著者:風間 喜代三[かざま・きよぞう](1928-)
著者:上野 善道[うわの・ぜんどう](1946-)
著者:松村 一登[まつむら・かずと](1953-)
著者:町田 健[まちだ・けん](1957-)
装丁:板谷 成雄[いたや・しげお](1955-) 装丁、編集、エディトリアルデザイン。
NDC:801 言語学
【メモランダム】
・東京大学文学部 言語学研究室
東京大学文学部言語学研究室 - Department of Linguistics, University of Tokyo
・下記目次では、私が節(小見出し)に番号を付加してある。
【目次】
目次 [i-iii]
ローマ字表記について [iv]
序章 言語の研究
0.1 ことばの科学 001
0.2 ラングとパロール 002
0.3 言語記号:シニフィアンとシニフィエ 004
0.4 シンタグム関係とパラダイム関係 007
0.5 文法理論 009
0.6 句構造と依存関係 013
0.7 文の統語構造と意味構造 014
0.8 意味構造に基づく文法理論 018
0.9 言語データ 023
0.10 コーパス 025
注・参考文献 027
第1章 語の構造
1.1 形態素 031
1.2 語,語彙素 033
1.3 語と語の間の関係 037
1.4 形態素のタイプ 038
1.5 語形変化 039
1.6 異形態 043
1.7 語形成:派生語と複合語 046
1.8 語の意味・形態の透明度 051
注・参考文献 054
第2章 文の構造
2.1 統語論 057
2.2 形態素の分類 058
2.3 文を構成する単位 060
2.4 構造を表示するための方法 062
2.5 文に構造がある理由 065
2.6 構造の類型 067
2.7 構造類型を決定する原理 070
2.8 いろいろな統語現象 073
1. 数量詞遊離
2. 主題化
3. 関係節
4. 受動態
注・参考文献 079
第3章 語の意味
3.1 意味論 083
3.2 意味の定義 083
1. 概念説・イメージ説
2. 反応説
3. 用法説
4. 指示対象説
5.3 意義素 089
6.4 成文分析 090
7.5 意味関係 092
8.6 範列的意味関係 093
1. 上下関係・非両立関係
2. 類義語,同義語
3. 反義語
4. 同音異義語と多義語
5.7 連辞的意味関係 102
1. 選択制限(共起制限)
2. 比喩
3.8 機能語の意味 106
4.9 格と意味役割 106
5.10 とりたて詞 109
6.11 接続助詞・接続詞 109
7.12 定・不定と特定・総称 111
注・参考文献 113
第4章 文の意味 115
4.1 事象の構造 115
4.2 時制とアスペクト形式 116
4.3 動作態 119
4.4 動作態とアスペクト形式 121
4.5 モダリティー 123
4.6 文の構造と意味 125
4.7 語の意味の合成 127
4.8 文の意味と真理値 129
1. 前提
2. 否定文
3. 疑問文
4.9 状況と意味 133
5.10 主題と焦点 135
6.11 会話の含意 137
注・参考文献 139
第5章 言語の類型 141
5.1 世界の言語の多様性 141
5.2 言語類型論 142
5.3 基本語順 144
5.4 プロトタイプ 148
5.5 他動詞文の主語と目的語 150
5.6 主語・目的語の格表示 153
5.7 関係節の類型 155
5.8 関係節と名詞句の階層 160
5.9 言語接触と文法の類似 164
注・参考文献 167
第6章 言語の変化 169
6.1 言語の歴史的研究 169
6.2 言語は変化する 170
6.3 歴史的研究の手がかり 170
6.4 文字 171
6.5 文字と発音 173
6.6 音変化 174
6.7 条件変化 176
6.8 音変化と語 177
6.9 種々の音変化 179
6.10 文法の変化と類推 182
6.11 意味の変化 184
6.12 語源研究と借用語 187
6.13 語族の設定と音対応 189
6.14 語族に特有な文法事項 191
6.15 祖語とその再構 192
参考文献 194
第7章 音の構造 195
7.1 音声 195
7.2 音声学の分野 195
7.3 調整音声学の必要性 197
7.4 音声学の訓練 198
7.5 音声器官 200
7.6 発声と長音 203
7.7 音声記号 206
7.8 国際音声字母表の見方 208
7.9 国際音声字母の子音の調音点 209
7.10 国際音声字母の子音の調音法 213
7.11 国際音声字母の母音の調音 214
7.12 調音と発声のタイミング 219
7.13 肺臓以外の気流機構 221
7.14 音声字母の性格 222
7.15 日本語の音声表記 223
7.16 音声表記の問題点 224
7.17 ふたたび音声字母の性格について 226
7.18 音声の機能的な見方 227
7.19 音韻論 227
7.20 日本語の音素 228
7.21 音素設定の作業原則 (1) 230
7.22 音素設定の作業原則 (2) 234
7.23 音韻論の別の見方 (1) 236
7.24 音韻論の別の見方 (2) 237
7.25 アクセント 241
7.26 おわりに 245
注・参考文献 245
あとがき(2004年8月 風間喜代三) [251-252]
国際音声字母 [254-257]
世界の語族地図 [258-259]
世界の言語地図 [260-261]
語族・言語の解説 [262-267]
索引 [268-272]
【抜き書き】
・IPAについての補足(pp. 222-223)。
音声字母の性格
とかくIPAは絶対視される傾向が強い.音声字母は精密極まりないもので,これで表記されたものは実際の音声を漏れなくあらわしていると受け取られやすい.そう取る人は精密な表記こそ正しいもので,簡略なものは不完全とみなし,日本語だと仮名表記をしているだけで論外と断じがちになる.
確かに,音声自体の観察はできるだけ精密であるほうが望ましい.精密な表記もできるようにしておくほうがよい.しかしながら,音声表記が常に精密である必要はない.そもそも,どんなに精密にしても記号で音声をあらわしきることは原理的に不可能である.
そして一方で,音韻レベルでは,言語の音は少数の機能的単位(音素)に還元できることがわかっている.それを踏まえて見直してみると,実際の音声表記は状況に応じてかなり簡略化されうるものであり,それで充分に役に立つことが明らかになってくる.