著者:盛山 和夫[せいやま・かずお] (1948-) 数理社会学。
NDC:309.1 社会思想 >> 自由主義
【目次】
目次 [i-v]
序章 リベラリズムという思想 001
現代を代表する思想
リベラリズムとは何か
リベラリズムをめぐる日本の言論状況
I ロールズ『正義論』とはなにか
第1章 多元的社会にとっての規範的な原理 015
1 脳死問題で何が問われたか 015
脳死論争
制度の問題
2 規範的な社会理論の探究 022
社会についての規範的理論
相対主義
自制的秩序と規範性
3 現代の規範的社会理論を代表するリベラリズム 029
かつてのリベラリズムと現代のリベラリズム
個人主義
社会を実体視する理論:個人主義が対立するもの
4 多元主義にどう答えるか 039
個人レベルの利害対立
文化の多元主義と寛容の問題
第2章 ロールズ『正義論』の衝撃 045
1 まどろみを破った巨大地震 045
現代の規範的社会理論の震源
道徳哲学・倫理学の状況
功利主義の挫折
2 協働の体系のための原理 056
制度の第一の徳目としての正義
正義の原理
『正義論』の骨格
3 社会の道徳性 067
「正義」の意味
なぜ正義は善に優先するとされたのか
第3章 契約論モデルと内省的均衡 073
1 原初状態の論理 073
無知のヴェールによる不偏的観点
マキシミン・ルール
原初状態におけるゲーム
2 契約というフィクションの規範的な力 083
元来の契約論と世俗的契約論
物語としての契約
ロールズにおける契約論
3 内省的均衡 091
内省的均衡とは何か
『正義論』の実践プロセスとしての内省的均衡
契約論とは異なるものとしての『正義論』
「正義」の二つの意味:正義の諸原理と公正としての正義
4 契約論から重なり合う合意へ 103
ハーサニの批判
合理性から道理性へ
第4章 格差原理とは何か──ロールズの平等理念 111
1 平等主義の課題 112
社会主義の挫折
なぜ平等なのか?
2 格差原理の解釈と批判 118
格差原理
主要ないくつかの批判
格差原理のさまざまな解釈
3 ロールズが格差原理で意味していたこと 125
マキシミン解釈の誤り
ロールズによる説明
発見法としてのマキシミン・ルール
資産平等主義と財産私有民主主義
II 現代リベラリズムの論理
第5章 責任‐平等主義とリベラリズムの深化 143
1 格差原理から平等の純粋理論へ 143
公理への探求
ロールズにおける「運の恣意性」
センの潜在能力論と厚生主義批判
2 責任‐平等主義の展開 154
ドゥオーキンの資源平等論と過酷な不運に対する補償
自然/選択の区別
レーマーの機会の平等:努力という環境
分析的マルクス主義
3 無視された帰結 169
責任‐平等主義の副次作用
心情倫理としての平等主義
4 「責任」の錯覚 174
責任という概念の困難
責任とは社会的に構成されたもの
第6章 自由という価値の理由 185
1 自己決定原理 186
生命倫理の因数分解
危害原理と自己決定領域
2 センのリベラル・パラドックスとその意味 194
チャタレイ夫人の恋人どのようにしたらパラドックスは解消できるか?
センの解決法とそのトリック
コンパートメント化の思想
3 リベラリズムと三つの自由 207
自由の意味と理由
三つの自由
三つの自由と規範的原理
第7章 包括的リベラリズムと限定的リベラリズム 223
1 階層から文化へ 223
文化多元主義という問題
多元主義の難しさ:神々の闘争か
2 リベラリズムの基本諸テーゼ 229
3 コミュニタリアニズムに批判されるリベラリズム 235
サンデルによる「負荷なき自己」批判
テイラーによる「手続き的リベラリズム」批判
4 包括的リベラリズムと限定的リベラリズム 243
ロールズの政治的リベラリズム
公共的理性を持った
道徳的な人々からなる政治的構想
包括的リベラリズムと限定的リベラリズム
第8章 文化の差異とリベラルな価値 259
1 マルチカルチュラリズム(多文化主義) 259
ケベック問題
テイラーとキムリッカの対立
集合的権利と集団別権利
マイノリティ文化に優越するリベラルな価値
2 フェミニズムからのリベラリズム批判 274
公私分離
ケアの倫理
3 文化的中立性の問題 284
普遍的な視点
宗教の自由の意味
政治と文化は分離できるか
中立性テーゼは何をもたらすか
中立ではありえないリベラリズム
第9章 リベラリズムの誤算 299
1 普遍の帝国 299
普遍的な価値
普遍主義と文化の相剋
何が普遍的か
2 正当化可能性の基礎づけ主義 308
正当化という問題
基礎づけ主義
3 超越としての正義とその不可能性 316
正義の中身の欠如
超越としての正義
終章 仮説としての規範的原理 327
構築されたものとしての正義
ローティのリベラル・ユートピア
暫定協定しかないのか:グレイのミニマム・リベラリズム
共通の価値を求めて
あとがき(二〇〇六年四月 盛山和夫) [345-350]
文献一覧 [ix-xix]
事項索引 [iv-viii]
人名索引 [i-iii]