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『経済学のパラダイム――経済学の歴史と思想から』(根岸隆[編] 有斐閣 1995)

編者:根岸 隆[ねぎし・たかし](1933-)  経済学、厚生経済学、経済学史。



【目次】
はしがき


1 経済学における科学と思想――パラダイムの内と外
1 哲学から科学へ 001
  制度化された経済学 001
  哲学と科学 003
2 科学の条件 006
  実証主義の科学観 006
  ポパー反証主義 008
  パラダイムと科学的研究プログラム 011
  発見の文脈と維持の文脈 014
3 科学における主体 017
  知識の有用性の分析 018
  思想と理論における主体 023
  経済学は「科学」か 024
4 外からの見方 026


2 「見えざる手」と市場の体系――スミス・リカードマルサス 
1 アダム・スミスと現代 031
  市場の復権 031
  ステュアートとスミス 032
  スミスの生涯と著作 034
2 『諸国民の富』 038
  分業と市場 038
  分業と資本蓄積 040
  「見えざる手」 042
  安価な政府 043
3 自然価格の体系 045
  長期均衡価格 045
  成長と賃金率の上昇 046
  成長と利潤率の低下 048
  スミスの観察と直観 049
4 マルサスリカード 050
  スミスの忠実な後継者 050
  偉大なスミス批判者 052


3 市場の体系と労働の価値――リカードマルクス・スラッファ 
1 はじめに 055
2 労働価値説 056
3 リカードマルクスの主要命題 057
  分配法則 058
  分配の動学 060
  マルクスによる搾取の発見 064
4 労働価値説によらない諸命題の証明 065
  均等利潤率に基づく相対価格の体系 066
  分配法則 067
  動学命題 071
  搾取の存在 074
5 スラッファの理論が浮かび上がらせた古典派の特徴 076


4 ジェヴォンズの二つの革命――限界革命と政策革命
1 ジェヴォンズと現代 079
  自由主義の理論と政策 079
  ジェヴォンズの生涯 081
2 古典派経済学の衰退と一八七〇年代の経済学方法論争 084
  『国富論』出版百年記念 084
  演繹法帰納法 086
3 科学者ジェヴォンズから経済学者ジェヴォンズへ 089
  ニュートンの科学論と経済学 089
  経済学の数理科学化と効用理論 094
  『経済学の理論』 096
4 自由放任政策の破綻と改革の時代 098
  功利主義と自由放任政策 098
  政策方法論としての論証 101
  改革の時代と実験的立法 102


5 営利企業体制の経済理論――ヴェブレンの理論
1 消費と労働 109
  『有閑階級の理論』 109
  記号論? 110
  労働の忌避 113
  インダストリーとビジネス 115
2 株式会社と営利企業体制 117
  制度とその進化 117
  経済の旧秩序と新秩序 119
  二つの秩序を分かつもの 122 
  所有と支配の分離 125
3 企業資本の概念 127
  資本概念を峻別する必要性 127
  産業資本と営利資本 129
  無形資産の重要性 131
  資産としての「のれん」 134
4 信用と景気変動 136
  株式会社の行動目的 136
  バランスシートの自己拡大 138
  担保・信用・景気変動 140
5 市場か組織か――コースの問題提起と経済学 145
  「見えざる手」は万能か 145
  市場か組織か 148
  市場と組織の中間形態 151
  市場取引の限界 152
  契約・法・取引慣行、そして企業組織 157
  ゲームの理論 161
  取引慣行 167
  経済理論への影響 169


7 シカゴ学派の経済学――ナイトの社会科学観
1 はじめに 175
2 ミラーの解釈 178
  五つの特色 179
  フリードマンの位置づけ 180
3 スティグラーのコメント 182
  反論 182
  同意点 183
  スティグラーの『回顧録』 184
  ケインジアンへの攻撃 185
4 フリードマン以後 186
  価格理論 187
  マクロ経済学 188
5 ベッカーの貢献 189
  市場と差別 190
  犯罪と刑罰 191
  家族の形成と消滅 193
  人的資本理論 194
6 ひとつの推理――フランク・ナイトの意味 196


8 ケインズ経済学と混合経済――不況・失業の経済学から現代
1 歴史的背景 199
2 ケインズの経済学の移り変わり 201
  国際金本位制度をめぐって 201
  国内の不況・失業問題 205
  ケインズ経済学の誕生 207
3 ケインズ経済学の拡張 211
  経済成長理論 211
  ミクロ的基礎 212
4 消費関数とマクロ計量モデル 214
  産業連関分析 214
  マクロ計量モデルの作成 215
  消費関数論争 217
5 マクロ経済政策をめぐる論争 217
  フィリップス曲線 217
  マネタリスト 218
  新しい古典派経済学 220
6 まとめ 221


9 産業化のダイナミックスと経済学――経済学の歴史の再検討 
1 産業化とは何か? 227
  産業革命はなかった 227
  真の革命は一九世紀半ば 228
  科学史のなかの限界革命 230
  マルクス主義と歴史・制度学派の意味 231
  産業化の三段階 232
2 第一期――混乱と市場への不信 234
  費用逓減的技術革新 234
  新技術の普及と恐慌 235
  シスモンディ、マルクスケインズ 237
  分配問題と帝国主義ファシズム 238
3 第二期――政府の積極的役割と繁栄 240
  安定と高度成長 240
  社会主義の行き詰まり 241
  日本的政策体系 242
  フレキシブル生産を先取りした日本 243
4 第三期――アジアの台頭と、市場の復権? 245
  先進国協調・国連とアジア問題 245
  情報技術革命 246
  アジアの台頭とソ連・東欧社会主義の崩壊 247
  市場原理主義の錯誤 249
  「満足の文化」の病理 251
5 これからの経済と経済学の課題 253
  長期的視野の必要性 253
  相続動機の公共化 254
  一ドル=百円の国際通貨供給 255
  長期継続的関係の活性化 256


索引