著者:坂野 徹[さかの・とおる] (1961-) 科学史。フィールドワーク史。
件名:人類学--歴史
件名:植民政策 (日本)
NDC:389.02 文化人類学
NDC:469.021 人類学
【目次】
目次 [i-vi]
凡例 [vii]
序章 日本の人類学と植民地主義/国民国家 001
第一節 人類学の歴史を何故、そしてどのように問うのか 002
1 人類学と植民地主義/国民国家 003
2 日本の人類学の歴史を問い直す 004
第二節 人類学史研究の現状と本書の課題 006
1 人類学における学説史・研究史 006
2 人類学と日本/日本人 008
3 人類学と植民地支配/戦争 008
第三節 本書の構成および本書で用いる概念について 010
1 日本における人類学の誕生(第一章) 010
2 日本人の起源をめぐって(第二章) 010
3 人類学者の他者認識(第三章から第六章) 011
4 太平洋戦争と人類学(第七章と第八章) 011
注 012
第一章 日本人類学の誕生──坪井正五郎を中心に 015
第一節 人類学会の設立──古物趣味から人類学へ 016
1 「じんるいがくのとも」 016
2 古物趣味の伝統 019
3 お雇い外国人の日本研究 020
4 「西洋」対「日本」──オリエンタリズムへの苛立ち 022
第二節 坪井正五郎と明治期人類学の射程 024
1 博物学としての人類学――坪井正五郎の学問論 025
2 坪井正五郎と人類学の啓蒙活動 030
3 「大衆的の学者」 033
第三節 土俗と風俗──われらが内なる「未開」と「文明」 036
1 人類学博物館日本 036
2 土俗──われらが内なる「未開」 038
3 風俗測定の試み 040
4 郷土会と日本民俗学会──土俗から民俗へ 042
第四節 好事家の政治学 045
1 『工商技芸 看板考』──故事来歴としての「進化変遷」 045
2 組立写真/重ね(撮り)写真の実践 047
3 好事家の政治学 051
第五節 自然人類学者たち──小金井良精と足立文太郎 053
1 自然人類学者の導入 053
2 医学者にとっての人類学 055
3 小金井良精にとっての西欧人類学 057
4 足立文太郎による白人の優秀性批判 059
注 062
第二章 日本人とは誰か──日本人種論の政治学 075
第一節 記紀神話と人種交替パラダイムの成立 076
1 お雇い外国人の日本人種論 076
2 記紀神話と人種交替パラダイム 082
第二節 コロボックル論争と日本人の不在 084
1 コロボックル論争の起源 084
2 コロボックル論争の展開 086
3 日本人の不在とナショナリズム 089
第三節 日本人種と人種分類の不可能性 095
1 坪井正五郎の人種観 095
2 世紀転換期における日本人種の浮上 099
第四節 日本人種から日本民族へ 103
1 人種と民族 103
2 高木敏雄の日本人種批判 105
第五節 アイヌ説の制覇と日本人起源論の流行 109
1 鳥居龍蔵の固有日本人説 109
2 日本人の地方差 115
第六節 人種交替パラダイムの超克 121
1 濱田耕作の人種交替パラダイム批判 121
2 松本彦七郎の汎アイヌ説 127
3 長谷部言人のアイヌ説批判 130
4 清野謙次の混血説 134
第七節 大東亜共栄圏構想と日本人種論 140
1 長谷部言人と大東亜共栄圏構想 140
2 清野謙次と大東亜共栄圏構想 145
第八節 日本人種論と柳田民俗学の位置 152
1 山人論と日本人種論 152
2 起源論からの脱却 158
注 162
第三章 我らが内なる他者──人類学者のアイヌ認識 179
第一節 人種交替パラダイムとアイヌ滅亡の語り 180
1 アイヌ研究の開始とアイヌ滅亡論 180
2 旧土人保護法とアイヌ同化論 186
第二節 同化政策と落ち穂拾いとしてのアイヌ学 188
1 金田一京助とアイヌ文化の滅亡 188
2 金田一京助のアイヌ研究 190
3 金田一京助とアイヌ同化政策 194
第三節 日本人種論とアイヌ 197
1 滅亡論の変容──適者生存から混血へ 197
2 日本人種論とアイヌ混血問題 198
第四節 優生学者とアイヌ混血問題 203
1 『アイヌ』ノ医学的民族生物学的調査研究 203
2 優生学者と混血問題 205
第五節 アイヌ混血問題と人種交替パラダイムの揺らぎ 210
1 日本人種論のなかのアイヌ 210
2 日本人とアイヌの境界 214
3 アイヌ民族と人類学研究 215
注 217
第四章 漢化・日本化・文明化──植民地統治下台湾における人類学研究 227
第一節 鳥居龍蔵の「探検」調査 228
1 鳥居龍蔵と台湾領有 228
2 鳥居龍蔵の原住民分類 230
3 鳥居龍蔵の「探検」 231
第二節 伊能嘉矩と原住民の「開化発達」 234
1 台湾領と有伊能嘉矩 234
2 伊能嘉矩の原住民調査 237
第三節 台湾慣習研究会の漢族旧慣調査 240
1 台湾慣習研究会の設立 240
2 台湾慣習研究会の終焉 243
第四節 理蕃事業と総督府の原住民調査 244
1 台湾総督府の理蕃事業 244
2 『蕃族調査報告書』と『番族慣習調査報告書』 246
3 理蕃事業と原住民認識の変容 247
第五節 土俗人種学教室と「蕃社集団移住」 249
1 『台湾高砂族系統所属の研究』
2 土俗人種学教室と原住民強制移住政策 253
第六節 宮本延人と寺廟整理問題 257
1 皇民化政策と寺廟整理運動の発生 257
2 宮本延人の寺廟調査 258
第七節 混血と優生政策による「皇民化」 261
1 台北帝国大学医学部解剖学教室 261
2 人種学と「皇民化」 264
第八節 「文明化」か「皇民化」か 267
1 『民俗台湾』の創刊と皇民化運動 267
2 「文明化」と「皇民化」 274
3 「皇民化」から「文化政策」へ 277
注 279
第五章 類縁性のレトリック──植民地統治下朝鮮における人類学研究 295
第一節 鳥居龍蔵とシャーマニズム 296
1 鳥居龍蔵と朝鮮総督府 296
2 日鮮同祖論とシャーマニズムの「発見」 298
3 固有文化としての巫俗/シャーマニズム 301
第二節 朝鮮総督府と「植民地民俗学」 303
1 今村鞆〔とも〕の「警察民俗学」 303
2 村山智順と朝鮮の民間信仰 306
第三節 巫俗と朝鮮ナショナリズム 310
1 朝鮮民俗学の形成 310
2 巫俗ナショナリズムと対日協力 315
第四節 秋葉隆と内鮮一体論 320
1 秋葉隆と朝鮮巫俗 320
2 秋葉隆と内鮮一体『精義』 323
第五節 京城学派人類学と朝鮮総督府 328
1 京城学派人類学 328
2 生体計測と日鮮同祖論 330
第六節 朝鮮半島から大陸へ──京城帝国大学と満蒙研究 333
1 シャーマニズム研究と満蒙 333
2 形質人類学と満蒙 338
注 339
第六章 「怠惰」なる他者──植民地統治下ミクロネシアにおける人類学研究 355
第一節 『南洋新占領地視察報告』 356
1 楢林兵三郎「新占領南洋群島ノ視察報告」 356
2 松村瞭と長谷部言人 358
第二節 松岡静雄と南進論 361
1 『ミクロネシア民族誌』と南洋庁 361
2 「南方経営は天孫民族の使命」 366
第三節 長谷部言人の生体計測プロジェクト 369
1 「南洋群島人の人種関係」 369
2 「日本人と南洋人」 371
第四節 ミクロネシアにおける人口減少問題をめぐって 375
1 「ヤップ島人口減少問題ノ医学的研究」 375
2 矢内原忠雄と「島民」の「文明化」 378
第五節 土方久功と「裸の土人」たち 381
1 土方久功とサテワヌ島 381
2 土方久功とミクロネシアの植民地的近代 385
第六節 労働力としての「島民」 388
1 人口減少と労働力 388
2 杉浦健一と南洋統治 392
注 395
第七章 大東亜共栄圏と人類学者──戦時体制下の人類学研究 403
第一節 人類学の学問分化 404
1 人類学と民族学/民俗学 404
2 三学会体制の成立 406
第二節 民族学と民族政策の構想 410
1 岡正雄と民族研究所の設立 410
2 「民族研究」の思想 414
3 大東亜共栄圏と民族学 417
第三節 ナショナルな学か、大東亜民俗学か 423
1 民俗学は戦争と無縁か──戦時体制と民俗学の流行 423
2 「新しき国風の学」 428
3 「大東亜民俗学」とは何か 434
第四節 「原住民化」する日本人 440
1 大東亜共栄圏と自然人類学 440
2 混血研究 443
3 熱帯馴化研究 449
注 454
第八章 エピローグ──日本人類学にとっての敗戦 469
第一節 汚辱の払拭──民族学 469
1 石田英一郎と民族学の戦争協力問題 469
2 民族学から文化人類学へ 473
第二節 「いよいよ働かねばならぬ世になりぬ」──民俗学 475
1 柳田國男と敗戦 475
2 民俗学研究所の企てとその挫折 479
第三節 反省なき沈黙──自然人類学 482
1 自然人類学と太平洋戦争 482
2 自然人類学者とGHQ 483
注 486
結語 493
1 人類学から自然人類学/民族学/民俗学へ 493
2 日本人種論の展開 495
3 日本人類学と植民地支配/戦争 496
4 日本の人類学にとっての自己と他者 499
5 人類学の政治性をどう考えるのか 503
注 505
あとがき(二〇〇五年一月 坂野徹) [507-511]
引用・参考文献 [vii-xxix]
人名索引 [i-vi]