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『進化と人間行動 第2版』(長谷川寿一, 長谷川眞理子, 大槻久 東京大学出版会 2022//2000)

著者:長谷川 壽一[はせがわ・としかず](1952-) 動物行動学、進化心理学
著者:長谷川 眞理子[はせがわ・まりこ](1952-) 行動生態学、自然人類学。
著者:大槻 久[おおつき・ひさし](1979-) 数理生物学(社会生物学、血縁淘汰理論、進化動学、行動生態モデル、人間行動進化学、文化進化)。
装画:スソアキコ(1962-) アニメーション、イラストレーション、帽子作家。
装丁:佐々木 由美(1970-) 株式会社designfolio
件名:人類
件名:進化
件名:行動
件名:進化心理学
NDLC:SA41 科学技術 >> 人類学 >> 形質人類学 >> 化石人類・人類の起源
NDC:469 人類学


進化と人間行動 第2版 - 東京大学出版会


【目次】
第2版まえがき(2022 年春 著者を代表して 長谷川寿一) [i-ii]
目次 [iii-v]


I 進化とは何か

第1章 人間の本性の探求 003
1 生物としての人間
  人間とは何か
  人間の本性と人間観
  進化によって作られた人間の本性

2 遺伝と環境――古くて新しい問題
  人文社会科学の人間観
  ミードの進化
  遺伝決定論と差別
  エピジェネティクス

3 進化的人間理解をめぐる誤謬と誤解
  社会ダーウィニズムの波紋
  ウィルソンの「社会生物学」の衝撃
  社会生物学論争の論点
  人間行動進化学の発展

さらに学びたい人のための参考文献 024

BOX 1.1 エドワード・ウィルソン 018


第2章 古典的な進化学 025
1 ダーウィン以前の世界観
2 進化とは
3 自然淘汰
4 適応
5 適応度
6 様々な適応の例
  ダーウィンフィンチのくちばし
  オオシモフリエダシャクの工業暗化
  ヒマラヤを渡るガン
  鎌状赤血球遺伝子
7 人間の活動が引き起こす進化
  病原体の抵抗性獲得
  乱獲による生育の変化
  
さらに学びたい人のための参考文献 046
BOX 2.1 027
BOX 2.2 オオシモフリエダシャクの体色の遺伝的背景 038


第3章 現代の分子進化学 047
1 遺伝学の幕開け
2 遺伝子の物理化学的実体
3 遺伝子の発現機構
4 突然変異の実体
5 中立進化と分子系統樹
6 ゲノム科学の時代
7 遺伝子から行動へ
さらに学びたい人のための参考文献 073
BOX .1 053
BOX .2 067


第4章 「種の保存」の誤り 075
1 種の保存と群淘汰 
  群淘汰による動物行動の解釈

2 群淘汰 vs.個体淘汰
  個体淘汰による再説明
  子殺し
  儀礼的な闘争の進化
  タカ・ハトゲームと進化的に安定な戦略
  蛍光菌のマット形成
  群淘汰が働く場合

さらに学びたい人のための参考文献 095
BOX 4.1 進化的に安定な戦略 089
BOX 4.2 群淘汰はなぜ支持されるのか 091


II 生物としてのヒト

第5章 霊長類の進化 099
1 生物界におけるヒト
  生物界におけるヒトの地位
  ヒトと類人猿の系統関係
  霊長類とは
  霊長類はなぜ大きな脳を持つのか――社会脳仮説
2 大型類人猿――ヒトのゆりかご
  大型類人猿の系譜
  社会構造と社会関係――チンパンジーを中心に
  チンパンジーは協力するか
  道具使用
  コミュニケーションと言語訓練研究

さらに学びたい人のための参考文献 118


第6章 人類の進化 119
1 人類進化の大きな流れ
  犬歯の退化
  直立二足歩行の進化
  臼歯の発達と退化
  大脳の発達
2 初期猿人――直立二足歩行する類人猿
3 猿人――草原への進出 
4 原人の進化
5 アジアの原人の多様性
6 肉食の起源と食物分配――ハンター仮説とホームベース仮説 
7 ホモ・エレクトゥスの生活 
8 火の利用と調理仮説
9 旧人から新人へ
10 新人の誕生
さらに学びたい人のための参考文献 141


第7章 ヒトの生活史戦略 143
1 生活史戦略――人生のタイムスケジュール 
2 様々な生物の生き方――rとK 
3 霊長類の生活史戦略 
4 ヒトの生活史戦略の特徴 
  人類の脳の大型化
  生理的早産?
  離乳の時期
  長い子ども期と思春期
  繁殖可能期間と寿命
  「おばあさん」はなぜいるのか

さらに学びたい人のための参考文献 157


第8章 血縁淘汰と家族 159
1 血縁淘汰理論 
  行動の四分類
  協力行動と利他行動
  血縁淘汰理論とハミルトン則
  血縁度
  血縁度とハミルトン法則におけるbとc

2 生物界における血縁淘汰
  社会性昆虫の不妊ワーカー
  警戒声の進化
  鳥類のヘルパー

3 血縁認識 
  表現型マッチング
  物理的近縁性
  親族呼称

4 血縁者間の協力
  バイキングの連合形成
  イヌイット捕鯨船クルー
  ヤノマミの争い
  おばあさん仮説
  アヴァンキュレート[avunculate]
  チベットの一夫多妻
  全きょうだいと半きょうだいの親密度の違い

5 非血縁者間の葛藤 
  殺人の研究
  子殺し(infanticide)

6 血縁者間の葛藤
  親と子の対立
  親の投資理論の簡単なモデル
  親子の心理戦
  母親と胎児の対立
  ゲノム刷り込み
  親による選択的投資
  父系社会における女児差別
  女児への偏向投資

さらに学びたい人のための参考文献 192

BOX 8.1 血縁度の計算 165
BOX 8.2 ウェスターマーク効果 170
BOX 8.3 アヴァンキュレートが成立するわけ 175
BOX 8.4 絆の実体に迫る 178


第9章 血縁によらない協力行動の進化 193
1 直接互恵性 
  直接互恵性とは
  直接互恵性の例

2 動物における直接互恵性 
  チスイコウモリによる血の吐き戻し
  精子を作るか卵を作るか

3 直接互恵性の成立条件
  繰り返し囚人のジレンマゲーム
  直接互恵性の進化した心理メカニズム

4 裏切り者検知から進化した心理メカニズム
5 間接互恵性とモラル 
  間接互恵性の実証研究

6 実験室で明らかにされるヒトの社会性 
  囚人のジレンマゲーム
  公共財ゲーム
  罰あり公共財ゲーム
  最後通牒ゲーム
  ヒトは元来協力的か

さらに学びたい人のための参考文献 217


第10章 雄と雌:性淘汰の理論 219
1 生物における性差 
  「男と女」と「雄と雌」
  無性生殖と有性生殖
  性差の存在

2 性淘汰の理論 
  ダーウィンの性淘汰の理論 
  性淘汰の強さを決めるもの――「親の投資」と「潜在的繁殖速度」

3 配偶者の獲得をめぐる競争と配偶者の選り好み 
  量と質の問題
  同性間競争
  精子間競争
  配偶者の選り好み
  優良遺伝子とハンディキャップの原理
  フィッシャーのランナウェイ

4 雄と雌の葛藤と対立 
  配偶者防衛
  一夫一妻の鳥類における「つがい外交尾」
  子殺し
  雌による対抗戦略
  雄雌の対立と軍拡競争

さらに学びたい人のための参考文献 244


第11章 ヒトにおける性淘汰 245
1 ヒトの生物学的特徴と配偶システム 
  ヒトの性決定のメカニズム
  身体から推測される配偶システム
  歴史的・民族史的に見たヒトの配偶システム
  ヒトの配偶に関する多層的な構造

2 ヒトにおける配偶者獲得競争と配偶者選択 
  ヒトの配偶を考える時の枠組み
  狩猟採集民における配偶
  伝統的父系社会における配偶競争
  伝統的父系社会における配偶者選択
  狩猟採集社会における恋愛と結婚
  恋愛と現代の結婚
  社会的に共有される性的魅力と文化のランナウェイ

3 ヒトにおける配偶者防衛と家父長制 
  伝統社会における慣習
  家父長制の起源
  出生地からの分散の影響
  経済力、暴力、権力

さらに学びたい人のための参考文献 272


III 心と行動の進化

第12章 ヒトの心の進化へのアプローチ 275
1 他の動物種との比較研究
2 心の発達と進化
3 人類学・考古学との協働
4 文化間の比較
5 進化理論にもとづく仮説検証型研究

さらに学びたい人のための参考文献 290


第13章 ヒトにおける文化の重要性 293
1 遺伝と環境、学習、文化 
  文化とは何か
  文化伝達の道筋
  遺伝情報の伝達と文化情報の伝達
2 ニッチェ構築 
  ヒトのニッチェ構築としての文化
  遺伝子と文化の共進化
3 文化変容の蓄積と発展
4 ヒトの進化環境と現代社

さらに学びたい人のための参考文献 309


引用文献 [311-324]
人名索引 [325-326]
事項索引 [327-331]
著者略歴 [332]





【メモランダム】
「8-3-3 親族呼称」について。
 本書の記述だと、日本語圏だけの話を人類全体に敷衍してしまっているようにも受けとれる。
 元ネタは鈴木孝夫(1973)『ことばと文化岩波書店




【関連記事】
『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』(吉川浩満 河出書房新社 2018)

『複雑さに挑む社会心理学――適応エージェントとしての人間[改訂版]』(亀田達也, 村田光二 有斐閣アルマ 2010//2000)

『進化でわかる人間行動の事典』(小田亮ほか編 朝倉書店 2021)

『モラルの起源――実験社会科学からの問い』(亀田達也 岩波新書 2017)

『ヒトの本性――なぜ殺し、なぜ助け合うのか』(川合伸幸 講談社現代新書 2015)

『人間進化の科学哲学――行動・心・文化』(中尾央 名古屋大学出版会 2015)


・応用例。
『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか――冤罪、虐殺、正しい心』(菅賀江留郎 洋泉社 2016)