著者:石黒 圭[いしぐろ・けい] (1969-) 文章論。
NDC:816 日本語 >> 文章.文体.作文
【目次】
目次 [003-012]
序章 接続詞がよいと文章が映える 013
読みやすさの立役者 014
プロでも気遣う接続詞 015
本書の構成 019
第一章 接続詞とは何か 021
副詞との境界線 022
指示詞との境界線 023
接続助詞との異同 024
接続詞は何をつなぐか 028
接続詞は論理的か 030
第二章 接続詞の役割 035
接続詞は「書き手」のもの 036
接続詞は「読み手」のもの 038
機能①――連接関係を表示する 040
機能②――文脈のつながりをなめらかにする 041
機能③――重要な情報に焦点を絞る 045
機能④――読み手に含意を読みとらせる 044
機能⑤――接続の範囲を指定する 046
機能⑥――文章の構造を整理する 051
第三章 論理の接続詞 055
四種十類に分けてみる 056
順接の接続詞 058
「だから」系――原因‐結果の橋渡しに活躍 060
「それなら」系――仮定をもとに結果を考える 064
逆接の接続詞 067
「しかし」が続く文章は読みにくいか 070
「しかし」系――単調さを防ぐ豊富なラインナップ 073
「ところが」系――強い意外感をもたらす 081
第四章 整理の接続詞 087
並列の接続詞 088
「そして」系――便利な接続詞の代表格 089
「それに」系――ダメを押す 097
「かつ」系――厳めしい顔つきで論理づけ 099
対比の接続詞 101
「一方」系――二つの物事の相違点に注目 102
「または」系――複数の選択肢を示す 105
列挙の接続詞 108
「第一に」系――文章のなかの箇条書き 110
「最初に」系――順序を重視した列挙 112
「まず」系――列挙のオールマイティ 112
第五章 理解の接続詞 115
換言の接続詞 116
「つまり」系――端的な言い換えで切れ味を出す 117
「むしろ」系――否定することで表現を絞る 123
例示の接続詞 126
「たとえば」系――抽象と具体の往還を助ける 126
「とくに」系――特別な例で読者を惹きつける 131
補足の接続詞 132
「なぜなら」系――使わないほうが洗練した文章になる 132
「ただし」系――補足的だが理解に役立つ情報が続く 134
第六章 展開の接続詞 139
転換の接続詞 140
「さて」系――周到な準備のもとにさりげなく使われる 141
「では」系――話の核心に入ることを予告する 143
結論の接続詞 145
「このように」系――素直に文章をまとめる 146
「とにかく」系――強引に結論へと急ぐ 149
第七章 文末の接続詞 153
文末で構造化に貢献する 154
否定の文末接続詞 156
「のではない」系――読み手の心に疑問を生む 157
「だけではない」系――ほかにもあることを予告 158
疑問の文末接続詞 161
説明の文末接続詞 163
「のだ」系――文章の流れにダメをつくる 166
「からだ」系――理由をはっきり示す 170
意見の文末接続詞 171
「と思われる」系――「私」の判断に必然感を加える 173
「のではないか」系――慎重に控えめに提示する 174
「必要がある」系――根拠を示したうえで判断に至る 176
第八章 話し言葉の接続詞 179
対話での接続詞はその場の空気を変える 180
対話での使用のリスク①――相手の発話権を奪う 182
対話での使用のリスク②――言い方を訂正して気分を逆なでする 183
対話での使用のリスク③――逆接の使用で無用な対立を生む 18
対話での使用のリスク④――自己正当化を目立たせる 186
よく使う接続詞で隠れた性格がわかる 188
独話では使いすぎに注意 189
話し言葉的メディアで好まれる短めの接続詞 192
第九章 接続詞のさじ加減 195
文章のジャンル別使用頻度 196
使わないほうがよい文がある 197
接続詞の弊害①――文間の距離が近くなりすぎる 199
接続詞の弊害②――間違った癒着を生じさせる 201
接続詞の弊害③――文章の自然な流れをブッブッ切る 205
接続詞の弊害④――書き手の解釈を押しつける 206
接続詞の弊害⑤――後続文脈の理解を阻害する 209
第十章 接続詞の戦略的使用 213
「接続詞のあいだを文で埋める」と考えてみる 214
二重使用という戦略 221
漢字か平仮名か、読点は打つか 226
第十一章 接続詞と表現効果 229
漱石の作品に見る効果 230
「そして」の力を体感する 235
主要参考文献 [242-243]
おわりに(二〇〇八年八月 SDG 石黒圭) [244-246]
索引 [248-253]
【抜き書き】
・棋士の随筆が例文に採られた箇所(p. 171)。
次の例は、将棋のプロ棋士が、大事な対局に負けてしまった日の帰り道のことを書いたエッセイの結末の部分です。理由であることを明示したことで根拠となる内容が明確になり、説得力が増しています。
明治通りにあるラーメン屋で、ひとりラーメンを食べて帰った。そのラーメン屋は日本一まずいラーメン屋である。対局を負けた後にしか行かないからである。
(先崎学『まわり将棋は技術だ』文藝春秋)