著者:尾崎 左永子[おざき さえこ](1927-) 歌人。随筆家。放送作家。
NDC:910.23 日本文学史 >> 古代[古代前期.上代],平安時代[古代後期.中古]
【目次】
目次 [i-iii]
序章 王朝文学の世界へ 001
私の場合
「王朝文学」とはなにか
古典の読み方―― 二つの方法
主語は敬語で見分ける
現代語と意味の異なることば
第1章 王朝文学、二つの柱 015
「かな」の発明
万葉仮名から「かな」へ
四季の美意識
第2章 『古今和歌集』の出現 025
唐歌から和歌(ヤマトウタ)へ
「『古今集』はくだらぬ集に有之候(コレアリソウロウ)」
和歌と短歌
「古今集」は王朝の「現代詩」
「うたう」ということ
『古今集』再生
『古今集』逍遥
貫之の梅
詠み込み歌の技法
第3章 日記文学の面白さ 051
1 『土佐日記』――はじめての「かな日記」 052
女になりすまして書く
貴族たちの日誌
数詞の成り立ち
2 『蜻蛉日記』――情炎と反抗 061
美貌と才気の道綱母
嫉妬、屈辱、不満…
3 『和泉式部日記』――新鮮な息づかい 069
「夢よりもはかなき世の中を…」
急速に展開する恋
鶏の声に起こされて
『和泉式部集』の魅力
鋭い感性の故に…
第4章 歌から物語へ 083
1 詞書・歌語り・物語 084
歌が主役の「歌語り」
『竹取物語』『宇津保物語』
2 『伊勢物語』――その裏面 091
激しい政争の下で
長かった「禁書」の時代
書写した人の加筆?
透けて見える「雅びごころ」
「狩の使い」の美しさ
単なる好色男?
3 『源氏物語』――男の心理、女の心理 111
薫香を衣服に染み込ませて
紙――道長の権威の象徴
神聖視する傾向も
三部構成とその流れ
こまやかな心理描写
作者の才気に凄み
「母恋い」の物語
独立としての「女人出家」
表現力・構成力と音声的律動
知的操作の行き届いた歌
第5章 暮らしの背景――王朝文学理解のために 143
ある誤解――はじめに
1 住まいと衣装 147
平安京
内裏と「左右」
清涼殿と後宮
貴族の邸宅
屛障具
衣装のいろいろ
2 婚姻のかたち 163
「よばい」の慣習
恋文の役割
垣間見
通い婚の時代
「上」――正妻の地位
第6章 紫式部と清少納言 171
1 藤原道長と紫式部・清少納言 172
「道長」という存在
浮かび上がる宮廷内の様子
定子方と彰子方
2 『枕草子』――思いの赴くままに 181
「四季」の感覚
「をかし」ばかりで単純?
会話の能力を武器として
函谷関海月の骨
索引の作れない『枕草子』
きびきびとした連想と文章
才をもてはやされて
美男子が好き
気の利かない男
第7章 『新古今和歌集』――王朝文学の終焉 209
後鳥羽院の思い入れ
王朝絵巻的展開
二重構造――本歌取り
配列の妙味
霧の美学
夢の忘れがたみ
あとがき(平成二十三年一月 尾崎左永子) [231-232]