著者:吉田 文和[よしだ・ふみかず] (1950-) 産業技術論、環境経済学。
図表作成:山田 信也(スタジオ・ポット)
グリーン・エコノミー -吉田文和 著|電子書籍|中央公論新社
【目次】
はじめに [i-viii]
目次 [ix-xvi]
第一章 東日本大震災の衝撃 001
未曽有の被害
「想定外」であったか?
日本のエネルギーバランス・フロー
日本の電力エネルギー利用
日本の原子力をどうするか
原発震災と水俣病の教訓
エネルギー・電力政策の見直しの方向性
BOX:原子力発電とは 005
BOX:電力会社の賠償責任と電力事業の再編成 021
第二章 「脱原発」で温暖化対策は可能か 023
温暖化は本当に起きているのか? IPCC報告の骨子
不確実性の増大
二〇五〇年二酸化炭素排出半減のシナリオ
生態系破壊の深刻さ――国連生物多様性条約
持続可能な発展と化石燃料消費の抑制の意義―― EUの戦略
長期戦略、環境政策とエネルギー政策、産業雇用政策の統合
日本の温室効果ガス排出削減目標
「脱原発」で温暖化対策は可能か?
「エネルギー基本計画」の問題点
理念、枠組み、戦略の重要性
第三章 グリーン・エコノミーと日本再生の課題 043
1 新しい経済を求めて 043
経済成長と経済発展
「経済実績と社会進歩の計測」に関する研究成果――フランス大統領への報告の意義
2 「よい生き方」と「持続可能性」 008
GDPの問題点――生産からよい生き方へ
生活の質の評価
持続可能な発展と環境
「人間のよい生き方」と「持続可能性」をキーワードとして、「グリーン・エコノミー」を論ずる
BOX:「経済」の語源――ギリシャ語と中国語 045
3 グリーン・エコノミーとは 054
グリーン・エコノミーとは何か?
持続可能な発展
持続可能な消費と生産
低炭素経済と循環型社会、循環経済
二酸化炭素削減とごみ有料化の効果
グリーン・エコノミーと雇用
グリーン・ニューディールの限界とグリーン・エコノミーの課題
BOX:生物多様性の経済学 058
4 日本再生の課題 065
二十一世紀に入っての動向――高い失業率と労働時間と所得の動向
日本の課題――少子高齢化社会の問題
森林保全と雇用創出
土壌汚染地の浄化
「世界の工場・市場」としての東アジアと環境保全の課題
経済の目的からグリーン・エコノミーを考える
BOX:「環境モデル都市」下川町の取り組み 073
第四章 制約なくして革新なし 081
1 資源・エネルギー制約にどう立ち向かうか――デンマーク 081
何のためのイノベーションか?
デンマークのエネルギー政策
日本が学ぶべきこと
2 ドイツのエコ・イノベーション 090
少子高齢化のドイツがなぜ、元気なのか?
環境再生と雇用創出――ドイツの経験
『ドイツ環境経済報告書二〇〇九』――環境政策・イノベーション政策・投資政策
ドイツの再生可能エネルギーの普及過程
3 日本の経験をどう総括するか 100
日本の戦後史と環境問題
自動車排出ガス規制の教訓
公共事業としての下水道とごみ焼却
BOX:ボーター仮説から20年 105
4 アメリカにおける資源制約とグリーン投資の可能性 107
成長と環境の関係の変容
国家の新たな役割
グリーン開発への政治経済学
資源・環境制約と経済および技術の革新
BOX:ボートランド市の気候変動行動計画 111
第五章 環境とエネルギーと雇用の政策統合――ドイツとオーストリアの経験から 117
1 ドイツの政策統合 118
ドイツの気候変動政策とエネルギー政策と雇用政策
ドイツの二〇二〇年四〇%排出削減計画
ドイツ政府の「エネルギー大綱」
風力発電とメーカーの現場
ドイツの太陽光産業
熱電併給モデル都市ベルリン
『ドイツ環境経済報告書二〇〇九』――グリーンの先行市場は高成長によって特
徴づけられる
グリーンの先行市場でドイツ企業の売り上げ増加
環境保全は経済的に引き合う
日本への言及・評価
環境物品貿易は五年で倍増だが、日本のシェアは低下
2 ウィーン市中心部のごみ焼却工場 146
オーストリアの廃棄物管理と焼却処理の位置づけ
地域暖房と電力生産
画家フンデルトバッサーによる工場外壁デザイン
都市計画と地域暖房
日本の課題
政策統合の課題
BOX:地域の特性を活かした省エネルギー、北海道の事例から 155
第六章 日本の温室効果ガス排出削減戦略 159
1 日本の排出削減計画の基本方針はいかにあるべきか 159
いくら排出削減するのか?
「経済成長」主義の限界
将来にわたる持続可能性の課題
短期・中期的方針
省エネルギーの可能性――日本は「乾いた雑巾を絞る」状況か?
環境省「ロードマップ」の分析
「原子力発電所解体」の問題
アジアにおける原子力の問題
ベトナムへの原子力発電所輸出の条件
2 日本の再生可能エネルギー 182
再生可能エネルギーの普及見通し――太陽光発電
再生可能エネルギーの普及見通し――風力発電
北海道の風力発電
風力発電の課題
スマートグリッド(次世代送電網)の役割
バイオマス利用の潜在的可能性、北海道とバイオマス資源
住宅の断熱化と省エネルギー・雇用創出、省力よりも省資源、省エネルギー型技術開発を
環境とエネルギー、新興国を事業の柱・再編軸にする企業の急増
今後の展望
BOX:原子力発電所の圧力容器と風力発電機を同時に製造する工場 193
第七章 ポリシー・ミックスの設計――環境税・排出量取引・固定価格買取 205
ポリシー・ミックスの必要性
1 グリーン税制改革 208
環境税の基礎理論、ビグー税の意味
環境税の意義
炭素リーケージと輕减方策
EUの環境税
地球温暖化対策のための税の導入
2 排出量取引 217
理論的整理
環境税と排出量取引の関係
EUETSの経験
アメリカの排出量取引
国内排出量取引制度
京都議定書の排出量取引
国内排出量取引制度の原案
原単位目標の問題
二国間クレジット問題
BOX : 東京都の排出量取引 224
3 固定価格買取制度(FIT) 230
固定価格買取制度の基本的特徴
固定価格買取制度採用に当たっての留意点
ドイツの固定価格買取制度改良の経験
日本における全量固定価格買取制度
負担のあり方――電力価格上乗せによる低所得者層への配慮の検討
ポリシー・ミックスと「グリーン・イノベーション」の課題
脱原発と温暖化対策のポリシー・ミックスを
BOX:世界から評価される日本のトップランナー方式の課題 241
終章 グリーン・エコノミーの展望 245
直面する諸困難の性格
日本における再生可能エネルギー普及への課題
東北地方を再生可能エネルギーの一大センターとして復興する
世界的なインフラ再整備の課題と日本の役割
結び
あとがき [259-262]
注 [264-272]
索引 [273-276]