contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『ふだん使いの言語学――「ことばの基礎力」を鍛えるヒント』(川添愛 新潮選書 2021)

著者:川添 愛[かわぞえ・あい] 理論言語学情報科学自然言語処理)。
シンボルマーク:駒井哲郎
装幀:新潮社装幀室


川添愛 『ふだん使いの言語学―「ことばの基礎力」を鍛えるヒント―』 | 新潮社

 「言った、言わないが起こるのはなぜ?」「SNSの文章が炎上しやすい」「忖度はなぜ起こる?」……理論言語学の知見を使い、単語の多義性や曖昧性、意味解釈の広がり方や狭まり方、文脈や背景との関係などを身近な例から豊富に解説。文の構造を立体的に掴む視点が身につき言葉の感覚がクリアになる、実践的案内。


【目次】
まえがき [003-008]
目次 [009-012]


第一章 無意識の知識を眺める:意味編 015
「良い宿がいっぱい」――語句の多義性
「虎を捕まえてみよ」――言葉の不明確性
「ヒゲの独裁者」って誰?――一般名詞が招く誤解
「あなたのように写真が上手ではない人」――否定の影響範囲
文の意味いろいろ
「君のことも大事にするから」――背景的な意味
「今から来れる?」――言外の意味を意識する
「歯医者やめた」――文脈に沿った多様な理解


第二章 無意識の知識を眺める:文法編 055
おかしな文いろいろ
品詞の違いを意識する
「かっこいい俺の車」――句や文の中の「かたまり」
離れた単語どうしの関係
文の中核――述語と名詞句
名詞句と格助詞の組み合わせ
文の中の「文っぽいもの」――従属節
ゼロの要素を復元する
「海賊王に俺はなる」――かきまぜ現象


第三章 言葉を分析する 105
曖昧性を分析する
  分析例:一般名詞(句)のさまざまな解釈
似た表現の違いを分析する
  分析例:「は」vs.「が」
句や文を立体的に見る
  並列的に繋げられているのは何?
  どこからどこまでが従属節?
  似たような語の並び、異なる構造
含意される内容かどうかを判定する
二つの文の意味が同じかどうかを判定する
背景的な意味を識別する
注意事項:現象の複雑さと個人差


第四章 普段の言葉を振り返る 165
人前に出す文章を添削する
「ちょっと分かりにくい」婉曲表現
誠意ある対応――あやふやな言葉のトラブル
「言った、言わない」が起こるわけ
同じ意味? 違う意味?
褒め言葉で怒らせないために
誘導尋問のかわし方
SNSで気をつけたい「大きい主語」
「笑える冗談」と「笑えない冗談」の違い
「察してほしい」と忖度
自分の言葉遣いに自信がない人は
「言葉の乱れ」問題
おわりに:科学的に言葉を眺める


あとがき [223-226]
註 [227-231]
参考文献一覧 [233-235]



【メモランダム】
・“将棋の強いおじさん”が登場。
 形は似ているが、構造が異なる名詞句としてこの二つを比較している箇所(141-143、148-149頁)。

  a. 将棋の強いおじさん
  b. 南国の強い風