編者:橋本 努
著者:米村 幸太郎
著者:黒石 晋
著者:本郷 亮
著者:若森 みどり
著者:藤田 菜々子
著者:井上 彰
著者:山根 純佳
著者:沖 公祐
著者:鍋島 直樹
著者:桑田 学
著者:根本 志保子
著者:山本 理奈
著者:鳥澤 円
著者:持元 江津子
著者:瀧川 裕貴
著者:吉野 裕介
著者:太子堂 正称
著者:松井 名津
著者:三上 真寛
著者:吉田 昌幸
著者:佐藤 方宣
NDC:331.04 経済思想
NDC:331.2 経済学説史.経済思想史
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b573289.html
【簡易目次】
1 生きるために
1-1 快楽──快楽が多ければよい人生か〔米村幸太郎〕 003
1-2 欲望──なにに/なぜ人間はこれほど駆り立てられるのか〔黒石晋〕 031
1-3 幸福──幸福度研究は経済学に革命をもたらすか〔本郷亮〕 061
1-4 贈与──私たちはなぜ贈り合うのか〔若森みどり〕 087
1-5 労働──理想の仕事とはなにか〔橋本努〕 115
2 善い社会のために
2-1 価値──価値は価格に反映されているのか〔藤田菜々子〕 143
2-2 平等──なぜ平等は基底的な価値といえるのか〔井上彰〕 173
2-3 ケア──両立支援は誰のためか〔山根純佳〕 203
2-4 所有──所有は豊かさをもたらすか〔沖公祐〕 231
2-5 資本主義──なぜ安定と危機の交替を繰り返すのか〔鍋島直樹〕 259
3 経済の倫理
3-1 自然──経済にとって自然とはなにか〔桑田学〕 289
3-2 消費──消費者は環境に責任があるのか〔根本志保子〕 315
3-3 交換──赤ちゃん市場の問題とはなにか〔山本理奈〕 341
3-4 文化と経済──市場は芸術の開花を阻害するか〔鳥澤円〕 367
3-5 芸術の売買──美術市場に道徳はあるのか〔持元江津子〕 397
4 経済の生態
4-1 市場──市場が社会秩序であるとはどういうことか〔瀧川裕貴〕 425
4-2 慣習──生活にどう役立つのか〔吉野裕介〕 451
4-3 嗜癖──アディクションは非合理な行為なのか〔太子堂正称〕 473
4-4 心理──損得勘定に感情は入っていないのか〔松井名津〕 497
4-5 企業組織──なぜ企業は存在するのか〔三上真寛〕 525
4-6 企業家精神──企業家になるとはどういうことか〔吉田昌幸〕 555
4-7 経済神学──経済学者の社会的機能とはなにか〔佐藤方宣〕 581
【目次】
まえがき〔二〇一四年九月 橋本努〕 [i-iv]
目次 [v-xvii]
1 生きるために
1-1 快楽──快楽が多ければよい人生か〔米村幸太郎〕 003
(キーワード:福利、個人的価値、幸福度)
はじめに 003
1 快楽と福利――快楽が多ければよい人生か
2 快楽説の退潮と再生
一 素朴な快楽説とその標準的批判 007
1 快楽説の反直観的帰結
2 快楽の多様性の問題
二 快楽説の再生 013
1 快楽概念の見直しと多様性問題への応答
2 反直観的事例への応答
3 態度的快楽説の暫定的優位
三 快楽説の再生が持つ意義 023
1 幸福の「測定」と哲学的福利論の必要性
2 幸福の測定と福利論――態度的快楽説からの提案
結論 027
注 027
参考文献 028
1-2 欲望──なにに/なぜ人間はこれほど駆り立てられるのか〔黒石晋〕 031
(キーワード:なにか未知なるもの、価値、事後選択)
はじめに 031
一 欲望を論ずるにあたって 032
1 「欲望」の一般的ニュアンス――光と闇
2 「われ思う」から「われ欲す」へ――欲望するヒト
3 七味(重厚)か一味(軽快)か――文学用語と学術用語
二 欲望と欲求――類義語でかつ対義語 034
1 欲望の用語系
2 欲求の用語系
3 欲望と欲求の対照
4 欲望の事後選択と欲求の事前選択
5 欲望の対象
三 欲望の視点からみて価値そして貨幣とはなにか 042
1 欲望と価値、欲求と貨幣
2 貨幣の機能、貨幣と商品
3 商品化の事例――オリンピックの商品化
4 価値の天動説から欲望の地動説へ
四 欲望概念の豊潤な肉づけ―― 一味から七味へ 049
1 事例1 ジラール――模倣の欲望
2 事例2 糸井重里――「ほしいものが、ほしいわ。」
結論 054
注 055
参考文献 058
1-3 幸福──幸福度研究は経済学に革命をもたらすか〔本郷亮〕 061
(キーワード:主観的幸福、幸福度、功利主義)
はじめに 061
一 幸福度研究の概観 062
1 幸福の測定
2 幸福の概念
3 豊かさと幸福
二 幸福の決定因 068
1 「ビッグ・セヴン」――幸福の七大要因
2 家族関係
3 仕事
4 社会関係
5 健康
6 個人の自由
7 個人の価値観
8 遺伝とテレビ
三 実際的応用 076
1 幸福指標の制度化
2 不幸な人たち「幸福」格差と新しいスティグマ
3 政治哲学上の論争
4 外部性
結論 080
注 081
参考文献 083
1-4 贈与──私たちはなぜ贈り合うのか〔若森みどり〕 087
(キーワード:負債、社会関係、循環)
はじめに 087
一 贈与をめぐる問い 088
1 『賢者の贈りもの』
2 モース再来
二 社会的創造性の原理としての贈与 092
1 『贈与論』の主題――全体的給付体系と社会関係の創造的契機
2 『贈与論』最終章の結論から現代へ
3 贈与交換と社会関係
三 負債とはなにか――負債の道徳と階層性 100
四 循環としての贈与――祝祭と円卓 106
結論 108
注 110
参考文献 111
■コラム 災害復興〔若森みどり〕 113
1-5 労働──理想の仕事とはなにか〔橋本努〕 115
(キーワード:拘り、本来性、ルサンチマン)
はじめに 115
一 資本主義の変容と労働の理想 117
1 マルクスの問い
2 労働の「質」への問い
二 他者をもてなす/魂の滋養 120
1 社会的なるものの機能
2 方法的生活の機能
3 「拘り」の発達
三 ルサンチマンの克服と本来性 127
1 四つの類型から絞り込む
2 ルサンチマンを免れた仕事
結論 135
注 136
参考文献 137
■コラム 地理学的批判理論〔橋本努〕 139
2 善い社会のために
2-1 価値──価値は価格に反映されているのか〔藤田菜々子〕 143
(キーワード:倫理、バランス、制度)
はじめに 143
一 「合理的経済人」批判 146
1 合理性の倫理的側面
2 四つの倫理的能力
二 三つの価値――自由・正義・ケア 149
1 自由
2 正義
3 ケア
4 三つの価値の関係性
三 「アリストテレス的経済学」の展望 156
1 意味ある合理性
2 アリストテレス的中庸
3 意味ある効率性
四 価値と制度 161
1 価値領域間を媒介する制度
2 経済学に倫理的価値を取り戻すための制度理解
結論 165
注 167
参考文献 169
■コラム 繁栄の法則〔橋本努〕 171
2-2 平等──なぜ平等は基底的な価値といえるのか〔井上彰〕 173
(キーワード:範囲性質、非個人的価値、反不平等主義、宇宙的価値)
はじめに 173
一 平等の道徳的基礎 175
1 ロールズによる範囲性質の想定
2 カーターによる範囲性質の正当化
二 平等の価値論的基礎 179
1 個人的価値としての平等――ブルームの平等論
2 非個人的価値としての平等――テムキンの平等論
3 ブルーム・テムキン論争
4 ブルーム・テムキン論争の評価と批判的総合
三 極端な平等論から宇宙的価値としての平等へ 189
1 ペアションの極端な平等論
2 ペアションの極端な平等論批判
3 宇宙的価値としての平等
結論 196
注 197
参考文献 199
2-3 ケア──両立支援は誰のためか〔山根純佳〕 203
(キーワード:平等と差異、ケアの社会的評価、ワーク・ライフ・バランス)
はじめに 203
一 ケア提供普遍モデル――平等と差異のジレンマへの解答 204
1 フェミニズムにおける「ケア」
2 ケア提供普遍モデル
二 「正義」の境界の再編 209
1 家族への正義の拡大
2 オーキンの正義論の検討
三 「ケア」を組み込んだ「正義」の再編 213
1 正義論における「依存」と「ケア」の排除
2 「ケア」を前提とした正義
四 ワーク・ライフ・バランスをめぐる「投資」と「選択」の論理 219
1 投資の論理
2 世代間の投資
結論 224
注 225
参考文献 227
2-4 所有──所有は豊かさをもたらすか〔沖公祐〕 231
(キーワード:占有、請求権、コモン・ストック)
はじめに 231
一 所有論の原像 233
1 所有をめぐるロックとスミス
2 プロパティの譲渡可能性
二 「もつ」の多義性 238
1 所有と再生産
2 所有・占有・請求権
三 共と私 245
1 コモン・ストックとその商品化
2 資本と人口
結論 252
注 254
参考文献 256
■コラム ベーシック・インカム〔橋本努〕 258
2-5 資本主義──なぜ安定と危機の交替を繰り返すのか〔鍋島直樹〕 259
(キーワード:社会的蓄積構造、戦後コーポレート・システム、新自由主義)
はじめに 259
一 社会的蓄積構造理論とはなにか 261
1 社会的蓄積構造理論の登場
2 理念的枠組み
3 長期波動とSSA
二 アメリカの戦後SSAの隆盛と瓦解 266
1 アメリカの戦後SSAの隆盛
2 アメリカの戦後SSAの瓦解
三 新自由主義SSAの出現 271
1 新自由主義は新しいSSAか
2 SSAの再定義
四 資本主義はどこへ向かうのか 276
1 新自由主義SSAの矛盾と危機
2 「新自由主義SSA」から「規制されたSSA」へ
結論 280
注 281
参考文献 283
■コラム グローバリゼーションのトリレンマ〔橋本努〕 285
3 経済の倫理
3-1 自然──経済にとって自然とはなにか〔桑田学〕 289
(キーワード:自然の贈与、労働、依存)
はじめに 289
一 反‐自然主義 291
1 二つの自然概念
2 〈自然〉に抗して
二 自然の実在を擁護する 297
1 自然の表層と深層
2 変形型労働と環境調整型労働
三 「自然と計画」再考 305
結論 309
注 310
参考文献 311
■コラム なにもしない〔根本志保子〕 314
3-2 消費──消費者は環境に責任があるのか〔根本志保子〕 315
(キーワード:政治的責任、規範、美徳)
はじめに 315
一 倫理的消費とは 316
1 倫理的消費の定義
2 倫理的消費の類型
二 倫理的消費をどのように解釈するか 319
1 意義と役割――倫理的消費はなにを実現しているのか
2 動機と目的――なぜ倫理的消費を行うか
3 社会的条件――どのような社会が倫理的消費を促進するか
三 消費者はなぜ環境に責任があるといえるのか 327
1 帰結主義と義務論からの理解
(1) 帰結主義的な規範
(2) 義務論からの規範
(3) 消費者が他人・環境・将来世代に対してもたらす「害」
(4) 普遍的な倫理規範の限界
2 徳の倫理からの理解
(1) 消費実践への適合
(2) 「自律的統制の必要」と「消費者の立場」としての美徳
(3) 消費者の「政治的責任」
結論 335
注 337
参考文献 338
■コラム 脱成長〔デクロワサンス〕 〔根本志保子〕 340
3-3 交換──赤ちゃん市場の問題とはなにか〔山本理奈〕 341
(キーワード: 商品化、聖なるもの、貨幣)
はじめに 341
一 交換について考えるために 342
1 V・A・ゼライザーについて
2 紹介論考の位置づけ
二 危険な交換──「聖なるもの」と貨幣の交換 346
1 「危険な交換」とはなにか
2 「危険な交換」の分析を阻む誤った考え
三 赤ちゃん市場──「聖なるもの」の商品化 350
1 赤ちゃん市場をめぐる批判
2 赤ちゃん市場の歴史的形成
四 モラルから公共性の問題へ 354
1 市場の多元性
2 問題の場を移す
結論 361
注 361
参考文献 364
3-4 文化と経済──市場は芸術の開花を阻害するか〔鳥澤円〕 367
(キーワード: 文化政策、大衆文化、古典的自由主義)
はじめに 367
一 市場メカニズムと芸術文化 369
1 芸術市場における「市場の失敗」
2 質と選好形成への懸念
3 多様性と創造性のための構造
二 コーエンの議論 374
1 「文化悲観主義」の克服
2 名声の経済学
3 文化の「創造的破壊」
4 グローバル市場を通じた地域文化の発信
5 政府の役割――アメリカの場合
結論 392
注 392
参考文献 393
■コラム ショック・ドクトリン〔若森みどり〕 395
3-5 芸術の売買──美術市場に道徳はあるのか〔持元江津子〕 397
(キーワード: 美術市場モラル、一次/二次市場、アートディーラー)
はじめに 397
一 現代美術市場について 398
1 一次市場と二次市場
2 一次市場とアートディーラー
3 財としての現代美術作品
二 美術市場モラル 405
1 美術作品の価格と「美術市場モラル」
2 「美術市場モラル」を支えるもの
3 コレクターの購入動機と作品の商品化する
4 前衛美術サーキットと伝統美術サーキット――異なる道徳の意味
三 アート・オークションをめぐって 414
1 チャリティ・アート・オークションと「美術市場モラル」
2 ダミアン・ハーストの反逆とリーマン・ショック
結論 419
注 420
参考文献 420
4 経済の生態
4-1 市場──市場が社会秩序であるとはどういうことか〔瀧川裕貴〕 425
(キーワード: 経済社会学、埋め込み、収穫逓増)
はじめに 425
一 経済社会学における市場論 427
二 生産市場の現象論 430
1 市場の現象論
2 社会秩序の原問題
三 ホワイトのW(y)モデルの概要 433
1 W(y)モデルの概要
2 W(y)の形成メカニズム
四 ホワイトのW(y)モデルの数理的導出 439
1 コスト関数
2 満足関数
3 等価な代替可能性
4 W(y)の導出
5 導出過程と式の解釈
五 市場の分類論 444
結論 447
参考文献 449
4-2 慣習──生活にどう役立つのか〔吉野裕介〕 451
(キーワード:明確化アプローチ、適応的慣習、慣習への順応)
はじめに 451
一 「慣習」の性質 454
1 慣習とはなにか
2 権利と義務
3 慣習への「順応」
二 「慣習」の射程 460
1 「適応的」慣習
2 「明確化」によるアプローチ
3 ハイエクのルール論に対する批判
三 慣習論をめぐって 467
結論 468
注 469
参考文献 470
■コラム 裏切りの効用〔橋本努〕 472
4-3 嗜癖──アディクションは非合理な行為なのか〔太子堂正称〕 473
(キーワード: 嗜癖と合理性、非自律的選好、信念依存性、プリコミットメント)
はじめに 473
一 現代経済学における嗜癖の位置づけ 475
1 個人の合理的選択の結果としての嗜癖
2 行動経済学における嗜癖論
二 「ユリシリーズとセイレーン」――エルスターの嗜癖論 478
1 エルスターの合理性概念
2 嗜癖の二重性
3 嗜癖への戦略としてのプリコミットメント
三 介入政策と集団的意思決定 487
結論 492
注 492
参考文献 494
■コラム 選択〔橋本努〕 496
4-4 心理──損得勘定に感情は入っていないのか〔松井名津〕 497
(キーワード: 感情、理性、意思決定)
はじめに 497
一 経済学における人間像をめぐって 500
二 目標達成までのプロセスとしての心理的効用と経済学理論 503
三 集団的意思決定と選好の首尾一貫性 509
1 相互交渉の文脈性とバイアス
2 個人選好の逆転と評価の文脈
3 選択と心理
結論 519
注 520
参考文献 521
■コラム プロスペクト理論〔本郷亮〕 524
4-5 企業組織──なぜ企業は存在するのか〔三上真寛〕 525
(キーワード: 取引費用、ケイパビリティ、規模)
はじめに 525
一 企業の多様性を捉えるための理論的枠組み 529
二 組織コーディネーションの三つの側面 533
三 不確実性と組織コーディネーション 540
四 企業の成長 544
結論 549
注 552
参考文献 552
■コラム コミットメント契約〔橋本努〕 554
4-6 企業家精神──企業家になるとはどういうことか〔吉田昌幸〕 555
(キーワード: 企業家学習、市場理論、知識の成長理論)
はじめに 555
一 企業家精神習得過程としての学習 577
二 企業家学習論の必要性――カーズナー理論の問題点 560
三 企業家学習論の方法論――知識の成長理論アプローチ 562
四 人間行為の創造的様相としての企業家活動 566
五 企業家の理論体系 570
六 反証主義者としての企業家 573
七 自由に進化する学習メカニズムとしての市場過程 575
結論 578
注 578
参考文献 578
■コラム ソーシャル・ビジネス〔橋本努〕 580
4-7 経済神学──経済学者の社会的機能とはなにか〔佐藤方宣〕 581
(キーワード:宗教としての経済学、市場のパラドクス、効率性の福音)
はじめに 581
一 ネルソンによる「経済神学」論の試み 582
1 ロバート・ネルソンとは
2 「経済神学」というアイデアとその来歴
二 「経済神学」としての現代アメリカ経済学 586
1 ネルソン『宗教としての経済学』の概要
2 ナイトのプロテスタント的懐疑主義とシカゴ学派
三 「経済神学」論の可能性 594
1 「経済神学」論の独自性
2 「経済神学」論の可能性
結論 597
注 598
参考文献 599
事項索引 [xv-xxiii]
人名索引 [vii-xiv]
編著者略歴 [i-vi]