編著者:宮本 正興(1941-)
編著者:松田 素二(1955-)
NDC:240 アフリカ史
『新書アフリカ史』(宮本 正興,松田 素二):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
・2018年に『改訂新版』が刊行。
『改訂新版 新書アフリカ史』(宮本 正興,松田 素二):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
【目次】
目次 [003-009]
はじめに――アフリカから学ぶ(一九九七年五月 編者) [010-020]
アフリカ史という挑戦
負の歴史観
進歩史観の陥穽
新しいアフリカ史
本書の特徴
第I部 アフリカと歴史 021
第一章 アフリカ史の舞台 022
1 人と自然 022
多様な人間と言葉
多様な気候と生態
2 地域形成と外世界交渉 028
川世界のダイナミズム
外世界との交流
第二章 アフリカ文明の曙 035
1 人類を育てたアフリカ大陸 035
ラミダス猿人と人類の起源
アウストラロピテクスの世界
原人の出現とユーラシアへの拡散
現代型ホモ・サピエンスの起源とアフリカ
2 文明を生んだ生態環境 048
変動する環境
アフリカ的農耕の起源
バンツー系農耕民の大拡張
新しい作物と鉄器製造技術
移動と共生の伝統
第II部 川世界の歴史形成 063
第三章 ザイール川世界 064
1 熱帯雨林下に刻まれた歴史 064
二つの世界――サバンナと熱帯雨林
拡大するバンツー世界
バナナ革命
狩猟採集民・焼畑農耕民・漁撈〔ぎょろう〕民の共存
2 サバンナの王国社会 072
サバンナ世界の胎動
マニ・コンゴの権威
ルバ、ルンダの公益
3 キャッサバとイスラームの道、奴隷の道 079
キャッサバ革命
衰退するコンゴ王国
イスラーム化とバングワナの形成
4 キサンガニ森林世界の原理 085
「残された地」キサンガニ
分散の原理と流動的社会
かけこみの森
第四章 ザンベジ・リンポポ川世界 092
1 鉄器農業社会の形成と発展 092
孤立・自生した南の「角〔かど〕」
高原のショナ世界
鉄、農業、バンツー系諸民族の到来
豹の丘伝統――後期鉄器時代
2 大国家の時代 100
最初の大国家マプングブエ
グレート・ジンバブエ
トルワ国とカミ石壁遺跡群
ムタパ国とポルトガル重商主義
高原の覇者チャンガミレ国
3 小国家の時代 116
ムタパ、チャンガミレの滅亡
「孤立と自生」の再現
モザイク世界の開花
第五章 ニジェール川世界 121
1 サヘルにおける定住の開始 121
謎の大河ニジェール
定住と農耕の始まり
金属利用と素焼き彫刻
複雑な社会の出現
2 西スーダンの王国形成 130
ガーナ王国
イスラームの浸透
マリ王国
交易商人のネットワ−ク
ソンガイ王国
ハウサ諸王国
3 森林地帯の都市と国家 142
イボ・ウクウ遺跡の示す階層分化
ヨルバの都市と王国
イフェとベニン――王国の宮廷美術
外世界との関わり
第六章 ナイル川世界 149
1 ヌビアの諸王国 149
エジプトとヌビア
最初の黒人王国クシュ
ヌビア人による第二五王朝
メロエ王朝
ヌビアのキリスト教王国――ノバティア、マクリア、アルワ
イスラーム化の時代
エチオピア高原の諸国――アクスム王国からオロモ社会へ
2 上ナイルの地域形成 161
シルック王権の歴史
ヌエル人とディンカ人
団結する無頭制――ヌエル社会の分節構造
生態環境と地域ネットワーク
3 大湖水地方のニョロ王国 170
ニョロの王権神話
「キタラ王国」というシステム
創られた系譜
第III部 外世界交渉のダイナミズム 179
第七章 トランス・サハラ交渉史 180
1 イスラーム以前のサハラ 180
緑の時代、馬車絵の時代
ユダヤ人のディアスポラ
サハラの先住民、ベルベルとテダ
2 中世イスラーム国家の繁栄 187
アラブの北アフリカ征服
ベルベルの抵抗とハワーリジュ派イスラーム
アルモラビットの聖戦と正統派イスラームの発展
マリ帝国隆盛と主要交易ルート
ソンガイ帝国とトンブクツの繁栄
カネム・ボルヌ帝国の発展
モロッコによるソンガイ征服
3 サハラ交易の矛盾とブラック・アフリカの覚醒 199
モロッコ統治と奴隷貿易
トランス・サハラ奴隷貿易
アフリカ・ナショナリズムの芽生えとフルベの聖戦
既存のイスラーム勢力との戦い
西アフリカのイスラーム王朝交代表 209
第八章 インド洋交渉史 210
1 インド洋を渡る大交易路 210
ヒッパロスの風
海のシルクロードと結んで
海港都市の繁栄
明朝艦隊の来航
ポルトガル艦隊の登場
モンバサを支配拠点に
天正遣欧使節のアフリカ来訪
2 サンジバルの盛衰 225
オマーンの進出
サイイド・サイードの覇権
海洋帝国の首都サンジバル
奴隷貿易の傷跡
増加するインド人
イギリスの保護国に
3 スワヒリ世界の形成 241
イスラーム化の進展
スワヒリ語の生成と普及
第九章 大西洋交渉史 249
1 ポルトガルとアフリカ 249
大航海時代の幕開け
インド航路を開く
動機と目的
ポルトガルのイニシアチブ
2 奴隷貿易の衝撃 256
初期の友好関係
大西洋奴隷貿易始まる
三角貿易と中間航路
奴隷を獲得する方法
アフリカ社会への影響
3 近代世界システムの成立 267
世界経済の出現
覇権を握る者は誰か
パクス・ブリタニカ
近代の光と闇
第IV部 ヨーロッパ近代とアフリカ 277
地図:アフリカの植民地分割(1914年) 278
第一〇章 ヨーロッパの来襲 279
1 植民地支配の始まり 279
野蛮の発明
探検家の時代
アフリカの争奪戦
2 武力征服の時代 288
機関銃対弓矢の戦争
植民地支配の思考と方法
3 リベリアとエチオピア 296
解放奴隷の国リベリア
最古の王国エチオピアの経験
革命とエリトリアの独立
第一一章 植民地支配の方程式 304
1 サバンナのコロニー〈イギリス領東アフリカ〉 304
植民地化の過程
白人入植者の国
人頭税と賦役
白人植民者 vs. アフリカ人農民
2 間接統治のモデル〈イギリス領西アフリカ〉 314
ルガードの植民地観
間接統治のメカニズム
北部ナイジェリアへの適用
間接統治の傷痕
3 同化と直接統治〈フランス領西アフリカ〉 323
文明化の使命
セネガルの四つのコミューンと同化政策
アルベール・サローと「協力」政策
直接統治と「原住民局」
4 「善意」の帰結〈ベルギー領コンゴ〉 331
レオポルド二世の野望
「闇の奥」の「赤いゴム」
「三位一体」的発展
砂上の楼閣
5 遅れた開放〈ポルトガル領南部アフリカ〉 343
貧しい宗主国
植民地支配の「後進性」
解放を阻む要因
植民地・本国同時革命
南アフリカの介入
第一二章 南アフリカの経験 354
1 オランダ東インド会社の時代 354
会社という名の国家
ヤン・ファン・リーベック
自由市民の誕生と奴隷の輸入
ケープ社会の発展
ケープの風景
オランダの独立
2 イギリス領ケープ植民地の誕生 364
パス法廃止と奴隷解放
グレート・トレック
アフリカ人の離合集散
金とダイヤモンドの発見
3 アパルトヘイトへの戦い 374
南アフリカ連邦の時代
人種隔離社会
アパルトヘイト国家=南アフリカ共和国の誕生
不服従運動と反逆裁判
シャープビルの虐殺
ネルソン・マンデラの獄中生活
黒人意識運動とソウェトの闘い
高揚する闘い
政府との交渉――アパルトヘイト廃絶に向けて
マンデラ政権誕生
新社会建設への課題
第V部 抵抗と独立 393
第一三章 アフリカ人の主体性と抵抗 394
1 抵抗の選択肢 394
アフリカ人の選択
見直される初期抵抗
アフリカ的抵抗の水準
2 伝統の反乱 402
ナンディの抵抗戦――ケニア
霊媒師の反乱――チムレンガ(ジンバブエ)とマジマジ(タンザニア)
反逆する司祭――キンバング(ベルギー領コンゴ)
3 イスラーム神権国家の戦い 409
フルベの聖戦
エルハジ・ウマールによるトゥクロール帝国建設
サモリの聖戦
スーダンのマフディー国家
チャドのラバー国家
二つの抵抗
4 王国の抵抗〈アシャンティとマダガスカル〉 423
ゴールドコーストとアシャンティの抬頭
黄金の床几〔しょうぎ〕
イギリスの保護領に
戦場の皇太后――ヤア・アサンテワ
マダガスカルのメリナ王国
反キリスト教からナショナリズムへ
5 マウマウ戦争の構図 434
デダン・キマジという人物
初期の抵抗
一九二〇年代の抵抗
一九三〇〜一九四〇年代の抵抗
一九五〇年代と土地自由軍の闘い
封印された歴史
第一四章 パン・アフリカニズムとナショナリズム 445
1 パン・アフリカ主義の誕生 445
近代的抵抗の系譜
黒人ディアスポラと黒人意識の息吹
デュボイスとパン・アフリカ会議
第五回パン・アフリカ会議と植民地解放の目標
2 ナショナリズムの芽生え 453
両大戦間期のアフリカ人ナショナリズム
第二次世界大戦の影響
労働運動から反植民地闘争へ
アフリカ人政党による独立運動
3 独立とアフリカ合衆国の夢 462
ンクルマと「アフリカ合衆国」の理想
独立とバルカン化
コンゴ動乱
アフリカ統一機構の結成
第一五章 独立の光と影 471
1 自立経済への道 471
植民地経済の桎梏
経済開発路線の選択
工業化の試み
2 アフリカ社会主義の実験 483
タンザニアのウジャマー社会主義
アルーシャ宣言とウジャマー村対策
村落政策への方針転換
農村社会主義の頓挫
3 ネイション・ビルディングの虚構 492
「楽観的近代化論のすすめ」
アフリカ大陸を覆うイデオロギー
ネイション・ビルディングの実態
4 ビアフラ戦争の悲劇 498
ナイジェリアという国
独立前夜――北部支配の確立
第一共和制の失敗
内戦に至る道
ビアフラ戦争の二つの顔――トライバリズムかナショナリズムか
第VI部 現代史を生きる 509
地図:現代のアフリカ国家(1997年6月現在) 510
第一六章 アフリカの苦悩 511
1 民主化の時代 511
一党制から多頭制へ
表:アフリカにおける民主化の動き(一九八九年〜九五年)
肥大する国家
「打ち出の小槌」をめぐる争い
地図:アフリカにおける主要な地域紛争
難民と紛争の悪循環
冷戦終結の影響
多難な民主主義
2 「低開発」と構造調整政策 526
アフリカの「低開発」とは
「バーグ報告」と「ラゴス行動計画」
構造調整政策の限界
インフォーマル部門への期待
3 近代化の矛盾 537
苦悩のオンパレード
近代化のつけ
伝統の逆襲
都市社会の変貌
アフリカ都市の互助システム
第一七章 二一世紀のアフリカ 550
1 多元的社会への可能性 550
翻弄されるアフリカ
アフリカの責任
ネガからの脱却
「浮遊するアイデンティティ」の可能性
「農耕する都市」の英知
2 逆説の文化戦略――言語の未来図から 560
精神の非植民地化
多言語のアフリカン・パラドクス
アフリカ地域共通語〔リンガ・フランカ〕の未来図
参考文献 [570-587]
執筆者紹介 [588-596]