位相 134
宗教的多元性に関わる「協約」システム
「協約」システムの機能不全
4 ナショナル・アイデンティティの位相 139
カトリック=イタリア・アイデンティティ
カトリック=イタリア・アイデンティティの危機
注/文献 144
第5章 福祉国家は排外主義を乗り越えるか――福祉愛国主義と社会保障制度[永吉希久子]
1 移民に揺れる北欧諸国 149
進歩主義のジレンマ
北欧諸国における排外主義の広がり
2 福祉愛国主義はなぜ高まるのか 155
福祉愛国主義と「望ましさの基準」
福祉愛国主義に対する福祉制度
本章の分析枠組み
3 データと変数 159
使用するデータ
福祉愛国主義の指標
福祉制度の指標
統制変数
4 社会意識調査からみる福祉愛国主義 163
北欧諸国の福祉愛国主義の程度
福祉愛国主義を高める要因
福祉愛国主義に対する福祉制度の効果
5 北欧諸国の福祉制度と福祉愛国主義 170
注/文献 172
第6章 「移民の国」のネイティヴィズム――アメリカ排外主義と国境管理[南川文里]
1 国境危機時代のアメリカと人種主義 177
2 「移民の国」の再発見とネイティヴィズム 180
ネイティヴィズムの起源
「移民の国」への包摂と排除
3 シヴィック・ネイティヴィズムと非合法移民 183
ブラセロ計画と非合法移民の増加
シヴィックな理念を語るネイティヴィズム
4 安全保障化時代の国境管理と排外主義 187
「テロとの戦争」と国境管理の焦点化
安全保障化するネイティヴィズム
国境管理の実践と人種主義
5 「移民の国」物語を形づくるネイティヴィズム 193
注/文献 194
第II部 アジア型排外主義の展開か
第7章 現代日本の排外主義と「対抗言論」――「ナショナリズム」から「ヘイトスピーチ」へ[明戸隆浩]
1 現代日本の排外主義と「対抗言論」 201
排外主義とその対抗言論
「ナショナリズム」から「ヘイトスピーチ」へ
2 90年代――ナショナル・アイデンティティ/反ナショナル・アイデンティティ 206
「つくる会」とその対抗言論
「敗戦後論」への対抗言論?
3 00年代――ナショナリズム/反ナショナリズム 211
前史としての『ぷちナショナリズム』
『マンガ嫌韓流』とその対抗言論
4 10年代――ヘイトスピーチ/反ヘイトスピーチ 216
「在日特権」というプロパガンダ
反ヘイトスピーチとしての「カウンター」
5 対抗言論の系譜を引き継ぐということ 222
注/文献 224
第8章 韓国の排外主義とその抵抗の試み[高鮮徽]
1 韓国の排外主義 230
2 韓国人の外国への出稼ぎと外国人労働者の流入 231
韓国人の外国への出稼ぎ
外国人労働者の流入
3 在日同胞 237
4 朝鮮族 242
5 脱北者 245
6 多文化家族 247
7 韓国の排外主義への抵抗の試み 250
注/文献 252
第9章 現代日本社会における排外主義の現状――計量分析による整理と規定要因の検討[田辺俊介]
1 排外主義の伸張と研究の隆盛と混乱 259
2 排外主義の内容と要因 261
排外主義の内容
排外主義の形成要因について
3 日本における排外主義の実態把握 265
ナショナリズムの概念図式による排外主義の定義とその操作化
日本における排外主義の要因とその操作化
4 日本における排外主義の現状 270
基本的な現状と基本的な関連
排外主義の規定要因
5 日本における排外主義の今後 278
計量分析からみた現代日本の排外主義
日本における排外主義のゆくえ
謝辞/注/文献 281
終章 エスニック排外主義の解決をめざして[樽本英樹]
1 分析の視角 289
2 エスニック排外主義の社会的特徴 290
各社会の状況
社会的特徴のパターン
3 エスニック排外主義の生起メカニズム 294
各社会の状況
生起メカニズムのパターン
4 エスニック排外主義の解決策と緩和策 300
各社会からの示唆
解決策・緩和策のパターン
5 残された課題 304
事項索引 [3-8]
人名索引 [1-2]
執筆者紹介 [313-314]
【メモランダム】
・とても率直な書評by樋口直人at『社会学評論』
樽本英樹編『排外主義の国際比較――先進諸国における外国人移民の実態』