著者:諸富 徹[もろとみ・とおる] (1968-) 財政学、環境経済学。
NDC:345.2 財政 >> 租税 >> 租税史・事情
『私たちはなぜ税金を納めるのか―租税の経済思想史―』 諸富徹 | 新潮社
【目次】
目次 [003-005]
第一章 近代は租税から始まった――市民革命期のイギリス 009
戦争と税金 014
十七世紀の財政危機
一六四三年の新税
名誉革命へ
「家産国家」から「租税国家」へ
官房学の興隆と衰退
ホッブズとロックの租税論 025
租税とは何か
ホッブズの国家論
ロックの国家論
個人と国家のドライな関係、そしてデカルトと哲学
史上初の所得税 037
革命期以前の租税システム
消費税をいかに正当化するか
所得税の誕生
アダム・スミスの消費税反対論 049
グラスゴウ大学講義
『国富論』第五編
「所得」概念と「租税」理論
第二章 国家にとって租税とは何か―― 十九世紀ドイツの財政学 057
国家と個人は一心同体 061
『法の哲学』
有機組織としての国家
ロレンツ・フォン・シュタインの租税理論 067
理念型としての国家と、現実の国家
パリ留学の衝撃
「社会改良」と租税
アドルフ・ワーグナーの国民経済論・租税論 078
ドイツ経済の興隆期
経済活動の動機は一つではない
三つの経済組織
慈善経済論の先見性
社会政策としての「租税」
国家主導の功罪 096
ドイツ財政学と近代日本
ドイツ財政学の現代的遺産
第三章 公平課税を求めて―― 十九・二十世紀アメリカの所得税 101
所得税の成立と廃止 1861〜72 106
戦費調達のために
所得税はなぜ短命に終わったのか
共和党 vs. 民主党 1873〜94 112
人民党とヘンリー・ジョージ
二大政党の激突
「下から」の税制改革
所得税をめぐる複雑なる闘い 1895〜1913 121
所得税は違憲である!
共和党内の新勢力
オルドリッチ上院議員の策謀
憲法改正と所得税恒久化に向けて
税の「主役」交代 1914〜26 136
第一次世界大戦中の税制改革
法人税を政策手段として用いる
ウィルソン政権の遺産
戦争、民主主義、資本主義 146
三つの関係
独占・寡占をめぐる二つのビジョン
第四章 大恐慌の後で――ニューディール税制の挑戦 151
世界大恐慌はなぜ起こったか 156
株式会社とは何か
所得格差の実態
『フォーチュン』誌のアンケート
史上最強の政策課税 162
一九三四年の税制改革
一九三五年の大転換
大統領教書の衝撃
最も過激な法人税
計画主義者とブランダイス主義者
留保利潤税は何をもたらすか
留保利潤税の運命
「政策手段としての租税」再考 184
資本主義の無政府性
政策課税の問題点
市民の「道具」としての租税
第五章 世界税制史の一里塚――二十一世紀のEU金融取引税 195
資本主義経済システムの変貌 199
ニクソン・ショック
金融が資本主義を変えた
ケインズの「美人投票の論理」
リーマン・ショックを予言したミンスキー理論
トービン税とは何か 211
頻発する通貨危機
トービン税の射程
トービン税は非現実的か?
EU金融取引税の挑戦 219
二つの目的
高頻度取引に砂を撒く
金融派生商品に対抗する
「世界税制史の一里塚」へ向けて
イギリスの複雑な心境
第六章 近未来の税制――グローバルタックスの可能性 233
世界の税制にいま何が起きているのか 238
下方シフト現象の背景
下方シフト現象のゆくえ
税制の現実
国際課税のネットワーク 246
居住地原則と源泉地原則
能動所得と受動所得
多国籍企業のタックス・プランニング
グローバルタックスの現在と未来 255
グローバルタックスとは何か
地球温暖化への「適応」資金
フランス「国際連帯税」の先駆性
グローバルタックスはなぜ必要なのか
グローバルタックスはどこへ向かうのか
終章 国境を超えて 269
租税、国家、資本主義
「政策課題」思想の伝統
国境を超える課税権力
私たちは国境を超えられるか
参考文献 [283-295]
あとがき(二〇一三年四月 諸富徹) [296-302]