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『官報複合体――権力と一体化する新聞の大罪』(牧野洋 講談社 2012)

著者:牧野 洋[まきの・よう](1960-) ジャーナリスト。翻訳家。
NDC:070.14 ジャーナリズム・新聞の理論:新聞学
NDC:070.21 ジャーナリズム.新聞


『官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪』(牧野 洋)|講談社BOOK倶楽部


・2021年に文庫化。
官報複合体 :牧野 洋|河出書房新社


【目次】
まえがき――サミットの写真でわかる新聞と権力の関係 [001-007]
目次 [009-024]


序章 東日本大震災の「発表報道」の大問題 027
0.1 ニューヨーク・タイムズ一面で「原発事故で官僚が情報隠蔽
0.2 放射性物質の拡散予測を特報できなかった新聞
0.3 情報独占は権力側の力の源泉
0.4 官報複合体の要は記者クラブ
0.5 「大本営発表」とどこが違うのか
0.6 「番犬」ジャーナリズムの担い手は週刊誌か
0.7 税金で建てたビルが最も巨大という異常
0.8 東電救済・増税路線の背後にあるもの


第一章 内部告発は犯罪で権力は正義 045 
1.1 ウィキリークスと組んだ欧米メディア
1.2 ウィキリークスと報道機関の分業体制
1.3 権力側が書いてほしくないことを書く
1.4 大新聞が協力して内部告発者を支援
1.5 「政府を信用するな」という教訓
1.6 日米で正反対の報道をしたケース
1.7 かき消された検察の裏金問題
1.8 西山事件、三井事件、尖閣ビデオ事件の共通項
1.9 ウィキリークスは日本の新聞に期待しない
1.10 郵便不正事件で推定有罪報道がまかり通る
1.11 新聞協会賞受賞の裏で朝日が書き換えたこと
1.12 御用記者は追放されるアメリ
1.13 ヤミ金資金洗浄事件の報道被害
1.14 職場復帰もできないまま
1.15 無罪確定を報じなかった新聞
1.16 捜査当局が描いたシナリオのまま報道
1.17 警察・検察だけを取材して当事者に


第二章 リーク依存症の大新聞 077
2.1 逮捕当日の朝、村上世彰から電話が
2.2 捜査スケジュールが刻々と新聞一面に
2.3 「村上ファンド幹部が一斉逮捕」の予告で
2.4 ウソの自白に追い込んだ検察リーク報道
2.5 検察リークを裁判所が正面から認定
2.6 村上バッシングの判決に社説も追随
2.7 「安ければ買う、高ければ売る」に裁判官は
2.8 判決に疑問を示した日経と「イソログ」
2.9 村上世彰ホリエモンが見た「波取り記者」の幻影
2.10 電波利権を守るために新聞社


第三章 権力側は匿名の不思議 099 
3.1 ウィキリークス登場の背景にある匿名報道
3.2 映画『グリーン・ゾーン』のモデルは御用記者
3.3 イラク戦争に火をつけた「スクープ」
3.4 政治的に利用される匿名報道
3.5 新聞社が重宝する「紙取り記者」
3.6 郵便不正事件で担当検事の匿名性は
3.7 元司法記者の告白
3.8 ニューヨーク・タイムズの記者倫理ガイドライン
3.9 内部告発者と権力者の匿名性――日米の違い
3.10 「捜査する側」は匿名、「捜査される側」は実名の日本
3.11 捜査関係者が匿名性の陰に隠れて
3.12 ホリエモンの反論を報じなかった大新聞
3.13 マスコミによって“丸裸”にされるアメリカの捜査当局
3.14 「裁く側」を報じない新聞
3.15 裁判官の個性を報じるアメリカのメディア
3.16 裁判所も巨大権力
3.17 新聞は最高裁裁判官を監視しているのか
3.18 国民審査前の無責任な社説
3.19 最高裁判事の人事をアメリカの新聞は
3.20 日本の最高裁判事人事はく夕記事
3.21 ボツになった「最高裁裁判官ランキング」


第四章 官報複合体を支える記者クラブ 143
4.1 一〇〇年前から「チョウチン記者」
4.2 アメリカ人が見た夜討ち・朝駆け
4.3 リトマス試験紙はサミット取材
4.4 首脳の記念写真を無視したニューヨーク・タイムズ
4.5 ニューヨーク・タイムズと正反対の紙面をつくった日本
4.6 外国にも持ち込まれる記者クラブ
4.7 アメリカにもあった記者クラブとは
4.8 「オフレコクラブ」を脱会して躍進した新聞
4.9 巨大広告主GMが激怒した原因
4.10 「知る権利」を損ねる記者クラブ
4.11 ウォーターゲート事件秘話――スター記者が画策した談合
4.12 記者たちが結束して情報公開を迫れるのか
4.13 EUが「競争妨害」と見なす日本の記者クラブ
4.14 夜回りなしの特ダネ競争の実態
4.15 記者クラブからは歴史的スクープは生まれない
4.16 自ら権力と化す東証記者クラブ
4.17 主要メディアが簡単に手放せない利権
4.18 個人投資家も傍聴できるNYの決算発表
4.19 決算情報を独占し投資家の「知る権利」は二の次


第五章 市民目線の報道と記者クラブの報道 181 
5.1 アメリカではボツの「プレスリリース原稿」
5.2 アメリカで取材者の目線は
5.3 報道姿勢が百八十度異なる日米
5.4 日本では観察者が観察者に取材
5.5 「真に民主的な新聞をつくる」と宣言した人物とは
5.6 また聞きで書いた「お手軽原稿」
5.7 記者クラブ的な取材の本質とは
5.8 肝心のコメントがない日本の新聞
5.9 アメリカの報道の主人公は
5.10 政府の発表も市民目線で
5.11 オバマも投稿するネット新聞とは
5.12 各界の有力者が原稿料なしで
5.13 ネット新聞が生み出したスター記者
5.14 抑圧された人の視点=権力に迎合せず
5.15 ハフポストの力の源泉とは


第六章 消費者の守護神は年俸百万ドル記者 207 
6.1 スティーブ・ジョブズも恐れたコラムニスト
6.2 ワシントン支局長を約束されながら
6.3 「玄人が玄人向けに書くコラム」全盛時代に
6.4 メディア王マ−ドックと直談判
6.5 IT記者なのにシリコンバレーに住まない理由
6.6 消費者本位とは「暮しの手帖
6.7 「業者が喜ぶ情報」満載の日経記事
6.8 カタログ上のデータを書く日経
6.9 競争力の源泉は取材先との癒着排除
6.10 倫理規定では同性婚も全面開示
6.11 金銭の受け取りを拒否した唯一の人物
6.12 年俸一〇〇万ドルの理由
6.13 記事一本で一〇〇万円
6.14 日本の新聞のコラムニストの報酬は世界最高
6.15 五五歳の女性記者が戦地取材に
6.16 政治家からアドバイスを求められる記者は優秀か
6.17 取材先と一緒に酔っぱらわない
6.18 ジャーナリストは業界コンサルタントになるな
6.19 「マニアになりたくないと思う人」向けに
6.20 「巨大IT企業も権力だ」
6.21 コーヒー代を払ってもらったらわいろ?


第七章 調査報道 VS. 日本型特ダネ 249 
7.1 トヨタのリコール問題の発火点
7.2 リコール報道、日米で大きな食い違い
7.3 日本の新聞はアメリカの報道を基に記事を
7.4 トヨタ側の説明だけを流す日本の大新聞
7.5 トヨタから攻撃された唯一の新聞
7.6 ピュリツァー賞の最終候補になったトヨタ報道
7.7 日本的な「発表先取り型」報道はジャーナリズムか
7.8 新聞社版「選択と集中」とは


第八章 調査報道の雄 269 
8.1 ワシントン・ポストホワイトハウスからの脅し
8.2 刑務所行きも覚悟で報じたCIA秘密収容所
8.3 「経営難など気にするな」
8.4 「権力と二人三脚」日本の大新聞
8.5 アフガニスタンで軍の指示を無視
8.6 日本の「ダメ記者」が書く記事は
8.7 大スクープを助けたブロガー情報
8.8 調査報道を支えるリサーチャーとは何か
8.9 ディープウェブ検索も駆使
8.10 世界各地の飛行機愛好家を情報源に
8.11 権力と仲のいい記者は要らない
8.12 「ディープスロート」もオフレコではなかった
8.13 「ディープバックグラウンド」取材とは
8.14 オフレコ取材がタブー視されるアメリ
8.15 日本のオフレコ懇談会の実態
8.16 オフレコで報道を誘導する権力者
8.17 尖閣ビデオがユーチューブに投稿された理由


第九章 新聞の救世主 301
9.1 「番犬」という名前のNPO
9.2 時代に逆行したワシントン支局開設
9.3 アメリカでは一〇年間で四人に一人以上がリストラ
9.4 調査報道をアウトソース
9.5 チェックなき権力は腐敗する
9.6 「ハゲタカ」がNPOを支援
9.7 買収ファンドがなぜ支持をしたのか
9.8 「新メディアの実験場」サンディエゴ
9.9 一紙独占体制を打ち破ったオンライン新聞
9.10 共通ネタを追いかけるのは資源の無駄
9.11 調査報道NPOの元祖は
9.12 米公共放送とNHKは似て非なる存在
9.13 調査報道を主軸にしているからこそ寄付を
9.14 アメリカ新聞業界全体の縮図
9.15 果たして日本で調査報道NPOは可能か
9.16 ピュリツァー賞初受賞のオンラインメディア
9.17 「もうけるのが目的ではない」
9.18 新聞記者経験のない医師がピュリツァー賞
9.19 記事一本に三〇〇〇万円以上もかける調査


第一〇章 ニュースの正確性 339 
10.1 ニュース発掘に四ドル、事実確認に六ドル
10.2 「番犬」に欠かせない正確性
10.3 反戦ヒーロー、イラク帰還兵のウソ
10.4 ウソが暴かれたのは実名だからこそ
10.5 日本の新聞では記事一本中に仮名が五回も
10.6 匿名・仮名・無署名――これを信用できるか
10.7 アメリカの新聞は匿名の理由を徹底説明
10.8 高校生も実名、写真で登場
10.9 米財務省からクレームが来た理由
10.10 英文日経記者の悩み
10.11 匿名・仮名報道に慣らされた日本の読者
10.12 英訳したらゴミ箱行きの「出所不詳記事」
10.13 米紙では「関係者によると」はタブー
10.14 「コメントは編集」が当たり前の日本
10.15 専門家集団「ファクトチェッカー」とは何か
10.16 コメント引用の厳格なルール
10.17 ウォーレン・バフェットの怒り
10.18 テープで録音しているとホンネを話さない?
10.19 ウォールストリート・ジャーナルの誤記の背景
10.20 日本の新聞に「オンブズマン」はいるのか
10.21 ニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルの違い
10.22 カギは第三者のチェック


第一一章 一面トップとは何か 385 
11.1 「ぜひモノ」と「暇ネタ」
11.2 「一面トップはニュース記事」の常識を覆す
11.3 記事には「きょう」や「きのう」は要らない
11.4 日本の新聞紙面上を席巻する記事とは
11.5 日本の大新聞はUSAトゥデイ
11.6 リードのネタが仕事の半分
11.7 ニュース記事の常識を覆した書き方
11.8 反対命題を必ず示す
11.9 体系的に教えるアメリカ、OJTに依存する日本
11.10 エジプト情勢よりも大相撲八百長問題を
11.11 耳だけでなく目も使って取材
11.12 手本はトルストイ
11.13 レストランの名前まで質問する理由
11.14 「それは通信社の仕事では?」
11.15 日本の新聞記者以外は通信社の記者だけ
11.16 海外特派員の仕事は「ヨコタテ」
11.17 共通ネタを無視して独自ネタで一面スクープ
11.18 速報ニュース至上主義に追われ「肉体労働者」


第一二章 ピュリツァーへの回帰 423
12.1 ピュリツァー賞で最も格が高い部門とは
12.2 ピュリツァー賞と新聞協会賞は似て非なる存在
12.3 「世紀の合併」スクープでも受賞対象外
12.4 PR会社に転職したスクープ記者の必然
12.5 知らず知らずに権力の応援団に
12.6 イエロージャーナリズムの原点
12.7 ジャーナリズムは体系化できるか
12.8 東日本大震災で「ピュリツァー賞の大学」は
12.9 世界的な卒業生ネットワークが情報をふるいに
12.10 記者クラブが存在しないために学生でも
12.11 実際の新聞社と同じ環境で学生にも記者証を
12.12 当事者に取材しないで書いた原稿はボツ
12.13 なぜか少ないジャーナリズム志望の日本人留学生
12.14 日本の新聞界は一〇〇年前のアメリカと同じ
12.15 「政治三流」の背景にあるもの


あとがき――「社内的に微妙だから」は聞きたくなかった(二〇一一年秋 カリフォルニア州クレアモントにて 牧野洋) [456-462]