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『移民政策とは何か――日本の現実から考える』(髙谷幸[編] 人文書院 2019)

編著者:髙谷 幸[たかや・さち] 
著者:樋口 直人[ひぐち・なおと] 
著者:稲葉 奈々子[いなば・ななこ] 
著者:奥貫 妃文[おくぬき・ひふみ] 
著者:榎井 縁[えのい・ゆかり] 
著者:五十嵐 彰[いがらし・あきら] 
著者:永吉 希久子[ながよし・きくこ] 
著者:森 千香子[もり・ちかこ] 
著者:佐藤 成基[さとう・しげき] 
著者:小井土 彰宏[こいど・あきひろ] 
装丁:間村 俊一[まむら・しゅんいち](1954-) 装丁家俳人
カバー写真:田川 基成[たがわ・もとなり](1985-) 写真家。
NDC:334.4 


移民政策とは何か - 株式会社 人文書院


【目次】
目次 [001-003]


序章 移民社会の現実を踏まえて[髙谷 幸] 007
  定住化する移民の権利
  一九九〇年代の議論
  排外主義の影響
  定住化の阻止の主流化
  アジアという参照枠組みの浮上
  定住化の阻止がもたらしてきたもの


第1章 労働――人材への投資なき政策の愚[樋口直人] 023
1 方針転換の陰で――日本政府の隠れた政策的一貫性 023
2 政府による総括――日系人技能実習生への待遇の収斂傾向 025
3 言語と社会関係――移民の職業移動に必要な条件 028
4 虫の良い政策――何のための日本語教育? 032
5 政策的含意――人材への投資なき政策の愚 037


第2章 ジェンダー ――格差是正のための政策にむけて[稲葉奈々子・髙谷幸・樋口直人] 040
1 改定入管法――ジェンダー的側面の忘却? 
2 過去三〇年の日本――ジェンダー化された移民受け入れ 
3 特定技能による受け入れ――ジェンダー格差はどうなるか 
4 日本の経緯にもとづく教訓――格差是正のための政策とは 
5 移住女性とジェンダー平等――結語に代えて 


第3章 出入国在留管理――非正規移民への対応を問う[髙谷 幸] 060
はじめに 060
1 国家と社会 062
  入管体制の成立 
  「国境の門番」としての入管 
  「社会の門番」としての入管
2 入管と社会の関係性の変容 069
  一九八〇年代末~九〇年代――社会領域の自立 
  二〇〇〇年代以降――「下請け」化する社会領域 
3 「社会の門番」としての入管の役割はなぜ認められないのか――非正規移民への対応から考える 075
  非正規移民への求められる対応
  「外国人労働者」受け入れ拡大と非正規移民への対応
おわりに 080


第4章 社会保障――「外国人性悪説」を超えて[奥貫妃文] 081
はじめに 081
1 日本の社会保障制度の基本枠組み 083
  日本国憲法と外国人
  社会権
  難民条約と国籍要件の撤廃
2 年金制度――国民年金法・厚生年金保険法 087
  国民健康保険制度
3 外国人と生活保護制度 091
  日本国憲法上の外国人
  旧生活保護法から現行生活保護法へ
  一九五四年通知にもとづく「準用」ならびに一九九〇年厚生省口頭指示
  外国人への生活保護実施に関する実態調査
  大分永住外国人生活保護訴訟
    ①事実の概要
    ②第一審判決
    ③第二審判決
    ④最高裁判決
    ⑤本件の評価と今後の課題
おわりに 102


第5章 教育――子どもの自己実現のために言語と文化の保障を[榎井 縁] 106
はじめに 106
1 教育政策としての「排除」と「同化」 108
2 草の根「多文化共生」教育の取り組み 110
3 学校教育における「ニューカマー」受け入れの現状と課題 112
  言語教育と教育機会の保障
  母語・母文化を継承できる教育機会の保障
  多様性を認識し、対処するための教育
4 共に社会に参加できるための教育 121
  義務教育課程後の進路の保障
  外国人学校の取扱い
  日本の公立学校の外国籍教員
おわりに 127


第6章 多文化共生――政策理念たりうるのか[樋口直人] 129
1 多文化共生――最終目標たりうるのか 129
2 多文化共生――政策概念としての特徴 130
3 「診断」と「処方箋」の落差――共生の射程と限界 133
  自治体の移民政策の進展
  格差――問題山積の構図
  歴史とヘイト――一部自治体に集中した取り組み
4 政策的含意――強靭な多文化共生とナショナル・ミニマムの確立を 142


第7章 移民排斥――世論はいかに正当化しているか[五十嵐彰・永吉希久子] 145
はじめに 145
1 国際比較――世界のなかの日本の位置 147
2 ネオリベラルな排外主義 155
おわりに 163


第8章 反差別――独立した人権機関の設置が急務だ[森千香子] 166
1 差別に反対する反差別の顔――フランスの事例から 166
2 戦後の「反ヘイト」対策――反ユダヤ主義への反省と憎悪表現の取り締まり 168
3 「反ヘイト」から「反差別」への転換 170
4 EUの影響力――反差別法制整備とローカル施策の推進 172
5 新たな課題への対応――クラスアクション導入と実態調査 176
6 日本への示唆 178


第9章 国籍・シティズンシップ――出生地主義の導入は可能か[佐藤成基] 182
1 入管法改定論議における国籍・シティズンシップ問題の不在 182
2 国籍とシティズンシップーーその概要 185
  シティズンシップーー国民と外国人の境界を管理する装置
  国籍――出生時の付与と出生後の帰化
    ①国籍の付与
    ②帰化
  国民的アイデンティティ――国民が国民であることの共通理解
3 ドイツの国籍法改定と国民的アイデンティティ 194
  一九九九年の国籍法改定にいたるまで――出生地主義の導入へ
  国籍法改定と帰化政策――「国民」基準の明確化
4 血統主義と日本人概念 202


第10章 技能――日本的理解を刷新するとき[小井土彰宏] 205
  日本における「移民政策」をめぐる論争構造の問題
  キーコンセプトとしての「技能」の登場とその問題性
  外国人受け入れ論争以来の「技能」観の変遷
  高度技能移民概念の出現とそのズレ
  デジタル時代に見失われた技能の重要側面
  〈「非熟練」の技能〉、法的権利なき技能形成
  技能実習における搾取構造と技能形成の両面性
  各社会的文脈への適応と技能
  同時代的構造のなかでの「移民政策」――権利なき技能形成を避けるために


終章 生活世界の論理による政策を実現するために[稲葉奈々子] 226
  市民の生活世界の防衛
  「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」
  移民は政策でコントロールできるのか
  多様性のある社会は豊かで強くなる


参考文献 [237-244]
あとがき(二〇一九年三月 髙谷幸) [245-250]
紹介 [251-252]