英題:The Fragile Employment Relationships: Sociology of Work and Organization in Regards to Employing Foreigners in Japan
著者:園田 薫[そのだ・かおる](1991-) 社会学。
装丁:不明
件名:外国人労働者--雇用--日本
件名:産業社会学
NDLC:DH326
NDC:336.42 経営管理
【目次】
まえがき [i-iii]
目次 [iv-vii]
著者紹介 [viii]
序章 外国人雇用の現状と課題――ミクロとマクロをつなぐ社会学の視点
第1節 外国人労働者受け入れの現状 002
第2節 外国人の雇用をめぐる問題点 010
第3節 マクロな変化とミクロな現象をどのように捉えるべきか 012
第4節 本書の構成 014
第1章 外国人雇用を産業社会学的に考察するために――組織研究と労働者研究の邂逅および相互行為論としての雇用関係
第1節 日本企業研究と外国人労働者研究をつなぐ:なぜ雇用関係の分析が必要なのか 018
1.1 組織の論理からみた日本国内の外国人雇用問題の整理 018
1.2 労働者の論理からみた日本国内の外国人雇用問題の整理 024
1.3 それぞれの問題点と解決策としての雇用関係への着目 031
第2節 相互行為論として雇用関係を捉える:産業「社会学」的な視座とは 036
2.1 雇用関係を捉える理論的視座 036
2.2 相互行為論としての分析枠組み 044
2.3 両者を統合した本書のフレーム 048
第3節 分析対象と方法論を定める:雇用関係の実証分析に向けて 050
3.1 対象とする日本企業と分析方法 050
3.2 対象とする外国人労働者と分析方法 055
3.3 本書の分析で捉えられる雇用関係の位置づけ 058
第2章 外国人を雇用する日本企業の矜持と葛藤――外国人雇用の2つの戦略的理解をめぐるセンスメイキングと正当性の付与
第1節 企業研究の死角と社会学的パースペクティブ:本章の分析視角 062
1.1 これまでの企業研究の問題点:理念型としての戦略で捉えきれないもの 062
「戦略的な人材管理という考え方
企業のグローバル化という新たな軸
戦略という理念型に押し込められた外国人雇用
本書の力点①:組織の多層性を考慮する
本書の力点②:組織的行為が作られるロジックを考慮する
1.2 本書が目指す組織の社会学的分析:センスメイキングと動機の語彙 070
議論①:組織の認識主体をどのように設定すべきか
議論②:組織が行う認知的合理化について
動機の語彙論 組織の分析と個人の分析を架橋する
1.3 本章の分析によって明らかになること 078
第2節 企業人事部から見える二重の眺望:インタビュー調査の分析 079
2.1 調査データと分析手法 079
インタビュー調査の概要
分析手法と類型化の枠組み
2.2 戦略論からみた外国人雇用のあり方 084
ダイバーシティ人材としての理解:外国人を雇用したい
コア人材としての理解:外国人も雇用したい
2.3 専門的外国人への複層的な期待とセンスメイキング 094
2つの論理の交差点としての専門的外国人
専門的外国人に対する複層的な期待がもたらす矛盾
専門的外国人の雇用に対するセンスメイキング:認知的不協和の解消
自社の強みと積み重ねを用いた正当化:組織アイデンティティの維持
日本社会のしきたりを用いた正当化:組織フィールドへの適応
過去の事例を用いた正当化:外国人雇用における組織的な失敗
2.4 矛盾した正当性の消化 108
組織の語りに個人が現れるとき
日本人従業員との同質性への言及
外国人従業員の多様さへの言及
タレントマネジメントの現実的な障壁
外国人雇用の優先度の調整
第3節 外国人雇用の実践を生み出す多層的なプロセス:分析結果のまとめと解釈 118
3.1 本章の分析から明らかになったこと 118
3.2 雇用関係を構築・維持する行為者としての日本企業 121
第3章 日本企業で働く専門的外国人のキャリア選択――居住先と就労先の選択をめぐる葛藤と正当化の論理
第1節 労働者研究と移民研究をつなぐこと:本章の分析視角 124
1.1 これまでの外国人労働者研究が見落としてきたもの:キャリアのダイナミクス 124
1.2 本書が目指す外国人労働者の分析:内的キャリアと動機の語彙 128
第2節 ワークとライフの相互依存性:インタビュー調査の分析 130
2.1 データの概要 130
2.2 雇用関係を構築するセカンドベストな係留地としての日本企業 134
(1) 日本で働くことを決定する:労働市場とネットワークの構造的要因 135
労働市場の状況
個人の置かれたネットワーク構造
(2) 日本企業で働くことを決定する:日本的雇用慣行へのセカンド・ベストな選好 142
就職活動解禁の慣習
新卒一括採用の慣習
インターンシップ制度
新入社員に対する研修制度
(3) 日本企業で働くことを正当化する日本企業で働く意味の内面化と自己呈示 150
日本企業の強みとしての高い技術力
グローバルに働くという自己呈示
(4) 小括 157
2.3 雇用関係を維持する:長期ビジョンが定まるまで一時的な関係を延長する 158
外国人であることを意識させない職場環境
結婚・出産・育児によ ある日本への定住志向
小括
2.4 雇用関係を解消する日本的雇用の論理を用いた認知的不協和の解消 169
日本への定住志向を揺るがせるライフイベント (169)
配置転換 (172)
中長期的なキャリアプランの提示(174)
外国人を疎外する日本的雇用慣 行というセンスメイキング (176)
小括(180)
第3節 一時的滞在者という呪縛:分析結果のまとめと解釈 182
3.1 本章の分析から明らかになったこと 182
3.2 雇用関係を構築・維持・解消する行為者としての専門的外国人 185
第4章 日本企業と外国人労働者の雇用関係はいかにして成り立つのか――相互行為の分析から見える労使の「同床異夢」
第1節 日本的雇用システムと外国人雇用 188
1.1 これまでの議論のまとめ 188
1.2 日本的な雇用管理制度と外国人雇用の関係について 190
1.3 日本的雇用システムはいかにして外国人との雇用関係に影響を与えるのか 203
第2節 相互行為という視点からみた雇用関係 208
2.1 雇用関係の構築に至る日本企業と専門的外国人の思惑 208
2.2 雇用関係の維持・解消をもたらすメカニズム 211
2.3 本書の知見の再整理 215
補論 外国人雇用の意識と実践に関する試論的計量分析:外国人雇用に関する企業のホンネとタテマエ 218
終章 雇用関係の分析がもたらす知とは――社会科学の「人間-社会」観の更新へ
第1節 本書の位置づく文脈と独自性 228
1.1 外国人雇用を扱う企業研究と労働者研究との架橋がもたらす対話可能性 228
1.2 外国人雇用研究と産業社会学のシナジー 230
第2節 分析結果の実践への還元 232
2.1 日本企業に対する還元 232
「日本で働くこと」の意味を理解すること
国籍の違いによる異化の弊害を理解すること
2.2 専門的外国人に対する還元 235
日本企業への期待値を上げないこと
キャリア選択の相互理解を深めること
2.3 日本社会に対する還元 236
外国人受け入れの制度設計思想の見直し:在留期間について
外国人受け入れの制度設計思想の見直し:専門性と特異性の切り離し
2.4 外国人雇用を超えた雇用関係の分析に対する本書の貢献 239
「人材」という論点の深化
キャリア選択におけるワーク・ライフ・バランス概念の拡張
労働者の「多様性」再考
第3節 本書の学術的な意義 246
3.1 関係と意味世界を捉える社会学的分析の強み 246
3.2 全人的側面を含めた人間モデルの再考 248
3.3 複数の研究領域にまたがった社会現象 実態の把握 250
第4節 今後の展望と課題 252
あとがき(2023年1月 園田薫) [257-262]
参考文献 [263-294]
索引 [295-300]