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『科学としての心理学――科学的・統計的推測入門』(Zoltan Dienes[著] 石井敬子,清河幸子[訳] 新曜社 2023//2008)

原題:Understanding Psychology as a Science: An Introduction to Scientific and Statistical Inference (Palgrave Macmillan)
著者:Zoltán Dienes(1963-)
訳者:石井 敬子 [いしい・けいこ] 社会心理学文化心理学
訳者:清河 幸子[きよかわ・さちこ] 教育心理学認知科学
装幀:新曜社デザイン室
カバーパターン:A.Aruno/Shutterstock
挿絵:何 黎明 
挿絵:張 暁龍
NDC:140.7 心理学
備考:巻頭のcolohonで、著者のファーストネームは「Zoltán」と表記されている。


サポートページ Scientific and statistical inference
科学としての心理学:科学的・統計的推測入門 - 新曜社

 統計的推測は科学的心理学の根幹をなす方法であるが、心理学者でさえ混乱していることが多い。主流の仮説検定の問題点と誤解、ベイズ統計、尤度検定の導入まで、さまざまなアプローチの特徴と原理が前提となる科学哲学からよくわかる、類例のない入門書。


【目次】
献辞/Colophon [/]
まえがき(ゾルタン・ディエネス 英国ブライトンにて、2007年) [i-iii]
目次 [v-vii]


1.カール・ポパーと境界設定 001
  背景:論理実証主義
  帰納の問題
  批判的議論の役割
  科学とは何か?
  精神分析学、マルクス主義相対性理論
  反証可能性の程度
  反証可能性
    反証可能性:強すぎる、または弱すぎる基準か?
  真実らしさ
  客観的知識
  確率的な理論と反証
  心理学における理論は反証可能か?
  知識社会学
  真実、道具主義、現実主義
  ポパーの考えを用いて研究論文を批判的に評価する
  おわりに
  ふりかえりと議論のための質問
  理解を深めるための文献案内


2.クーンとラカトシュ――パラダイムとプログラム 051 
  トーマス・クーンとパラダイム
  クーンの立場から見た危機
  革命
  概念形成についての覚書
  クーン 対 ポパー
  相対主義ポストモダニズム
  ラカトシュと研究プログラム
  前進と退行
  ある例
  新奇性
  科学の方法論の選び方
  クーンとラカトシュの考えを用いて研究を評価する
  おわりに
  ふりかえりと議論のための質問
  理解を深めるための文献案内


3.ネイマン、ピアソンと仮説検定 087
  フィッシャー、ネイマン、ピアソン
  確率
  データと仮説
  仮説検定:α
  仮説検定:αとβ
  実際の検定力
  感度
  停止規則
  多重検定
  フィッシャー流の推測
  有意性検定に関してよく誤解されるその他の点
  信頼区間
  ネイマン―ピアソンアプローチに対する批判
  ネイマン―ピアソンアプローチを使用して研究論文を批判的に評価する
  まとめ
  ふりかえりと議論のための質問
  理解を深めるための文献案内


4.ベイズと仮説の確率 129
  主観的確率
  ベイズの定理
  尤度
  ベイズ分析
    確信区間
    ベイズファクター
    ベイズファクターの計算例
    まとめ
  停止規則
  ベイジアンアプローチの弱点
  ベイジアンアプローチを使用して研究論文を批判的に評価する
  まとめ――ネイマン―ピアソン 対 ベイズ
  ふりかえりと議論のための質問
  理解を深めるための文献案内
  ベイズファクターを計算するためのMatlabのプログラム
注 182
 付録1 個人のオッズを直接得る 185


5.フィッシャーと尤度――科学的知見への王道 187
  ベイズの事後分布が証拠とならないのはなぜか
  尤度比が証拠となるのはなぜか
  誤った結論につながる証拠や弱い証拠の確率
  尤度区間
  カテゴリカル変数の例
  ほぼ正規性をもつデータの例
  証拠を積み重ねる
  モデルを選択する
  真実を知る
  ランダム化
  尤度アプローチを使用して心理学研究を批判的に評価する
  ネイマン―ピアソン、ベイズ、尤度推測のまとめ
  ふりかえりと議論のための質問

 付録2 229
  A.比率に関するプログラム
  B.2×2クロス集計表に関するプログラム
  C.分散が未知の正規分布の平均に関するプログラム
  D.参加者間の対比に関するプログラム


日本語版への補遺――開かれた社会と科学 239


訳者あとがき(清河幸子 石井敬子) [243-245]
用語集 [247-256]
参考文献 [257-262]
人名索引 [263-264]
事項索引 [265-267]
著訳者紹介 [268]



【Box一覧】
 ※1.3は無題。

Box 1.1 質問 001
Box 1.2 操作的定義 004
Box 1.3  006
Box 1.4 科学の文脈と正当化の文脈の区別はあるのか? 012
Box 1.5 なぜ人々はたいてい、自分が食べて育ったきた食べ物を好むのか? また、それが常にそうであるわけではないのはなぜか? 014
Box 1.6 女性のオーガズム之機能 027
Box 1.7 結婚相談セラピー 029
Box 1.8 Box 1.1再び 044
図表2.1 進化心理学 073 
図表2.2 学習に対するアプローチ 074
Box 3.1 準備運動 088
Box 3.2 確率の公理 091
Box 3.3 サンプルサイズを定める 101
Box 3.4 有意でなかった結果を解釈する 101
Box 3.5 研究を概観する 103
Box 3.6 Box 3.1再び 105
Box 3-7 信頼区間の使用 116-118
Box 4.1  P(L and C) = P(L)×(CL|L) 132
Box 4.2 確率密度と確率 138-139
Box 4.3 事後分布を作る 143-144
Box 4.4 尤度を決定する 146-147
Box 4.5 正規分布に従う事後分布に関する公式 149
Box 4.6 どの理論を検証すべきか? 171-172
Box 4.7 検定群のベイズ分析 175-176
Box 4.8 分散分析に関してはどうすればよいか? 181-182




【抜き書き】
 献辞。

 私がインバーホーンスクールの最終学年の時にマギーの 『ポパー』 を貸してくれたマレンソン氏、そして、悲しいことに一度も聞くこ とはできなかったのだが、この原稿に対して機知に富んだ深いコメントをしてくれるはずだったヨンクに本書を捧げる。


 原文では"To Mallenson, who lent me Magee's 'Popper' when I was in Imberhorne's Sixth Form, and to Jonck, whose witty and profound comments on this manuscript I could sadly never hear. "という感じ。

・インバーホーンスクール……英国のコミュニティ・スクール、Imberhorne School
・マギーの 『ポパー』……1973年刊行の伝記。Bryan Magee, Karl Popper, Viking Press.
・マレンソン氏……フランスっぽい人名なら「Mr. Malençon」もあるかと思いったが、「Mallenson」だった。