著者:三谷 はるよ[みたに・はるよ] 福祉社会学、家族社会学、計量社会学。
件名:児童虐待
件名:心的外傷
件名:ドメスティック・バイオレンス
NDLC:EF81
NDC:367.3 社会 >> 家族問題.男性・女性問題.老人問題 >> 家.家族関係
NDC:367.6 社会 >> 家族問題.男性・女性問題.老人問題 >> 児童・青少年問題
備考:タイトルのACEは、'Adverse Childhood Experiences'のacronym。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480075512/;title
【目次】
目次 [003-008]
はじめに [009-012]
付記
序章 人生に傷を残すACE 013
ACE(子ども期の逆境体験)とは
児童虐待や家庭内暴力の現状
葛藤の温床としての「家族」
見過ごされていた現実に向き合う
章末注 030
第1章 ACEの心身への影響 031
1 ACE研究の始まり 032
一人の医師のある「気づき」
1万7000人超が参加した初のACE調査
ACEが成人後の健康に与える影響とは?
2 ACEが引き起こす病気 040
ACEがもたらす心身の疾患
日本でのACEと健康に関する研究
3 ACEが病気を引き起こすメカニズム 044
ACEピラミッド
メカニズム①──ストレス反応の変化
〈ストレスに対するしくみ〉
〈ストレス反応の調節障害と炎症レベルの上昇〉
〈ACEによる内分泌系・免疫系の異常〉
メカニズム②──脳そのものの変化
〈ACEによる脳の容積と行動の変化〉
〈マルトリートメントが脳を傷つける〉
メカニズム③──エピジェネティックな変化
〈ACEによるDNAのメチル化〉
補論①──ACEと犯罪の関連
補論②──ACE研究の留意点と課題
章末注 066
第2章 ACEの社会経済的地位への影響 067
1 ACEによる学歴・就労・収入への影響 068
低学歴・失業・貧困をもたらすACE
なぜACEは低階層をもたらすのか?
2 日本人におけるACEの分布 075
全国2万人データからACEをみる
日本全国におけるACEの分布
ACEと健康指標の関連
3 ACEサバイバーの社会経済的地位 083
ACEスコアごとの学歴・就労・収入
出身階層の影響か? ACEの影響か?
章末注 090
第3章 ACEの人間関係への影響 091
1 ACEがもたらす対人関係上の困難 092
ACEサバイバーが抱えるトラウマ障害
愛着形成の困難
愛着障害の2つのタイプ
2 ACEサバイバーの人間関係 104
ACEサバイバーの恋愛・結婚・子育て
ACEと結婚・恋人の存在
ACEと社会的孤立
3 世代間連鎖するACE 113
ACEサバイバーが抱える子育ての問題
「逆境の連鎖」は日本全体で起きているか?
補論──世代を超えるACEの悪影響 122
章末注 124
第4章 ACEによる悪影響を断ち切るには 125
1 回復の鍵としての「レジリエンス」 126
注目されるレジリエンス(逆境への適応現象)
レジリエンスを高める10の処方箋
紛れ込む自己責任論
2 レジリエンス要因への注目 132
外部の力としてのレジリエンス要因
何がレジリエンスを高めるか?
促進要因と保護要因
3 全国調査データからみるレジリエンス要因 144
子ども期の良い体験(促進要因)
子育て期のソーシャルサポート(保護要因)
章末注 152
第5章 ACEサバイバーが語る人生 153
1 ACEサバイバーはいかに生き延びたか 154
B子さんのケース──生きる価値としての「貢ぐこと」……その解放まで
C美さんのケース──養母の死による自縛からの回復
2 ACEサバイバーのレジリエンスを育んだもの 177
B子さんのレジリエンス要因
◆好きなものに熱中できること
◆身近な人をサポートすること
C美さんのレジリエンス要因
◆養母の抱きしめ
◆生活支援制度と身近な理解者
3 ACEサバイバーのレジリエンスを阻むもの 182
理解のない他者がもたらす「再トラウマ」
再トラウマの現実①──B子さんとC美さんが受けた二次的な傷つき
再トラウマの現実②──支援者から受けた二次的な傷つき
章末注 187
終章 ACEサバイバーが不利にならない社会へ 189
1 現代社会におけるACEの意味 190
ACE=“人生格差”の主要因
ACEサバイバーが被る不利=社会の怠慢の産物
2 ACEに立ち向かう社会のしくみ 195
諸外国におけるACEへの対応と予防のための取り組み
◆CDC[Centers for Disease Control and Prevention]のACE防止戦略
◆家庭訪問の強化
◆各州のACEへの取り組み
◆WEB上で広がるACE啓発活動
◆ACEを計測しようとする国際的取り組み
◆ACE研究が後押ししたTIC[Trauma Informed Care]の普及
ACEに関連する国内の先行事例
◆田島南小中一貫校の「『生きる』教育」
◆こころのケガを癒やすコミュニティ事業(TICC[Trauma Informed Care/Community]事業)
◆KYOTO SCOPE
3 社会のしくみを変える 212
【提言1】支援者養成の場でACE・TIC教育を
【提言2】小中学校でトラウマインフォームドな教育・支援を
【提言3】児童虐待対応システムの改善を
【提言4】妊娠期からの伴走型支援を
章末注 232
謝辞 233
おわりに(2023年初春 三谷はるよ) [234-239]
引用文献 [240-261]
【図表一覧】
・出所の情報は割愛した。
・「図2-7 ACEごとの子ども期の貧困・親非大卒の割合」は、「ACEスコアごと……」の誤記だと思われる(第一刷で確認)。
表1-1 CDC-Kaider ACE Studyで用いられたACE項目 035
図1-1 ACEスコアごとの調整オッズ比 037
図1-2 ACEスコアごとの調整オッズ比 038
表1-2 ACEスコアが「0」の人と比べた場合の「4以上」の人が抱えやすい疾患・問題(調整オッズ比) 041
図1-3 ACEピラミッド 045
図1-4 ストレス反応の経路 047
図1-5 脳の主要部位 054
表1-6 マルトリートメントが脳へおよぼすダメージ 056
表1-7 DNAのメチル化のイメージ 059
図2-1 ACEスコアごとの社会経済的地位の調整オッズ比 070
図2-2 ACEと成人期の低SESの関連 071
表2-1 LSWデータに含まれる各ACE項目 077
図2-3 各ACE項目への回答分布 079
図2-4 ACEスコアの分布 079
表2-1 ACEが1つ以上の人の各ACE経験率 081
図2-5 ACEスコアごとの心身の不調の調整オッズ比 082
図2-6 ACEスコアごとの各社会経済的地位の割合 084-085
図2-7 ACEごとの子ども期の貧困・親非大卒の割合 087
図2-8 ACEスコアごとの社会経済的地位の調整オッズ比 088
図3-1 複雑性PTSDの症状 097
表3-1 ACEスコアごとの婚姻状況の割合 106
図3-2 ACEスコアごとの婚姻状況の調整オッズ比 107
表3-2 ACEスコアごとの「頼れる人がいなかった」割合 109
図3-3 ACEスコアごとの「頼れる人がいなかった」に該当する調整オッズ比 111
図3-4 ACEスコアごとのマルトリートメントの調整オッズ比 115
図3-5 母親のACEから子へのマルトリートメントへの影響 116
表3-3 ACEスコアごとの子育て状況のの割合 118
図3-6 ACEスコアごとの子育て状況の調整オッズ比 120
図3-7 ACEスコアごとのマルトリートメントの調整オッズ比 121
表4-1 レジリエンスを高める10の処方箋 129
図4-1 レジリエンスを高める関係性中心モデル 137
図4-2 促進要因と保護要因の機能パターン 139
表4-2 Bethell et al.(2019)で用いられたPCE[positive childhood experiences]項目 142
図4-3 うつ・精神的問題を有する調整オッズ比 143
表4-3 LSW調査で用いられたPCE項目 144
図4-4 PCEスコアごとの精神的不調の調整オッズ比 145
図4-5 PCEスコアごとのSES[Socio-Economic Status]・孤立の調整オッズ比 145
表4-4 ACEとソーシャルサポートの交互作用効果 148
図4-6 サポートの調整効果(身体的虐待) 150
図4-7 サポートの調整効果(心理的虐待) 150
表終-1 「『生きる』教育」の単元一覧 207
図終-1 TICCが配布するリーフレット 210
表終-2 児童虐待相談における被虐待者の年齢別件数(2020年度) 220
図終-2 児童虐待対応件数と児童福祉司の推移 222
図終-3 子ども家庭センターの位置づけ 229