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『『日本文学史序説』補講』(加藤周一 ちくま学芸文庫 2012//2006)

著者:加藤 周一[かとう・しゅういち](1919-2008) 評論、小説。医学(内科学、血液学)
著者:大江 健三郎[おおえ・けんざぶろう](1935-2023) 小説、評論。
著者:小森 陽一[こもり・よういち](1953-) 近代日本文学。
著者:成田 龍一[なりた・りゅういち](1951-) 日本近現代史・都市社会史。
件名:日本文学--歴史
NDLC:KG12
NDC:910.2
備考:『『日本文学史序説』補講』(かもがわ出版、2006年)を文庫化。


筑摩書房 『日本文学史序説』補講 / 加藤 周一 著


【目次】
目次 [003-004]
まえがき(二〇〇六年初秋 合宿学習会進行役 山本晴彦) [007-008]


第一講 009
序章 日本文学の特徴について 010
  〈文学〉の定義
  〈歴史〉の定義
  〈日本〉という言葉
  〈文学〉の方法
  日本文化の核心にあるもの
  ベクトル構成
  〈文学〉の定義の拡大
  将軍と天皇と米国
  日本文学のスタンス
  風景画にあらわれた東西の自然観
  日本人は〈自然〉を愛していたのか


第一章 『万葉集』の時代 055
  恋愛詩としての『万葉集


第二講 075
第二章 最初の転換期 076
  社会の変化と芸術の変化との関係
  ヴェーバーの考え方
  『古今集』の意味
  空海は“雨”
  女が書きはじめたわけ
  インサイダーとアウトサイダー――観察者の位置


第三章 『源氏物語』と『今昔物語』の時代 103
  世界文学史上の事件『源氏物語


第三講 115
第四章 再び転換期 116


第五章 能と狂言の時代 128
  石母田正さんと木下順二さん
  『子午線の祀り』とシェイクスピア
  異文化間接触の三つのかたち
  〈戦争〉と文化創造との関係
  社会的約束事が壊れるとき


第六章 第三の転換期 162
  絵画の方法論を変革した宗達
  構図の意識化
  琳派の絵画革命
  宗達光琳と抱一
  桂離宮と乱世


第七章 元禄文化 180
  注釈書の意味


第八章 町人の時代 190
  アナーキズムが日本で流行らないわけ


第四講 215
第九章 第四の転換期・上 216
  文学史における〈近代〉の区分
  各転換期のつりあい
  遠近法とリアリズム
  一流の肖像画家崋山
  リソルジメント明治維新
  愛国心の条件
  福澤は帝国主義者
  日本のカトリック神学


第十章 第四の転換期・下 253
  『多情多恨』は私小説ではない
  小児科医宣長の勘
  国学ナショナリズム


第十一章 工業化の時代
  戦後の状況 268


最終講 自由討論 285
  〈文学〉の定義――国学の影響
  西洋モデルの定義


あとがき (二〇〇六年一〇月一日 上野毛にて 加藤周一)[315-318]


もう一つの補講 加藤周一が考えつづけてきたこと(大江健三郎小森陽一成田龍一) [319-345]
  日本最初の知識人――紀貫之菅原道真
  百年前の知識人――石川啄木
  「日本」「文学」「歴史」をどう捉えるか
  一九四五年の体験を核に





【抜き書き】
 以下、本書についての補足情報となる3箇所を抜粋した。


・「まえがき」(7頁)

これは、二〇〇三年九月三日から七日までの五日間、加藤周一先生を囲んで開いた第二期白沙会の信州・追分での合宿学習会の記録である。テキストは加藤先生の主著『日本文学史序説』(ちくま学芸文庫 上・下。章立て・引用ページは同書による)を用いた。


・「あとがき」(315頁)

 この本は白沙会の皆さんと『日本文学史序説』の著者加藤周一との合作です。まず加藤が『序説』(とここでは略記します)に補足したいと考えるいくつかの点を要約して話し、その話を含めて『序説』に係る質問を白沙会が提出し、著者と読者が同じ話題について議論しました。質問は実に多岐にわたり、直接に『序説』の内容を論じる場合と、間接に『序論』が喚起した多様な問題をとり上げる場合がありました。この本は前者を中心にして私どもの五日間にわたる議論の内容を整理したものです。



・巻末に追加された鼎談について、編集部の注記。

 加藤周一さんの一周忌にあたる二〇〇九年十二月、第61回紀伊國屋サザンセミナー「加藤周一とともに――いま、『日本文学史序説』を語る」が開かれ、大江健三郎さんの基調講演と、小森陽一さん・成田龍一さんを交えた鼎談が行われました。本書の文庫化にあたり「もう一つの補講」としてその記録を掲載いたします。(ちくま学芸文庫編集部)