contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『文化人類学入門』(石田英一郎 講談社学術文庫 1976//1959)

原題:『文化人類学序説』(時潮社)
著者:石田 英一郎[いしだ・えいいちろう](1903-1968) 文化人類学民族学
解説:友枝 啓泰[ともえだ・ひろやす](1935- 2009) 文化人類学
装幀:蟹江 征治[かにえ・せいじ] 装丁、絵本。
カバーデザイン:舟橋 菊男[ふなばし・きくお](1942-) 版画。
NDC:389 文化人類学



【目次】
まえがき(一九五九年 初秋 石田英一郎) [003-007]
目次 [008-011]


 第一部 文化人類学の基礎


第一章 文化人類学の目的と対象 016
文化人類学の位置・役割 016
  文化に一つの全体的みとおしを与える
  民族学からの発展成長をめざす
  人類学の要求にマッチした新鮮な魅力
  万人が求めていた人類文化の科学
  全人類的みとおしに立って民族文化を研究
  社会をふくむ文化の全体構造こそ
  伝統的民族学社会人類学の役割

文化人類学の範囲と方法 024
  伝統的民族学社会人類学の役割
  学問的関心の現在的・歴史的対置
  記述と分析との交互規定の反復
  分析と記述との一学問大系【原文ママ】への統合
  文化の科学歴史は相互に他を前提とする

三 先史文化復原の問題 030
  文化人類学と先史学との関係
  先史文化復原への第一の手がかり
  先史文化復原への第二の手がかり
  先史遡及の限界は後期旧石器時代
  心理学の役割――隠在的文化補足の方法
  文化人類学徒のための総合教育
  大学の研究と教育


第二章 文化の概念 039
一 文化ということば 039
  主として学問芸術的世界・教養をさす
  精神史の学術用語となる
  文化についての古典的定義
  ドイツ語の文明 Kulter
  日本語としての文化の形成
  学術用語として世界性を獲得

二 文化の実在性 046
  「文化とは抽象概念だ」という主張
    (1) 「文化とは論理的構成だ」とする説
    (2) 「文化とは心にだけある型〔パタン〕だ」とする説
  人間の行動自体ではなく行動からの抽象
    (3) 「文化とは概念的な模型〔モデル〕だ」とする説
  概念と客観的実在との混同
  実在する文化
  構成された文化
  諸論議は実在とその概念との関係の規定
  客観的実在性こそ文化人類学成立の要件

三 文化の起源と形成 061
  数千万年にわたる樹上生活をへて
  地上におり立ち道具や火を使う生活へ
  経験の固定化と蓄積の能力
  経験の保存・伝達の決定的媒体――言語
    (1) 知識・思考による心的過程
    (2) 感情生活の心的過程
    (3) 意志にもとづく心的過程
  ここに文化とよぶ特異な世界の出現

四 文化の内容と組織 069
  知=技術の体系と情・意=価値の体系
  三つの体系で組織された一個の全体
  単位集団の拡大と個人への影響
  技術・価値・言語・社会=要素の有機的結合
  固体【原文ママ】の維持存続と集団の安全保障

五 文化における全体 079
  文化の全体性と生命体の全体性
  飛ぶ鳥独自の個性と類比される統合形態
  有機的統合体としての文化の研究へ
  有機的生命体が部分変化を生じた場合
  有機的統合体としての文化のばあいでは
  部分変化にともなう文化の存亡
  技術こそ文化変化の究極動因とする説
  技術究極動員説【原文ママ】の主力はマルキシズム
  文化人類学に残された二つの重要課題

六 文化と有機界 090
  超遺伝的=肉体的な文化  
  回教徒とブタ
  無機・有機界に対する第三帝国

七 文化と天才 096
  文化と人間の関係をめぐる不断の問題
  身投げの流行は引力の法則では説明できない
  異例――氷河の後退と新石器革命の過程
  シェイクスピアに代わる人はいなかった
  人間の能力の分布と天才の出現
  天才はときの必要に応じて出る
  文化が天才をつくる
  文化人類学者の可能性

八 文化の定義 108
  あげねばならない文化の二つの特質
  サルの学習と人間の学習は質的に異なる
  人間を人間たらしめるシムボル化能力


第三章 未開民族と原始文化 114
一 原始文化の残存説 114
  未開民族とはなにか
  古代文明以前の生活をたもっているか
  類似文化の全地球的散在

二 未開民族と原始文化の復元 117
  文化における規則性
  復原のための二つの条件と残る難問題
  復原可能の限界は後期旧石器時代

三 遊動採取狩猟民の生活 121
  代表例――セマン族とセイノ族
  その生活環境と食料資源
  狩猟用具と狩猟技術
  くらしの朝・昼・晩
  三 - 五日ごとの居住移動
  単純平和な社会構成
  深い愛情と唯一神信仰の生活

四 定住採取狩猟民の生活 130
  遊動狩猟民よりも豊かなくらし
  エスキモーの生活基盤――寒帯動物
  毛皮の衣服・氷雪の住居
  アイヌにみる定住漁撈民の生活と社会
  信仰――動物は神のかりの姿
  植物採集を基礎とする定住民
  村落をつくる竪穴円屋根の住居群
  
五 塊茎栽培民の生活 138
  掘り棒による原始的農耕
  採集経済に近似の栽培技術
  採集と栽培――焼畑農耕
  シウアイ族にみる社会生活と信仰

穀物栽培民の生活 144
  菜園農業と犂耕農業
  ここに文明民族の生活の基本的諸技術

遊牧民族の生活 146
  衣食住のすべてを家畜に依拠
  すぐれた軍事・機動力と上天の神信仰
  牧畜の起源
主要参考文献 149


 第二部 文化人類学の諸問題


第一章 氏族制時代論 152
はじめに 152
  「弥生式土器時代の氏族共同体」説
  「母系→父系、氏族制→部族同盟→国家」説
  通説への初歩的な疑問
  文化人類学の知識で考える

研究史と問題の所在 157
  氏族社会とはどういうものか
  イロコイ族にみる氏族成員の権利義務
  氏族が構成する部族とその機能・属性
  国家以前の社会組織としての氏族制度
  原始時代の社会構成史的な時代区分
  妥当性を欠く最近の未開社会研究

二 氏族社会の構造と動態 168
  sibとclanの構造原理
  地縁的=血縁的組織 deme
  一貫した原理にもとづく固定制度ではない

三 氏族社会の形成と崩壊 173
  氏族制の発達する社会としない社会
  定住的性格の文化遺跡が示す氏族制
  古代階級的国家の形成=氏族共同体の崩壊
  氏族共同体崩壊の二つの例
  古代国家成立の過程

四 歴史的記録に残る氏族 180
  都市国家の根底にも氏族組織
  古典時代のギリシア人社会
  古代ローマ社会
  近世までつづいたケルト人のクラン遺制
  ゲルマン人の氏族的単位集団
  アステカ国家の実体 ― 部族連合
  インカ帝国の実体も部族連合
  殷王朝にみる一種の氏族制
  大和朝廷のウジ(氏)制度

おわりに 193


第二章 世界史と文化人類学 195
歴史学の対象とその選択 195
  選択の基準1 ――対象の意義と価値
  選択の基準2 ――一般的原理

二 世界史の概念 197
  ポリビオス〔Polybious〕か樹立きた概念
  視野の全地球的ひろがり
  マイヤー【Eduard Meyer (1855-1930)】の『人類学の原理』
  マイヤーの到達とその限界
  ヤスパース人類全史の三段階
  先史時代への深入りをいましめる
  文化人類学の立場との大きなへだたり

文化人類学の立場 206
  人類文化の全体的把握をめざす
  二つの立場
  科学としての基本的性格
  先史歴史世界史は便宜的用語

四 文化史復原の可能性 210
  文化人類学はなぜ先史時代にかたむくか
  現存文化の過去推定への使用(1)
  現存文化の過去推定への使用(2)
  復原は諸科学の成果とともに

五 先史時代の世界史 215
  先史は一個の巨大な実在である
  文化の世界的基礎は後期旧・中石器時代
  世界史的意義をもつ食料生産革命
  根底においてつながる新旧両大陸の文明

六 人類文化史の形成 221
  創意努力による進化と単一文化の波及
  人類形成以来の一貫した世界史的いとなみ
  無歴史的民族の存在は絶無
  人間が人間であることにもとづく歴史観


第三章 唯物史観文化人類学 227
一 問題の所在 227
  唯物史観の重要な作業仮説
  文化人類学の文化二分《文明と文化》思想
  文明は物質的、文化は精神的
  文化内容の三分(文化・文明・社会)類
  唯物史観に対応する文化人類学の進歩

二 社会および言語について 236
  社会文化との概念の区別
  言語文化との概念の区別
  全文化構造における言語の独立性

三 民族について 240
  民族は人種と一致しない
  民族文化の型の問題
  民族文化は社会的変革をこえて存続する

人間性について 245
  人類としての一様性=普遍性の存在
  ヒト概念から人類という概念へ
  人間性という概念の遭難
  しかも人間性は文化の基礎

五 進歩について 251
  文化の進歩とは主観的=相対的なものか
  客観的=普遍的進歩の基準――人間性の解放
  追記――人類を破局から救うために


第四章 人類学とヒューマニズム 256
一 人類の概念とその発見 256
  長期にわたる民族的接触をへて
  大発見時代から十八世紀末に
  十九世紀末の到達――人類把握の時間的深化
  人類の出現による地球上の新世界
ヒューマニズムの基盤 261
  文化の相対性理論
  異質集団間の深刻な対立相剋
  全人類的普遍性を証明する二要素
  全種族に共通してみられる生活法と制度
  すべての民族がいだく超自然力への信仰
  異民族間の文化交流の可能性
  民族をこえ時代をこえる心の場
三 現代文明の危機と不安 270
  人間が人間みずからの存在をおびやかす
  人間の創造物による人間の奴隷化
  マス・コミュニケーションによる人間支配
  自由世界の凄惨な人間性抹殺
  世界全体が無政府的るつぼ化

四 人類学の立場と人間の回復 276
  人間とはなにかからなんであるべきか
  大戦争回避への条件の成熟
  ヒューマニズムの国際政治舞台への登場の道
  東洋のヒューマニズムは待望する


附録 283
一 日本の研究教育機関における文化人類学 284
  一九四五年まで
  一九四五年以後
  反省と展望
    (1) 専門課程の名称
    (2) 研究教育の体制
    (3) 学問の目標と対象
  注・参考文献
二 ある批判に答えて 300
    (1) 現地調査と文献調査
    (2) 文化の隔離と文化の偏重
    附記


解説(友枝啓泰) [315-323]