著者:大隅 典子[おおすみ・のりこ] 神経生物学(神経発生学・発生発達神経科学)。
NDC:493.9375 自閉症(小児科学)
NDC:493.76 心因精神病.機能的精神病
『脳からみた自閉症 「障害」と「個性」のあいだ』(大隅 典子):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部
【目次】
はじめに [003-006]
目次 [007-012]
第1章 自閉症とは何か 013
「発達障害」という言葉の意味 014
心の「正常」と「異常」に明確な境界線はない 016
自閉症スペクトラム障害の三大特徴 019
「社会性の異常」とは 023
社会性の異常と「心の理論」 026
「顔」に視線を向けない自閉症児 028
常同行動は「興味の限定」でもある 031
感覚の過敏さと運動のぎこちなさ 032
自閉症の疾病概念をつくったカナーとアスペルガー 035
アスペルガー症候群とサヴァン症候群 038
「冷蔵庫マザー」理論とその否定 040
発達障害は「育て方」によって生じるのではない 044
脳の発生発達に「完璧」はない 045
「個性」は大人になっても抱えていく 047
脳と遺伝子の研究に道を開いた「脆弱性X症候群」 050
ワクチンは自閉症を誘発しない 054
第2章 脳はどのように発生発達するのか 057
神経発生学の幕開け 058
ニューロンのおさらい 061
胎児のもとになるもの 064
はじまりは「管」 066
領域化――脳に“番地”がつけられる 071
ニューロジェネシス――脳はニューロンの増殖で大きくなる 07
放射状グリアは「お母さん細胞」 076
私がパックス6遺伝子と出会うまで 078
髄放射状グリアでのパックス6の重要な働き 080
哺乳類の「インサイドアウト型」ニューロン蓄積 082
発達障害につながるリスク(1) ニューロンの産生 086
発達障害につながるリスク(2) ニューロンの配線 089
発達障害につながるリスク(3) シナプス形成 092
発達障害につながるリスク(4) 実は重要なグリア細胞 095
発達障害につながるリスク(5) シナプスの刈り込み 099
発達障害につながるリスク(6) ニューロンのバランス 101
誰の脳にも不具合はある 105
ニューロジェネシスは死ぬまで続く 107
脳は「脂」でできている 110
第3章 ここまでわかった脳と自閉症の関係 113
「機能的」な障害と「器質的」な障害 114
「器質的」は神経内科、「機能的」は精神科 116
自閉症は「器質的な障害」である 117
画像診断技術の発達 119
脳のどこが自閉症に関係するのか 121
自閉症の脳はどこが違っているのか 124
「自閉症の脳は男性化している」という仮説 128
自閉症の脳の活動はどうなっているのか 131
神経結合の違いが見えてきた 134
死後脳から見えた脳構築の異常 135
「興奮と抑制」のアンバランス 137
ニューロンの形状の違い 139
ひとりの脳からわかること 141
第4章 自閉症を解き明かすための動物実験 143
動物たちがはたした多大な貢献 144
モデルマウスによる研究の手順 145
モデルマウスで浮上した「シナプス仮説」 147
シナプス仮説がひらく自閉症治療薬の可能性 149
マウスも自閉症になるのか? 152
「マウスの社会性」をどのように判定するのか 157
「社会性」に影響をおよぼすホルモン 159
動物実験をクリアしても実用化される薬は少ない 162
第5章 自閉症を起こす遺伝子はあるのか 165
全ゲノム解析を可能にした次世代シーケンサー 166
ほぼすべての染色体に自閉症関連遺伝子がある 169
遺伝子の予備知識(1) DNAと染色体のあいだ 171
遺伝子の予備知識(2) 染色体は羽巻の百科事典 175
遺伝子の予備知識(3) 三重らせん構造」はなぜ重要なのか 176
遺伝子の予備知識(4) 3個の塩基による暗号 179
遺伝子の予備知識(5) 「転写」「翻訳」の基本ルール 180
遺伝子の予備知識(6) DNAの変異 185
遺伝子の予備知識(7) 「いつ」「どこで」のスイッチ 188
遺伝子の予備知識(8) ゲノムとは何か 191
余談として――近親婚が人類を進化させた? 193
親も子も自閉症になるケースは少ない! 195
自閉症に関連する遺伝子 199
神経発生制御遺伝子「パックス6」 201
パックス6欠損によるWAGR症候群と自閉症 202
パックス6の変異が脳にもたらすもの 204
自閉症にみられる男女の違い 208
脆弱性X症候群関連タンパク「FMRP」とパックス6との関係 211
脳と遺伝子の関係はまだ「細い糸」 213
第6章 増加する自閉症にいかに対処するか 215
40年間で患者数は、倍に! 216
自閉症の急増の原因は? 217
「母体環境」は脳に影響を与える 219
「父親の加齢」は自閉症リスクを高める 223
父親の加齢がリスクを高める理由 227
遺伝情報は同じでも表現型が変わる「エピジェネティクス」 228
「DNAのメチル化」と「ヒストン化学修飾」 231
自閉症児の「早期発見」を 234
学習支援によって社会適応力を高める 236
患者団体が研究を後押しする米国 238
iPS細胞による基礎研究の可能性と問題 240
塩基ひとつの違いも「個性」になる 243
あとがき(2016年4月2日 ブルーのTシャツを着て 大隅典子) [246-250]
さくいん [251-254]