著者:馬渕 仁[まぶち・ひとし] (1955-) 教育社会学、多文化共生論。
備考:博士論文(Monash University)を成書化したもの。
【目次】
目次 [i-viii]
序章 001
一 三人三様の「異文化理解」論 003
二 本書のねらい 005
1 なぜ、今新たに「海外・帰国子女教育」なのか 006
2 「文化仲介者」の「ディスコース」を取り上げる意味 010
三 本書における基本的用語 018
四 本書の構成 021
注 023
第1章 グローバリゼーションと多文化主義 025
一 グローバリゼーション 028
1 経済的領域におけるグローバリゼーションと文化帝国主義
2 政治的領域におけるグローバリゼーションと国民国家
3 文化的領域におけるグローバリゼーションと普遍性・進歩の概念
4 普遍性・進歩の概念と教育
二 多文化主義と多文化教育 044
1 同化主義的な考え方
2 文化多元主義的な考え方
3 多文化主義
4 多文化主義への反駁
5 多文化主義批判への批判
6 「多」概念から「文化」概念の検討へ
三 文化本質主義をめぐる問題 055
1 多文化主義と文化本質主義
2 ナショナリズムの問題
3 エスニシティの問題
4 ディアスポリック・ハイブリィディティの可能性
5 ジェンダーと文化本質主義の問題
6 戦略的な本質主義
四 まとめ 071
注 074
第2章 海外・帰国子女教育から国際理解教育へ 075
一 政策と問題の変遷 077
1 問題の登場(1950年代) 077
2 政策の変化(1960年代) 079
3 海外・帰国子女教育の発展(1970年代) 081
4 ピークを迎えた海外・帰国子女教育(1980年代) 086
5 国際理解教育への転換(1990年代以降)090
二 問題研究の推移 093
1 適応への取り組み 093
2 特性伸長と国際化 095
国際化の促進
日本を変える契機としての海外・帰国子女教育
3 国際理解と「共生」 101
現地理解と国際理解
国際理解教育と共生
普遍主義とグローバル教育の問題
三 まとめ 110
注 111
第3章 方法論 113
一 客観性、中立性の問題 116
二 ディスコースをめぐるグループ 120
三 公的なディスコース(政策と研究) 124
四 文化仲介者へのインタビュー 126
五 本調査の意義と限界 128
注 129
第4章 公的なディスコース(政策と研究) 131
一 異文化理解と共生の能力 138
二 外国語能力――特に英語力について 142
三 「日本人」の育成と国際理解教育 146
四 普遍性と進歩の概念 150
1 普遍主義
2 日本は遅れているという見解
五 文化相対主義 157
六 他文化の受け入れ 159
七 文化本質主義 164
八 日本社会の多様性――特に男女の差異について 167
九 まとめ 169
注 172
第5章 文化仲介者と異文化理解 173
一 はじめに 175
1 メルボルンの日本人社会と日本人学校
2 クアラルンプールの日本人社会と日本人学校
3 インタビューにおける質問項目
二 異文化理解における能力 184
1 「共生の能力」
2 「コミュニケーション能力」
3 国際社会で最も大切な能力とは
三 異文化理解における日本人の能力 193
1 日本人に共生の能力はあるか
2 日本人にコミュニケーション能力はあるか
四 外国語(英語)について 198
1 英語の重要性
2 英語以外の言語の重要性
五 普遍的な規範 205
1 異文化間コミュニケーションにおける規範
2 規範の普遍性
六 国際理解教育の内容とその進め方 209
1 グローバリゼーションとは
2 国際理解教育の定義
3 国際理解教育における国家の役割
4 国際理解における価値と自文化における価値が衝突した場合
七 まとめ 224
注 229
第6章 文化仲介者の文化観 231
一 はじめに 233
二 文化相対主義 231
1 文化間の優劣
2 全ての文化は平等に扱うべきか
三 同化主義、文化多元主義、多文化主義 241
1 日本は、単一民族国家か
2 他民族の受け入れ
四 文化本質主義I ――日本人論について 251
1 日本社会の中にある差異と共通性
2 日本人の特徴とは
3 日本人論とその一般化
4 比較の対象
5 日本人論の変化
五 文化本質主義II ――根無し草について 259
1 海外日本人の多様性
2 いわゆる「根無し草」について
六 男女の差異 268
1 日本社会の中での男女の差異
2 海外・帰国子女教育における男女の問題
七 まとめ 279
終章 文化本質主義から解放されるために 285
一 規範的な見解 290
1 コンフリクト・フリーな考え方
2 ナイーブな言説
二 文化本質主義 296
三 公的言説と文化仲介者の見解との食い違い 298
四 企業理事、教員、母親グループの相違 301
五 文化本質主義への挑戦 304
あとがき(二〇〇二年一一月 馬渕 仁) [307-316]
参考文献 [317-333]
索引 [334-336]