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『発達障害のいま』(杉山登志郎 講談社現代新書 2011)

著者:杉山 登志郎[すぎやま・としろう](1951-) 精神科医
NDLC:SC377
NDC:493.76 
件名:発達障害


『発達障害のいま』(杉山 登志郎):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部


【目次】
目次 [003-005]
発達障害の新たな分類とその経過 [006-007]


序章 母子並行治療をおこなったヒナコ 009
  ある少女のケース
  体験入学
  両親の不仲
  父ケンジの自殺
  母ミホの生育歴
  母への治療開始
  つながる記憶
  回復へ向かった母子
  親子ともどもアスペ


第一章 発達障害はなぜ増えているのか 025
  遺伝と発達障害
  自閉症はなぜ増えるか
  一歳六ヵ月児検診で判明
  範囲を広げざるをえなくなった
  全遺伝子解析の結果
  一人一人が異なる遺伝的理由
  遺伝情報のスイッチ切り替え
  オン・オフのメカニズム
  エピジェネティクスと疾患
  さまざまな原因が絡みあう
  年齢の問題
  発達凸凹とトラウマ


第二章 発達凸凹とは 043
  発達凸凹とはなにか
  精神疾患の三つのグループ
  カテゴリー診断学の登場
  診断を巡る国際的問題
  新たに見えてきた原因
  セロトニン系の異常
  ミラーニューロンと社会性
  オキシトシンの関わり
  神経接合不全
  きわめて複合的な問題
  発達障害はマイナスとは限らない


第三章 発達凸凹の可能性 065
  天才と発達凸凹
  世界の見え方が違う
  視覚で考えるタイプ
  どのように教育するか
  視覚優位の子どもたちへの教材
  顔だけでは判別できないタイプ
  奥行きが分からない
  カラーグラスをつかう
  なかなか障害に気づかない
  2Eという才能児
  才能児への特別支援教育
  身近にいる「アスペ」系


第四章 トラウマの衝撃 087
  虐待とトラウマ
  トラウマの一例
  こころの骨折
  虐待は「心の複雑骨折」
  喧嘩、暴力、お化け
  子ども虐待の症例
  母子アスペ
  ADHDと「しつけ」
  愛着の問題
  トラウマからの防波堤
  虐待と愛着
  虐待で生まれる絆
  フラッシュバックの一例
  複雑性トラウマのフラッシュバック
  解離のすさまじさ
  非行の問題
  複数の診断名がついてしまう
  虐待で脳全体に影響が


第五章 トラウマ処理 117
  安全な生活を確保する
  正しい診断が第一歩
  ネグレクトの過程で育つ第一歩
  母親の治療は中断
  トラウマの治療法
  EMDR[Eye Movement Desensitization and Reprocessing]の方法
  「胸のモヤモヤが消えた」
  重度のトラウマ治療に有効
  多重人格に近い解離を起こすアイコ
  安全な場所をイメージできないアイコ
  セッションで父親で抗議
  母親も治療に参加
  親子平行治療
  多重人格のお母さん


第六章 発達障害とトラウマ 140
  迫害体験が症状を悪化させる
  三つの問題
  嫌な記憶を思い出すトキオ
  タイムスリップ現象
  パニックの謎が解明
  タイムスリップの対処法
  少女たちのケース
  児童への治療
  青年期の患者への治療
  成人になってようやく思い出すことも
  成人になった患者への治療


第七章 発達障害と精神科疾患 その1 159
  議論を整理するために
  精神医学全般に関わる問題
  (1) 不登校とひきこもり
  不登校のユキオ
  両親の問題
  学校で社会的な経験を積む
  従来型のカウンセリングは効果が低い
  (2) 選択性かん黙
  クラス選択の誤り
  (3) やせ症
  シゾイドのやせ症
  体重測定を重視
  こだわりが強いユキ
  認知の歪みを説明
  シンプルで明快な枠組みがコツ
  (4) 強迫性障害
  うつ病の母親が巻き込まれた
  二つのことが一度にできない


第八章 発達障害と精神科疾患 その2 189
  (5) うつ病双極性障害
  気分障害
  軽いうつ病の一例
  双極性障害の背後に虐待経験が
  父と子の平行治療
  トラウマ治療で回復へ
  気分変動の原因を探る
  重症気分調整障害
  (6) 統合失調症との鑑別
  子どもの統合失調症
  自閉症統合失調症
  解離症状と統合失調症
  自閉症スペクトラム障害統合失調症と誤診?
  アンネ・ラウのケース
  中学生シンヤの女性憎悪
  フォローアップで分かったこと
  多重人格のカズオ
  依存症に気づきはじめた


第九章 未診断の発達障害、発達凸凹への対応 221
  「大人の発達障害」になる前に
  大人のADHDの一例
  親子関係が改善
  大人の発達障害の特徴
  1. 二つのことが一度にできない
  2. 予定の変更ができない
  3. スケジュール管理ができない
  4. 整理整頓ができない
  5. 興味の偏りが著しい
  6. 細かなことに著しくこだわる
  7. 人の気持ちが読めない
  8. 過敏性をめぐる諸々の問題
  9. 特定の精神科的疾患の注意
  10. クレーマーになる
  クレーマーへの対処法
  凸凹〔でこぼこ〕の存在に気づく


終章 療育、治療、予防について 239
  早期チェック
  親が知っておくべきこと
  1. 子どもがどんな体験世界にいるのか
  2. 対応方法および環境整備
  3. 愛着形成を巡って
  4. 決してしてはならないこと
  5. 年齢なりの大きな課題を意識する
  薬の使い方
  てんかんとの類似
  年齢別の課題


主要参考文献 [253-255]
あとがき [256-259]




【図表一覧】
図1 単一遺伝子疾患と他因子による問題 033
図2 広汎性発達障害自閉症スペクトラム障害 051
表1 男性の脳と女性の脳(バロン・コーヘン、2004) 058
表2 認知様式の違いに基づく教育の仕方(藤田ほか、1998) 072
図3 同時処理による英語教材の一例 073
図4 一般的なパースラインが見られる風景 076
図5 パースラインが認知されないと… 076
表3 あいち小児センターで診断を行った子ども虐待の症例(2001.11~2010.10) 096
表4 子ども虐待に認められた併存症 096
表5 摂食障害へのレベル分け枠組み一覧 178
表6 ユキに示した約束 179
表7 統合失調症自閉症スペクトラム障害の症状の鑑別点 216


※表1の出典が不明。「バロン・コーヘン、2004」とあるが、Simon Baron-Cohenの著書のうちどれか確定できない。
 なお、The Essential Difference: Men, Women and the Extreme Male Brainは2003年に出版され、日本語訳の『共感する女脳、システム化する男脳』は2005年に出版された。2004年に刊行された書籍は(ざっと調べた限りは)見当たらない。
 そしてSimon Baron-Cohenによる2004年の論文は複数あるようなので、やはり特定できない。


※表2の出典が不明。表のキャプションには「表2 認知様式の違いに基づく教育の仕方(藤田ほか、1998)」と記されているが、本書の本文にも巻末の「主要参考文献」にも、「藤田ほか、1998」の詳細が載っていない。
 おそらく、『長所活用型指導で子どもが変わる:認知処理様式を生かす国語・算数・作業学習の指導方略』(藤田和弘・青山真二・熊谷恵子[編著]、図書文化社、1998年)を指していると思われるが、直にその本に当たらない限りは確定できない。


※(p.85の但し書き曰く、)図3~5は、『ギフテッド――天才の育て方』(杉山登志郎・岡南・小倉正義[著]、学研教育出版、2009年)から転載されたもの、と。




【関連記事】
『おとなの発達障害――診断・治療・支援の最前線』(小野和哉ほか 光文社新書 2020)
『脳からみた自閉症』(大隅典子 ブルーバックス 2016)
『トラウマ』(宮地尚子 岩波新書 2013)
『臨床心理学キーワード』(坂野雄二編 有斐閣 2000)


・児童への虐待について。
『子どもの脳を傷つける親たち』(友田明美 NHK出版新書 2017)
『代理ミュンヒハウゼン症候群』(南部さおり アスキー・メディアワークス 2010)