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『子育て罰――「親子に冷たい日本」を変えるには』(末冨芳,桜井啓太 光文社新書 2021)

著者:末冨 芳[すえとみ・かおり](1974-) 教育行政学、教育財政学。内閣府子どもの貧困対策に関する有識者会議構成員。
著者:桜井 啓太[さくらい・けいた](1984-) 社会学社会福祉
件名:子育て支援--日本
件名:児童福祉--日本
件名:教育費
件名:貧困
件名:少子化
NDLC:EG57
NDC:369.4 社会 >> 社会福祉 >> 児童福祉


子育て罰 末冨芳、桜井啓太 | 光文社新書 | 光文社


【目次】
はじめに [003-012]
  ◆児童手当の特例給付という「子育て罰」、票取り道具としての「こども庁」
  ◆低所得子育て世帯こそ「子育て罰」の最大の被害者
  ◆国民の半数が「子どもを産み育てやすい国ではない」と考える日本
  ◆本書の概要
  ◆なぜ教育学の研究者が「子育て罰」を語るのか?
目次 [013-019]


第1章 「子育て罰」を作った3つの政治要因[末冨芳] 
1・1 本書における「子育て罰」の定義 022
1・2 「子育て罰」を生み出してきた政治の3つの課題 024
1・3 場当たり主義の政治:児童手当と教育の無償化の迷走 028
  ◆年収2390万円のパワーカップルには年6万円の児童手当
  ◆低所得子育て世帯への「現金給付」も不十分
  ◆夫婦合算年収700万円世帯も排除のターゲットに!?
  ◆児童手当と教育の無償化の迷走
1・4 子ども・家族への少なすぎる政府投資 049
1・5 子どもを差別・分断する制度 054


第2章 「子育て罰」と子どもの貧困[桜井啓太] 
2・1 「チャイルド・ペナルティ」を「子育て罰」と訳した理由 062
  ◆「子育て罰」にこめた想い
  ◆「子どもの貧困」という言葉が見えなくするもの

2・2 「子育て罰」と「子どもの貧困」の関係 066

2・3 働いているのに貧しい日本のひとり親世帯 069
  ◆ひとり親世帯の貧困解消シナリオ①:就業率向上
  ◆働くことが貧困改善につながらない異様な国、日本
  ◆ひとり親世帯の貧困解消シナリオ②:「子育て罰」の除去
  ◆「就労支援」が有効な国、「子育て罰の除去」が有効な国
  ◆2人親も含めた子どもの貧困率
  ◆日本政府が取る真逆の政策
2・4 本当に怠惰なのは誰か 085
  ◆働き方を変えると「子育て罰」が減る


コラム 新型コロナ禍で悪化した「子育て罰」[桜井啓太] 091


第3章 「子育て罰大国」はどのようにして生まれたか[桜井啓太] 
3・1 子育て罰社会の治療法 100
  ◆低所得の親も子どもの教育費を大学まで負担
  ◆教育は「投資」か「消費」か
  ◆教育費は「贈与」か
  ◆子の教育費は良好な親子関係のための「保険」?

3・2 「公的領域」から追い出されてきた子どもと女性 113
  ◆明治初期の日本は「子ども天国」だった
  ◆近代家族・性別分業と子どもの「公的領域」からの排除

3・3 なぜ「子育て罰」社会・日本になったのか 119
  ◆「お金と手間のかかる子ども」への変化
  ◆「理想の子ども」イデオロギー
  ◆親負担・親責任ルールにフリーライドする自民党政権
  ◆余裕のない学校現場も親に「子育て罰」を課す
  ◆「世論の失敗」を変えていくために

3・4 「子育て罰」社会の治療法:子どもにあたたかくやさしい日本へ 142
  ◆まず、大人の意識を変える
  ◆お金のかかる子育ては贅沢ではなく「強制消費」
  ◆子どもへの投資のリスクとベネフィットを共有する
  ◆日本の男性は「自立の呪い」にかかっている
  ◆子どもに向けて人間観・社会観をひらいていく
  ◆私もあなたも子どもも、幸福になるべき大切な存在


第4章 対談「子育て罰」大国から「子育てボーナス」社会へ![末冨芳×桜井啓太] 
4・1 「子育て罰」の誤解 169
  ◆職場で受け続けた「子育て罰」 

4・2 「子育て罰」と貧困 177
  ◆高所得者の切り捨てが社会の分断を深めている
  ◆「子どもの貧困」と「親の貧困」
  ◆子どもの貧困は教育の前にまず生活

4・3 「子育て罰」と政治 194
  ◆50代以下の政治家が力を持てば日本は変わる!
  ◆官僚の働き方改革が変化の鍵

4・4 「子育て罰」と私たち 206
  ◆日本が考えるべき「チャイルドボーナス」
  ◆自分のためだけに頑張り続けられるラッキーな環境
  ◆人権に努力は関係ない


第5章 「子育て罰」をなくそう――失敗を受け入れ、「親子にやさしい日本」に変えるために[末冨芳] 
5・1 少子化対策の「失敗学」と「子育て罰」をなくすステップ 237
  ①失敗原因の構造化
  ②政治の「価値観不良」を正す
  ③男性優位の政治・行政による失敗の隠蔽をなくす
  ④「子どもと家族の幸せが最優先」という価値観の共有

5・2 「親子にやさしい日本」を支える子ども・家族対策へ 248
  ①すべての子どもを大切にする「子ども基本法」の制定
  ②「普遍主義」を基盤とした「子ども給付の総合パッケージ化」
  ③「広い財源」についての合意形成

5・3 こども庁は「子育て罰」をなくせるか? 257
  ◆公明党:子ども基本法を基盤に子どもを守る 「子ども家庭庁」
  ◆自民党有志議員:「Children First」のこども庁構想
  ◆立憲民主党:児童手当の復活・拡充を目指す「子ども省」
  ◆主要野党はすべて「子育て罰」の厳罰化に反対
  ◆官邸の「骨太方針」におけるこども庁のゆくえ――「子育て罰」は止まらない?
  ◆自民党の高齢男性幹部は「拒否権プレイヤー」になるか
  ◆「子育て罰」をなくすためのカギは「声」と「投票」


あとがき(2021年6月 末冨 芳) [284-290]