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『若者と労働――「入社」の仕組みから解きほぐす』(濱口桂一郎 中公新書ラクレ 2013)

著者:濱口 桂一郎[はまぐち・けいいちろう](1958-)
本文DTP・図表作成:市川 真樹子
NDC:366.21 労働力.雇用.労働市場:就業人口,労働移動


若者と労働 -濱口桂一郎 著|中公新書ラクレ|中央公論新社


【目次】
まえがき [003-005]
目次 [006-015]


序章 若者雇用問題がなかった日本 019


第1章 「就職」型社会と「入社」型社会 025
1 「ジョブ型」社会と「メンバーシップ型」社会 025
  「ジョブ型」と「メンバーシップ型」の原点
  誰も理解していない日本型人事管理の理由
  「人」と「仕事」の結びつけ方
  日本では「人」と「仕事」をどう結びつけるか
  「社員」は会社のメンバーか?
2 どのように会社に「入る」のか? 037
  新卒定期採用方式というユニークなやり方
  欧米諸国の欠員補充方式
  欠員補充方式の具体的なやり方
  「入口」を特定するかしないか
  アジア諸国は欧米型
3 日本の法律制度はジョブ型社会が原則 048
  働く人は「社員」ではない
  脇道:外的な働く「社員」
  労働法もジョブ型で作られている
  職業紹介は「職業」を紹介することになっている
4 「入社」型社会はどのように作られた? 058
  「メンバーシップ型」という言葉の出所
  「就社」より「入社」
  確立以前
  新卒定期採用制の形成
  戦時体制下の採用統制
  新規中卒者の定期採用制度
  新規高卒採用制度の確立と変容
  大卒者の増大と学卒労働市場の変容
5 法律と現実の隙間を埋めるルール作り 068
  現実に合わせるために
  「入社」を拒否することは違法でない
  内定者は労働者である
6 周辺化されたジョブ型「就職」 076
  ハ口―ワークは誰のためのもの?
  「就活」は「職探し」に非ず


第2章 「社員」の仕組み 081
1 定期昇給は何のため? 082
  定期昇給制度の不思議
  仕事と対応する賃金制度
  仕事と対応しない賃金制度
  年功賃金制の発達
2 時間と空間の無限定的 089
  労働時間は無限定
  いざというときのクッションとしての残業
  自分の仕事と他人の仕事のあいまいさ
  転勤は拒否できない
3 社内教育訓練でスキルアップ 095
  公的教育訓練中心の仕組み
  社内教育訓練中心の仕組み
  教育訓練としてのジョブローテーション
4 リストラは周辺部と中高年か 100
  陰画としての非正規労働者
  日本型フレクシキュリティ
  リストラの標的としての中高年
5 若者雇用政策の要らなかった社会 108


第3章 「入社」のための教育システム 111
1 「就職」型職業教育の冷遇 111
  「何の役にも立たない」者にならないための教育
  教育の職業的意義(レリバンス)とは?
  職業教育冷遇化の推移
2 「地頭がいい」人材を提供するだけの学校教育 118
  「入社」のための普通教育
  学校と社会を貫く一元的能力主義
3 教育費は誰が払う? 121
  教育費を公的負担するジョブ型社会
  教育は親がかりのメンバーシップ型社会
4 職業的意義なき教育ゆえの「人間力」就活 124
  「社員」の選抜基準
  ジョブ型社会の「職業能力」就活
  メンバーシップ型社会の「人間力」就活
5 「人間力」就活ゆえの職業なき「キャリア教育」 132
  「キャリア教育」の登場
  一般的職業教育の復活?
  就活スキル教育
6 教育と職業の密接な無関係の行方 137


第4章 「入社」システムの縮小と排除された若者 141
1 日経連『新時代の「日本的経営」』の実現と非実現 141
  一九九〇年代の変容
  『新時代の「日本的経営」』の思想
  長期蓄積能力活用型の収縮と高度化
  雇用柔軟型の拡大
  高度専門能力活用型の創設
  高度専門能力活用型を意図した法改正
2 バブル期のうらやましい「フリーター」 151
  「フリーター」認識の遅れ
  「フリーター」の語源
  困った今どきの若者の典型としてのフリーター
3 バブル崩壊後の悲惨な「フリーター」 155
  学卒労働市場の縮小
  フリーターの増加
  「フリーター」の「甘え」批判言説
4 取り残された年長フリーター 160
  年功賃金制の下で次第に開いてくる格差
  年長フリーターの問題化


第5章 若者雇用問題の「政策」化 165
1 若者雇用問題がなかった二〇世紀 165
2 欧米諸国の若者雇用政策も失敗の連続 167
  若者こそが雇用問題の中心だった欧米諸国
  高齢者早期引退政策という失敗
  「エンプロイアビリティ」とは何か?
  ドイツのデュアル・システム
3 日本の雇用政策はジョブ型だった! 176
  ジョブ型若者雇用政策の導入
  日本でジョブ型雇用政策が行われた時代
  メンバーシップ型に転換した雇用政策
  メンバーシップ型雇用政策からの脱却
4 ジョブ型若者雇用政策の始動 184
  若者雇用政策の出発点
  若者自立・挑戦プラン
  厚生労働省版デュアル・システム
  文部科学省版デュアル・システム
5 「仕事というレッテル」をぶら下げるジョブ・カード制度 192
  ジョブ・カード制度の構想
  ジョブ・カード制度の推進
  ジョブ・カード制度の「仕分け」
  ジョブ・カード制度の見直し
  エントリーシートから学生用ジョブ・カードヘ
6 職業能力をランク付けするキャリア段位制度 200
  ホワイトカラーの職業能力を評価する
  日本版NVQの構想
  キャリア段位制度
7 若者の雇用を確保するために 206
  新卒一括採用の見直しを打ち出す
  青少年雇用機会確保指針
  既卒者にも新卒一括採用の門戸を開く
8 採用を年齢で差別しない 211
  中高年雇用政策としての年齢差別禁止政策
  年長フリーターが門前払いされないように


第6章 正社員は幸せか? 217
1 生活保障なき無限定社員――ブラック企業現象 217
  「名ばかり正社員」の使い捨て
  ブラック企業問題の登場
  見返りのない滅私奉公
  「会社人間」批判とネオリベラリズムの合流
  今野晴貴氏の分析
2 ジョブなき成果主義による疲弊 225
  能力主義から成果主義
  成果主義の普及
  ジョブがあいまいでは不平不満の元
  正社員に対する負荷の増大
  白紙の学生に即戦力を要求
3 「人間力」就活がもたらすブラック企業 233


第7章 若者雇用問題への「処方菫」 235
1 「全員ジョブ型」処方雲はなぜ難しいか? 235
  若者雇用問題への診断まとめ
  「全員メンバーシップ型」処方箋の無理
  「全員ジョブ型」処方箋の難点
  OECDの言う「勝ち組」とは?
2 漸進戦略としての「ジョブ型正社員」 244
  第三の類型としての「ジョブ型正社員」
  反復更新された有期契約からジョブ型正社員へ
  二〇一二年労働契約法改正
3 「一般職」からジョブ型正社員へ 251
  「女性正社員」の時代
  コース別雇用管理
  「一般職」からジョブ型正社員へ
4 ノンエリート労働者の自立 256
  幹部候補ではない正社員
  僕たちはガンダムのジムである
5 ジョブ型正社員とは? 259
  「多様な正社員」を念頭に
  ジョブ型正社員の構想
6 真の日本版デュアル・システムへ 264
  ジョブ型正社員を確立するために必要な「就職型」教育システム
  職業教育の復権強化を
  「職業大学」への動きとその倭小な帰結
  真の日本版デュアル・システムの構築
  学習と労働の組み合わせ


あとがきに代えて(濱口桂一郎) [274-279]
付録 欧米諸国の若者雇用政策 [280-290]




【メモランダム】
他の文献への言及箇所の一覧。本書には参考文献一覧が無いので急ごしらえした。


  [文献]
『新しい労働社会』(岩波書店)  25頁
『日本の雇用と労働法』(日本経済新聞出版社)  25、48、87頁
田中博秀『現代雇用論』(1980年)  26〜46、82頁
 『労働白書』(労働省 1970年代)  29頁
星野英一民法 I』(良書普及会)
ゴードン、アンドルー『日本労使関係史 1853-2010』(岩波書店 2012年)  58頁
菅山真次『「就社」社会の誕生』(名古屋大学出版会)  59頁
本田由紀『教育の職業的意義』(筑摩書房)  114、274頁
本田由紀『多元化する「能力」と日本社会』  130頁
 『新時代の「日本的経営」』(日経連 1995年)  130、142、248頁
 『能力主義管理』(日経連 1996年)  130頁
大沢仁ほか『就活ののバカヤロー』(光文社)  136頁
道下裕史『エグゼクティブフリーター』(ワニブックス)  153頁
本田由紀『軋む社会』(双風舎)  158頁
 『POSSE』(堀之内出版 ※季刊誌)  218
小林美希『ルポ “正社員”の若者たち』(岩波書店 2008年)  218
小林美希『ルポ 正社員になりたい』(影書房 2007年) 218
山口一臣ワークライフバランス』(日本経済新聞出版社)  220頁
今野晴貴ブラック企業』(文藝春秋)  223頁
OECD『日本の若者と雇用』(明石書店)  241頁
OECD『世界の若者と雇用』(明石書店)  241、270頁
海老原嗣生『就職、絶望』(扶桑社)  256頁
常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』  258頁  
熊澤誠『ノンエリートの自立』(有斐閣)ほか  258頁


  [人]
荒木 尚志  250
乾 彰夫  119
海老原 嗣生  256、278
岸 政彦  79
熊澤 誠  258
今野 晴貴  223、256
田中 博秀  26
常見 陽平  258
佐藤 博樹  246、277
長久保 徹  152
本田 由紀  138、274