編者:伊東 信宏[いとう・のぶひろ] 大阪大学中之島芸術センター長、人文学研究科教授。
Ива Ненић[イヴァ・ネニッチ] ベオグラード芸術大学[Универзитет уметностиу Београду]講師。
上畑 史[うえはた・ふみ] 人間文化研究機構人間文化研究創発センター研究員。
Стела Живкова[Stella Zhivkova/ステラ・ジブコヴァ] ソフィア大学[St. Kliment Ohridski]助教授。https://japanology.bg/en/staff/
新免 光比呂[しんめん・みつひろ] 国立民族学博物館教授。
岩谷 彩子[いわたに・あやこ] 京都大学大学院人間・環境学研究科教授。
輪島 裕介[わじま・ゆうすけ] 大阪大学大学院人文学研究科教授。
奥 彩子[おく・あやこ] 共立女子大学文芸学部教授。
濱崎 友絵[はまざき・ともえ] 信州大学人文学部准教授。
高岡 智子[たかおか・ともこ] 龍谷大学社会学部准教授。
齋藤 桂[さいとう・けい] 京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター専任講師。
Klara Hrvatin[クララ・フルヴァティン] リュブリアナ大学[Univerza v Ljubljani]助手。
阪井 葉子[さかい・ようこ](1961‐2017) ドイツ文学・音楽民俗学。元大阪大学大学院文学研究科助教。
木村 颯[きむら・そう] 大阪大学大学院文学研究科 文化表現論専攻博士前期課程修了。
装丁:福田 和夫[ふくだ・かずお] ブックデザイン。FUKUDA DESIGN。
【目次】
はじめに[伊東信宏] [001-022]
1 定義
2 「東欧演歌」の前史
3 「東欧演歌」とバルカンの社会
4 本書の構成
目次 [023-027]
凡例ならびに注釈 [028]
序論 南東欧におけるポップフォーク共同と交換の歴史を概観する[イヴァ・ネニッチ/伊東信宏+上畑史 訳] 030
■第1部 東欧演歌のハードコア
第1章 セルビアのターボフォーク 「オリエンタルなヴェルヴェット」は何色〔なにいろ〕か[上畑史] 060
1 はじめに 060
2 オリエンタルなターボフォークに対する批判の背景 064
3 ターボフォークの文化基盤としてのカファナ(酒場) 067
4 ターボフォークにおけるカファナ(酒場)の機能 070
5 結び――ターボフォークと多民族共通の故郷バルカン 076
第2章 ブルガリアのチャルガ――アイデンティティ、変革、グローバライゼイション[ステラ・ジブコヴァ/伊東信宏 訳・構成] 084
1 歴史 087
2 歴史と絡まり合う心性 088
3 魅惑するチャルガ 090
3-1 チャルガのルーツ
3-2 チャルガの性格
3-3 チャルガの特徴的要素
3-3-1 リズム
3-3-2 演奏形態
3-3-3 歌詞
3-3-4 チャルガの響き
4 「危険」としてのチャルガ 102
5 新しい音楽と新しいアイデンティティを求めて 103
一五年後の補足――ブルガリアのポップフォークがひらいた新しいページ 106
第3章 西欧化のジレンマとマネレ――ゆらぐルーマニア人のアイデンティティ[新免光比呂] 118
1 マネレとはなにか 121
1-1 マネレの歴史
1-2 さまざまなマネレ演奏家
1-3 マネレの特徴
2 西欧化と自画像のはざまで 128
2-1 西欧化としての集団改宗
2-2 西欧化の試みと挫折
2-3 西欧からの疎外
2-4 西欧化とマネレ
おわりに 136
第4章 マネレ、あるいは界面としてのジプシー音楽[岩谷彩子] 138
1 ルーマニアのロマが生きる環境 140
2 ロマを取り巻く異なる音楽需要とマネレ 144
3 マネレが媒介するさまざまな音と人 149
4 マネレが響く空間 158
5 おわりに 163
対論 ポップフォークは演歌なのか――あるいは日本大衆音楽の東欧演歌化のために[輪島裕介] 166
■第2部 東欧演歌の源流へ
第5章 麗し〔レーパ〕のプレナのはるかな旅――ユーゴスラヴィアの歌姫[奥彩子] 180
1 ポップ・フォークへの視線 180
2 新作曲民謡――酒場〔カファナ〕からの「民主化」 184
3 レーパ・プレナ 187
4 故郷を失った「ティトーのバービー」 191
5 ユーゴノスタルジアからユーゴスフィアへ 196
第6章 「アジュ」を歌え――トルコにおけるアラベスクの誕生と展開[濱崎友絵] 200
1 アラベスク成立の経緯 203
イスタンブルの音楽文化
トルコ共和国
1950年代から60年代にかけての社会変動
2 「アジュ」を歌え――アラベスクの音楽的特徴 211
アラベスクの歌詞と言葉
旋律と装飾
楽器編成/アンサンブル
3 アラベスクの受容と展開 225
1980年代から2000年代にかけてのアラベスクの展開
アラベスクの磁力をめぐって
第7章 東ドイツ・ロック前夜のダンス音楽「リプシ」――戦後ドイツ大衆音楽の水脈をたどる[高岡智子] 232
はじめに 232
1 リプシ[Lipsi]で踊ろう! 235
1-1 ロックンロールのオルタナティブ
1-2 リプシと社交ダンス
1-3 リプシの音楽と「ドイツらしさ」
1-4 リプシは国境を超え、若者はデモをした
2 リプシを生んだ音楽の思想 246
2-1 1950年代の大衆音楽事情
2-2 「大衆音楽は芸術である」という思想
3 ナショナルなダンス音楽を求めて 255
3-1 1920年代のジャズ論から東ドイツのロックンロール論へ
3-2 ダンス音楽の国民性
3-3 メロディ重視のレガシー
4 おわりに 262
コラム1 森への誘い――フォーク・メタルにみる民族/民俗[齋藤桂] 265
■第3部 東欧演歌の周縁へ
第8章 薄明の流星 スロヴェニアのターボフォーク、 その勃興と没落[クララ・フルヴァティン/伊東信宏訳・構成] 272
1 序論 272
2 スロヴェニア版ターボフォークのレシピ 274
3 スロヴェニア版ターボフォークの主人公たち 277
3-1 ターボフォークの起点
3-2 スロヴェニア版ターボフォーク――ダイトニック・アコーディオンの復活?
3-3 音楽的特徴と歌詞――「なんでもアリ?」
音楽的特徴
歌詞
4 衰退――スロヴェニアのターボフォークはジャンルと言えるのか? あるいはただの試行だったのか? 290
第9章 東ドイツのフォーク・リヴァイヴァル運動[阪井葉子] 294
東ドイツのフォーク・リヴァイヴァル――その発端と展開
「西」からの風
東西ドイツ・フォークのレパートリー
ドイツ再統一とフォーク音楽シーン
コラム2 アルメニアのシルショー右傾化する――アルメニアのポップフォーク[木村颯] 322
初出一覧 [328-329]
プレイリスト [330-331]
参考文献 [332-348]
人名索引 [349-353]
執筆者一覧 [354]