著者:小塚 荘一郎[こづか・そういちろう] 商法。会社法。
NDC:007.13 情報科学(人工知能、パターン認識)
【目次】
はしがき [i-iii]
目次 [v-vii]
第1章 デジタル技術に揺らぐ法 001
1 デジタル技術と人間の能力の拡張 002
エアラインとアバター
飛行機に乗るのは世界の人口の六%
人間の能力の拡張
人工知能(AI)の第三次ブーム
AIは人間を超えるか
2 法制度に対する期待と不満 011
法は技術に追いついていないのか
「トロッコ問題」と責任ルール
法律家から見たトロッコ問題
社会の変化と法の考え方
法の大変革期
第2章 AIとシェアリング・エコノミー ――利用者と消費者の間 025
1 消費者がモノを持たない時代 026
無人配車サービスの実験
音楽とコミックで起こったこと
物の取引を中心にした法の体系
サービス提供契約の内容
エッジコンピューティングとクラウドコンピューティング
サブスクリプション型取引と製造物責任
自動運転車のリコール
2 AIの間違いと暴走 045
人間がセーフティ・ボタンを押す
証券誤発注事件の判決が示した「システム提供責任」
セーフティ・ボタンは押せるのか
人間の判断を求めればAIのメリットが消える
冗長性による安全の確保
専門家かユーザーか
3 責任の所在――メーカー・売り手・プラットフォーム
自動運転車が「プラットフォーム」に
二つのシェアリングサービス
プラットフォームの契約関係と責任
サービス提供者を管理するプラットフォームの義務
プラットフォームの義務を規定する法律
第3章 情報法の時代――「新時代の石油」をめぐって 069
1 プライバシー対「データの活用」 070
日本におけるデータ利用のトラウマ
判例が発展させたプライバシーの法理
GPS装置を用いた刑事捜査の適法性
見えている行為から見えない事情を推知
「新時代の石油」
EUの一般データ保護規則(GDPR)
「現代の資源ナショナリズム」としてのGDPR
情報銀行が開く可能性
2 誰のプライバシーか 087
AIスピーカーとプライバシー
スマートテレビの視聴履歴
視聴履歴取得への同意と家族構成員
家族の中のプライバシー
ビッグデータの時代
衛星からの観測データとプライバシー
3 情報法の構造 099
データ収集の対価と知的財産権
EUのデータベース権
エレクトロニクス業界に生じた「特許の藪」
限定データの不正競争行為に対する保護
情報法の構造
第4章 法と契約と技術――何が個人を守るのか 113
1 AIに関する原則と「コード」の支配 113
智連社会とSociety 5.0
人間中心のAI社会原則
AI開発原則とAI利活用原則
EUの「信頼されるAIのための倫理ガイドライン」
アシロマ原則
法律よりも「原則」
「コードが法に代わる」
AI原則と「コード」
2 縮小する「法の領域」 133
仮想通貨のハードフォーク
「日本人の法意識」と「法の領域」
「われわれにはわれわれの裁判所がある」
消費者保護・バイ・デザイン
制度設計と「ナッジ」
3 間違わないAIの問題 151
AIと差別
AIと憲法的価値
差別の排除と「ナッジ」の共通性
信用スコアリング
第5章 国家権力対プラットフォーム 161
1 仮想通貨は国家を壊すか 162
国家によるサービス取引の管理
仮想通貨の挑戦
仮想通貨の「信用」
キャッシュレス決済の登場
キャッシュレス決済とプラットフォーム
2 デジタル版の「新国際経済秩序」 174
データ資源の資源ナショナリズム
著作権に関するプラットフォームの責任
プロバイダーの責任制限
巨大プラットフォームは国家と同視されるべきか
国家からの自由・国家に対するプライバシー
AI倫理と「よい統治」に対する権利
3 法を執行する「コード」と権力に対抗する「コード」 188
法律を「コード」に置き換える
スピード制限を取り締まるプログラム
法の運用とプログラムの間
法の執行を受ける側のコード
アメリカのCLOUD法
コードによる法の執行と法の回避
第6章 法の前提と限界 199
1 スマートコントラクトと近代法 200
自動販売機は「スマート」か
「法律」と「法」
明治日本か学んだ近代法
サイズの合わない既製服
欧州議会の「ロボット法」提案
「電子人」立法が実現した場合
2 社会を守るガバナンス 214
日本企業とAI開発の適性
日本のコーポレートガバナンス
権利・義務とは別にある規範
デジタル技術による変革と法の限界
AI時代のガバナンスと日本の役割
参考文献 [225-232]
あとがき(小塚荘一郎 ) [233-235]
【関連記事】
・まず、人工知能研究が社会に与える影響について考える本。山のように出版されて玉石混淆なので、私の好みで3冊だけ。
①『人間さまお断り――人工知能時代の経済と労働の手引き』(Jerry Kaplan[著] 安原和見[訳] 三省堂 2016//2015) - contents memorandum はてな
②『AIの衝撃――人工知能は人類の敵か』(小林雅一 講談社現代新書 2015) - contents memorandum はてな
③『人工知能が変える仕事の未来』(野村直之 日本経済新聞社 2016) - contents memorandum はてな
・以下、個別テーマに関係する本(の目次)。
インターネット法
『インターネット法』(松井茂記,鈴木秀美,山口いつ子[編] 有斐閣 2015) - contents memorandum はてな
知財の正義
『知財の正義』(Robert P. Merges[著] 山根崇邦,前田健,泉卓也[訳] 勁草書房 2017//2011) - contents memorandum はてな
グリッドロック経済
『グリッドロック経済――多すぎる所有権が市場をつぶす』(Michael A. Heller[著] 山形浩生,森本正史[訳] 亜紀書房 2018//2008) - contents memorandum はてな
コモンズ
『コモンズ――ネット上の所有権強化は技術革新を殺す』(Lawrence Lessig[著] 山形浩生[訳] 翔泳社 2002//2001) - contents memorandum はてな
コーポレート・ガバナンス
『コーポレート・ガバナンス』(花崎正晴 岩波新書 2014) - contents memorandum はてな