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『知らないと恥をかく「性」の新常識』(齋藤賢 光文社新書 2020)

著者:齋藤 賢[さいとう・けん](1994-) 理論社会学(社会システム理論、社会学的機能主義)。
NDC:367.9 性問題.性教育


知らないと恥をかく「性」の新常識 齋藤賢 | 光文社新書 | 光文社


【目次】
はじめに [003-019]
  自分と他者の尊厳を守る鍵は「知識」 
  若者論が成り立たない中で、若者の声を伝えること
  「憂国」青年の遍歴
  ジェンダー課題に目を向けた瞬間
  本書の構成
目次 [020-030]


第1章 明るみに出た女性たちへのハラスメント 031
エリートだろうが何だろうが関係ない
「おじさん」だけが問題か?
#MeTooと#KuToo
上から目線のしょうもない意見
ひどい嫌がらせを知ってしまう


第2章 日本のジェンダー格差をデータで把握しなおす 051
マクロな観点から見える格差
SDGsジェンダー
日本語で表せない「エンパワーメント」
ジェンダー不平等は先進国にとっても課題
社会システムに巣食う格差
女性の政治家が少ないことの何が問題なのか?
格差は政治システム以外にも棲みつく
「まとめ」ではなく、注意を最後に 


第3章 あなたの性を楽しむために 077
あなたも、私も、性を楽しもう 
起きている子を寝ていると思い込む
包括的性教育の必要性
「JKで性教育?!」の衝撃
頻出するアダルト系の漫画と広告
毒にも薬にもなるインターネット
「『質問箱』はやらない方がいい」
第3次生理ムーブメント
「ちゃんとした」動画の意義
「性」を架け橋に接近するカルチャーとアクティビズム


第4章 自分自身のカラダをもっと知ろう 119
女性のカラダについて
ない! ない! ない! の三連打
中絶をめぐる論争
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは
「スピリチュアル」を見分ける
#なんでないの?
避妊へのアクセスが困難な日本
低中所得国を含め当然のインフラ
なぜ自分のカラダのことを自分でコントロールできないのか?
「下ネタって括りからの解放が必要なのかも」
避妊、緊急避妊、中絶……。どれもヤバいニッポン
男性の無関心・無知の問題
汝自身を知れ!


第5章 「AV教科書化」問題にモノ申す 167
AVをめぐる問題圏へ
ふたつの前身――①ピンク映画
ふたつの前身――②ビニ本 AVの誕生
AV的表現の開花
『全裸監督』の時代
『全裸監督』に対する批判
飯島愛の活躍とセルビデオの登場
無料アダルトサイトの広がり
男性にも見られる女性向けAV
課題としてのAV
「AV教科書化」に対する問題提起
どのようなAVが望ましいのか?
営みとしてのセックスを撮る
恋愛工学の危険性
世界で制作されるAVのオルタナティブ
「自分の出す映像は果たして猥褻物なのか」
性産業をグレーゾーンに追いやる社会
自己責任論と自己責任論批判の両者を批判する


第6章 いま、「性的同意」に注目が集まるワケ 215
いま、若者たちが注目している「性的同意」
性的同意とは何か
性的同意の3つの成立条件
女性からでも
性的同意を啓発するために
神話から科学へ
日本における性暴力の問題
直近の動き
Genesisの啓発活動
配偶者や恋人間でもレイプは起こりうる
ワークショップでの実践的なロールプレイ
「共感」をベースに性をリブランディングする
「性的行為」がセックスだけとは限らない Genesis流・性的同意のコツ
性に関する価値観のすり合わせ
文化とか本能とかいろいろ言うが


最終章 セックスのコミュニケーション的転換 265
セックスのコミュニケーション的転換
コミュニケーションをサポートする
「セックスしない人たちにも使ってほしい」
テクノロジーで課題を解決する
SNSの中に舞う言葉
SNSから聴こえてくる声をどう受け止めるのか セクスティングの是非
「からかい」の弊害
「はい、論破」して何になる?
失敗のダブルスタンダード
真摯に言葉を受け止めること、そして、言葉の先を考えること
残された課題――① ハッシュタグアクティビズム
残された課題――② 「前提」が共有されない世界


おわりに(2020年9月30日 茨城の実家にて 齋藤賢) [303-312]
  僕のスタンス
  僕自身の使命 
  謝辞
参考文献 [1-12]





【抜き書き】
「はじめに」から。

◆若者論が成り立たない中で、若者の声を伝えること
 僕はジェンダー(生物学的な性差とは区別される社会的な性差のこと。〈上野2006〉参照)に関する社会課題解決に関わっているシスジェンダーヘテロセクシュアルの男性だ(シスジェンダーヘテロセクシュアルとは「異性に対して恋愛感情を持ち、割り当てられた性別に違和感を覚えない人」〈石田2019:15〉のこと)。そして、東京大学大学院で理論社会学を研究中の大学院生でもある。この本はそんな僕が社会課題解決の最前線で体験し、取材し、考えたことのうち、「性」というテーマに「あまり関心がない」「関心はあるがよく知らない」人に知ってほしいことをまとめたものである。
 〔……〕
 この本は社会課題に関するルポであると同時に、ちょっとした社会批評の様相を帯びている。この本に登場する若手アクティビストや着目する社会課題を通じての社会批評でもある。