著者:小室 直樹[こむろ・なおき] (1932-2010) 社会学。評論。
- 作者:小室 直樹
- メディア: 単行本
【目次】
はじめに(平成一三年九月 小室直樹) [ii-vi]
目次 [vii-xvi]
Chapter 1 数学の論理の源泉――古代宗教から生まれた数学の論理 001
1 神は存在するのか、しないのか 002
イスラエルの神は特異な神
唯一絶対的人格神との契約
論理こそ数学の生命
ユダヤ教理解の鍵
モーセと神の論争にみる神と人間との契約
古代ギリシャで論理と数学が合体
法律の論理は偽物
アリストテレスの形式論理学
2 存在するのかしないのか、それが問題だ――ギリシャの三大難問題型 022
解のない問題もある
ガウスの大定理
3 航路は果たして存在するのかしないのか――「解」を目的にしたか否かが問題だ 027
「解」を目的にしなかった鄭和の大航海
「解」を目的にしたマゼランの大航海
方程式の解(根)とは
4 n次方程式には「解」がある――ガウスが発見した「解」の存在 038
ガウスの大定理の意義
解があっても解けない方程式がある
5 最高の役人は最低の政治家である――マクス・ヴェーバーが発見した「解」のない政治の現実 045
Chapter 2 数学は何のために学ぶのか――論理とは神への論争の技術なり 049
1 「論理」とは「論争」の技術なり――東西の論争技術 050
ヨ−ロッパの論争技術「国際法」
蘇秦・張儀と韓非子にみる中国の論争技術
韓非子が説く中国の論争技術
韓国人・中国人の論理と、論理のない日本人との論争
なぜ、日韓関係はよくならないのか――論理と非論理の衝突
2 東西の「論理」の違い 071
形式論理学が確立した三つの根本原則
「食物規定」にみる論理の違い
暖昧なる日本の法律の論理
法律という名の嘘の効用
3 数学の論理への誘い 084
近代数学の“華”形式論理学
論理学とは何か
韓非子の「矛盾」とアリストテレスの「矛盾」は矛盾する
ロバチェフスキー「革命」の本質
すべて(全称命題)と一部〔ある〕(特称命題)の違い
形式論理学には昇華しなかった中国の論理
Chapter 3 数学と近代資本主義――数学の論理から資本主義は育った 109
1 数学と資本主義の精神 110
宋代、商業が隆盛をきわめたが
日本人は「数学的精神」をなぜ失ったか
数学的思考を否定した「空」の思想
2 資本主義的私的所有権の絶対性と抽象性 119
資本主義の根本は私的所有権である
資本主義における所有の絶対性は数学化される
日本では考えにくい「所有の絶対性」
キリスト教が生んだ所有権の絶対性
数学と結婚した経済学
中世の所有は占有と不可分
資本主義における所有の抽象性は数学化される
社会主義へと後退する日本の資本主義
3 中国や日本社会の特性 157
人間関係で左右される中国の所有権
Chapter 4 証明の技術――背理法・帰納法・必要十分条件・対偶の徹底解明 163
1 形式論理学の“華”――背理法(帰謬法) 164
背理法(帰謬法)の論理とその威力剛
非ユークリッド幾何学の発見――パラダイムの大転換
真理の発見から模型構築へのコペルニクス的大転換
2 数学を除くあらゆる科学は不完全である――帰納法 179
近代科学と帰納法
心理学の実験と物理学
ファンダメンタリストの科学批判
メアリー・ベイカー・エディの「奇蹟」
完全な帰納法は数学だけが持つ
統計調査法と帰納法
もう一つの帰納法――権威による論証
中世の教会は聖書をなぜ読ませなかったのか
3 社会科学の最重要概念――必要条件と十分条件 211
数学征服の鍵は必要条件と十分条件の理解にあり
必要十分条件とは何か――「同値」の定義
著名な経済学者が陥った「論理矛盾」
ソビエト帝国崩壊の原因
必要条件と十分条件の念のためのまとめ
4 対偶の論理――何かがうまくいっていないときのおすすめ発想法 235
対偶・逆・裏とは何か
経済がうまくいかないときの発想法
アメリカの金融危機への対処
Chapter 5 数学と経済学――経済理論を貫く数学の論理 245
1 ちょっぴりの数学で理論経済学の極意が分かる 246
方程式と恒等式
ケインズと古典派
「セイの法則」の神髄
「自由市場はベスト」とは
ベストとは「資源の最適配分」のことを言う
2 国民(national)を理解すると経済が分かる 266
大恐慌とケインズ理論の登場
ナショナル(national)の使い方
国民所得を計算する
「有効需要の原理」とは何か
ケインズは方程式、古典派は恒等式
クラウディング・アウト(閉め出し)
3 経済の相互連関を単純なモデルで理解する 285
政府を無視すると経済学が分かる
サムエルソンの功績
数学コンプレックスを治す
「変化しない」は「変化する」の特殊ケース
ワルラスは経済学を科学として自立させた
仏教の因果律との比較
問題は「労働力の換算」に
マルクスを理解していない日本のマルキスト
4 経済学の奥義が分かり数学が大好きに 310
経済学のエッセンスが分かって数学が大好きになる
グラフもやっと好きになった
もう「金融」もなんのその
「合成の誤謬」とは