著者:伊藤 邦武[いとう・くにたけ] (1949-) アメリカ哲学(分析哲学、パース研究)、宇宙論の哲学、宗教哲学。
NDC:130.2 西洋哲学史〈通史〉
【目次】
まえがき [i-viii]
序章 哲学史のストーリー 003
物語としての哲学
これまでの哲学史
ヘーゲル『歴史哲学講義』
シュペングラー『西欧の没落』
トインビー『歴史の研究』
ローティ「哲学の終わり」
哲学の大きい螺旋的なサイクル
新しい生の哲学の構築へ
第一章 魂の哲学――古代・中世 021
1 「魂」という原理 021
哲学とは何か
神話の時代から哲学の成熟へ
文明横断的にみられる「魂」
古代中国と日本
古代インドの宗教
ギリシア
世界の主要元素への問い
自然学者たちの活動
2 アテナイの哲学――プラトンとアリストテレス 041
ソクラテスの「無知の知」
学問の府アカデメイア
『アテナイの学堂』が意味するもの
プラトンのイデア論
イデアを把握する能力
道徳論と宇宙論の結びつき
アリストテレスの生涯
『形而上学』
事物の生成変化の説明原理
世界の始源と魂論
「中庸」の実現
3 地中海の哲学 071
帝国の誕生
プラトン、アリストテレスとのかかわり
ヘレニズム時代の科学的遺産
エピクロス派、ストア派、懐疑主義
プロティノスと新プラトン主義
アウグスティヌスとポエティウス
プロクロスの継承者
「普遍論争」
イスラムの哲学者たちの業績
トマス・アクィナスの思想
ダンテの『神曲』へ
第二章 意識の哲学――近代 102
1 科学革命の時代――デカルトの登場 102
閉じられた世界から開かれた宇宙へ
世界の片隅に生きる者
近代哲学の父
新しい哲学
デカルトの存在論
観念とは
精神と物質
方法的懐疑
透明な知性
神の存在証明
2 心身問題 127
心と身体の問題はどうなるのか
機会原因論
神即自然の哲学
予定調和の哲学
モナド
精神と身体は同等か
3 経験論と超越論的観念論の立場 143
感覚的経験の意義
タブラ・ラサ
観念の分類
存在と知覚
因果的結合の実在性
観念連合
観念のヴェール
独断のまどろみ
アプリオリな総合判断
超越論的観念論
超越論的統覚の働き
理論理性・実践理性・カント後の哲学
第三章 言語の哲学―― 二〇世紀 179
1 論理学の革命 179
独我論の脅威
言語論的転回
カントへの挑戦
新しい論理学
新しい哲学の創始者パース
思考即記号、人間即記号
パースのプラグマティズム
フレーゲの算術の哲学
「言語哲学」の問題領域へ
フレーゲ後の二〇世紀哲学
2 ケンブリッジから 206
分析哲学の流れ
ラッセルの功績
前期ウィトゲンシュタイン
ラムジーの批判
後期ウィトゲンシュタイン
言語ゲーム論と生の哲学
3 アメリカへ 225
論理実証主義
クワインの論理実証主義批判
翻訳の不確実性
クワイン哲学の影響――デイヴィドソンとパトナム
クーンのパラダイム論
ローティとプラグマティズムの帰結
第四章 生命の哲学―― 二一世紀へ向けて 244
1 生の哲学 244
カント哲学のもう一つの遺産
ダーウィンのインパクト
ショーペンハウアーのカント理解
物自体としての意志
ペシミズムからの脱却
「アポロン的なもの」と「ディオニュソス的なもの」
生への意志から力への意志へ
強者のニヒリズムとしての世界の肯定
2 ジェイムズとベルクソン 265
ペシミズムやニヒリズムを超えて
ジェイムズのプラグマティズム
意識の流れと純粋経験
意識に直接与えられているもの
時間と自由
進化と創造的エネルギー
3 エコロジカルな心の哲学 282
人間と環境世界
世界内存在としての実存
無としての実存
デカルト主義の残滓
世界内存在としての身体――メルロ=ポンティ
多様なシステムの重層と交差
差異の哲学――ドゥルーズ
多様体の論理
アフォーダンス
拡張した心の哲学
宇宙の中の人間の位置
注 [313]
あとがき(二〇一二年八月 著者) [315]
人名索引 [318-321]