contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『競争社会をこえて――ノー・コンテストの時代』(Alfie Kohn[著] 山本啓,真水康樹[訳] 法政大学出版局 1994//1992)

原題:No Contest: The Case Against Competition, 1986. (Revised Edition, 1992)
著者:Alfie Kohn(1957-) 教育学、評論。
訳者:山本 啓[やまもと・ひらく] (1947-) 政治学,思想史,社会理論。
訳者:真水 康樹[ますい・やすき] (1959-) 政治学,中国政治制度史。
シリーズ:叢書・ウニベルシタス;436
NDC:361.3 社会関係.社会過程
NDC:361.4 社会心理学


競争社会をこえて | 法政大学出版局


【目次】
目次 [iii-vi]
感謝のことば [vii-ix]
エピグラフ [x]


第1章 「ナンバー・ワン」の強迫観念 001


第2章 競争は避けられないものなのだろうか――「人間性」という神話 017
人間性」というカードを切ること 017
競争が避けられないものだという議論について 025
現実の自然状態 032
競争から学習するのか、それとも協力から学習するのか 040
異文化における生活 056
不可避性をめぐる心理学の議論 065


第3章 競争はより生産的なものなのだろうか――協働の報酬 074
業績と競争 076
競争がなにもならないものだという説明 091
生産性――個人主義的な発想をこえて 108
経済的な競争 115


第4章 競争はもっと楽しいものなのだろうか――スポーツ、遊び、娯楽について 131
遊びについての疑問 133
競争をともなわない 144


第5章 競争が人格をかたちづくるのだろうか――心理学的な考察 160
なぜ競争するのか 161
勝利、敗北、自尊心 177
心の傷を否定すること 190
競争と不安感 201
そのほかに競争がもたらすもの 210


第6章 相互の対立――対人関係の考察 222
毒される人間関係 222
ライバルの解剖学 228
攻撃的な意識 242
処方菱としての協力 252
われわれ対やつら 258
実りをもたらす対立 265


第7章 汚い手をつかう口実 269


第8章 女性と競争 285


第9章 競争をこえて――変化をもたらすためのさまざまな考え方 310
意図的な競争と構造的な競争の再考 310
どのようにして社会の変化を阻止するのか 323
無競争社会にむけて 328


第10章 ともに学ぶ 336
学校へもどろう 337
生徒どうしのあいだで 342
協力学習の効果 346
協力の実践 364
協力の三つのC 379
協力が実現されていく展望 389


あとがき [401-422]
訳者あとがき(一九九四年春 桃の花が咲きみだれる窓辺で 山本啓) [423-428]
参考文献 [66-91]
原注 [6-65]
人名索引 [1-5]





【抜き書き】
・本書の冒頭にエピグラフとして掲げられている一節。著者(Alfie Kohn)が下記の文献から引用したもの。Robber's Cave Experimentが思い出される。
 ちなみに、参照元のロバート・コーラム『政治の研究』はなかなか古い。
Robrt Coram(1791) Political Inquiries: To Which Is Added, A Plan For The General Establishment Of Schools Throughout The United States

四半期ごとに行われるすべての試験において、もっともすばらしい文章を書いた生徒に金メダルがあたえられた。はじめてメダルが授与されたとき、みんなのあいだでは対抗意識というよりも争いが生じてしまい、さらには、うらみやねたみや仲たがいが学校中にひろがった。以前には親友だった少年たちは、はげしく争うライバルになり、だれかに賞が授与されると、和解することができないほど敵どうしになってしまった。さきに賞をもらった生徒は、もらえなかった生徒のできばえをけなした。少年たちはそれぞれ、相手の能力が自分の能力よりもおとっているようにと願っていたし、互いのできばえをゆがめてつたえ、ののしるために、あらゆる姑息な手段をもちいたのだった。
   ロバート・コーラム『政治の研究』(一七九一年)