著者:岩田 規久男 (1942-) 金融論、都市経済学。前・日本銀行副総裁。
NDC:337.9 景気変動:インフレーション,デフレーション
備考:『インフレとデフレ――不安の経済学』(講談社現代新書 1990年)を文庫化。
『インフレとデフレ』(岩田 規久男):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部
【目次】
学術文庫版まえがき [003-005]
目次 [007-011]
序 インフレ・デフレは防げるか 015
スタグフレーションは過去のもの?
たえず心配されるインフレ再発
デフレと株価暴落
第一章 ハイパーインフレと大不況 022
1 ハイパーインフレ――そのとき生活はどうなるか 022
インフレとデフレ
第一次世界大戦後のヨーロッパのインフレ
ドイツのハイパーインフレと人々の生活
ハイパーインフレはなぜ起きたか
ハイパーインフレはなぜ終息したか――レンテンマルクの奇跡
中南米のインフレと財政赤字
2 大不況――最悪のデフレ、そのとき生活はどうなるか 035
豊富の中の貧国
大不況はなぜ起きたか――ケインジアンの見解
大不況はなぜ起きたか――マネタリストの見解
第二章 インフレとデフレの恐ろしさ 045
1 インフレの恐ろしさとそのヘッジ 045
インフレのコスト/インフレによる所得再分配
インフレによる現金に目減りとは何か
インフレからスタグフレーションへ
インフレ・ヘッジの手段
インフレ・ヘッジ手段としての株式
有利でない株の短期売買
2 デフレ・不況の恐ろしさ 060
デフレ・不況のコスト
増大するぜいたくな失業のコスト
第三章 デフレはなぜ起きるか 066
1 ケインズの有効需要の理論 066
大不況が生み出したケインズ経済学
恐慌は不可避の現象か
有効需要の理論
投資乗数の理論と経済変動
投資の二重性とデフレ
投資と金融
マネー・ストックの減少とデフレ
総需要管理政策としての財政政策
価格の硬直性と総需要管理政策
2 ケネディ=ジョンソンの経済政策 082
大不況期の教訓
ケネディによるケインズ政策の採用
失業率の低下と財政金融政策
第四章 インフレはなぜ起きるか(1)――その長期的側面 087
1 貨幣とインフレの長期的関係 087
貨幣(マネー)とは何か
貨幣の供給
貨幣と物価
マネー・ストックとインフレ――素朴な貨幣数量説
基本的関係は成立するか
長期的にみた基本的関係
2 貨幣需要はどう決まるか 101
インフレ率はなぜ、四五度線よりも低いのか
マーシャルのk
マーシャルのkの趨勢的上昇の要因/まとめ
第五章 インフレとデフレの歴史 112
1 金本位制度のメカニズム 112
金本位制度と為替相場
金本位制とマネー・ストック
金本位制度下のインフレとデフレ
国際学派による大不況の原因の解明
2 第一次世界大戦から第二次世界大戦まで 121
第一次世界大戦とインフレーション
第一次世界大戦の終了とデフレ
デフレ下の経済変化
金輸出解禁と昭和恐慌
高橋財政と第二次世界大戦のインフレーション
高橋財政の積極財政
3 高度経済成長期の経済変動 135
成長率循環と在庫循環
固定相場制度の仕組み
国際収支の天井
過剰労働力経済から完全雇用経済へ
第六章 インフレはなぜ起きるか(2)――短期から長期へ 147
1 マネー・ストックと実質経済成長率 147
マネー・ストックとケインズ効果
マネー・ストックと資産価格の変化
株価の変動と景気
現在の実質経済成長率が潜在成長率以下の場合
マネー・ストックの増加率の上昇とマーシャルのk
マネー・ストックとインフレの短期と長期の関係
2 マネー・ストックとフィリップス曲線 160
フィリップス曲線――完全雇用とインフレのトレードオフ
フィリップ曲線と予想インフレ率
名目賃金とインフレの悪循環――自然失業率仮説
財政赤字とインフレーション
スタグフレーションの発生
第七章 スタグフレーションの克服とディスインフレ 174
1 スタグフレーションはなぜ起きるか 174
実質賃金の上昇によるスタグフレーション
インフレ予測と名目金利
予想実質金利の上昇とスタグフレーション
2 ディスインフレとデフレ 180
ディスインフレはなぜ生じたか
金余りのなかで低インフレはなぜ生じたか
戦後、一九九〇年代半ばまで、デフレが起きなかった理由
マネー・ストックの重要性
第八章 コスト・プッシュ・インフレはなぜ起きるか 190
1 賃金プッシュ・インフレと石油ショック 190
賃金プッシュ・インフレ
順応型の財政金融政策
石油ショックとスタグフレーション
石油ショック後の潜在成長率
2 労働市場とインフレ・デフレ 197
実質賃金の伸縮性
日本の賃金はなぜ伸縮的か
第九章 インフレ・デフレをどう予防するか 204
1 経済の自動安定装置と裁量的財政政策 204
財政の自動安定装置
裁量的財政政策とその限界
2 金融政策のあり方 208
名目金利重視の問題点
マネー・ストックの重視
ルール対裁量
日本の場合
市場の学習効果と自動調整機能
3 グローバル・エコノミーと国際協調――変動相場制度の機能 220
変動相場制度と輸入インフレの遮断
中央銀行の為替介入と国際協調
第十章 インフレ目標政策と日本の長期デフレの克服 227
1 インフレ目標政策の成功 227
動学的に不整合な金融政策がスタグフレーションを招く
動学的に整合的なインフレ目標政策の導入
良好なインフレ目標採用主要国のマクロ経済効果
インフレ目標非採用主要国のマクロ経済効果
リーマン・ショック後もデフレは日本だけ
インフレ目標政策とはどのような政策か
実際は伸縮的インフレ目標政策
責任を取る金融政策が信頼される
デフレ阻止のための政策でもある
インフレ目標達成のメカニズム
2 日本の長期デフレの原因と克服策 243
インフレを心配して、デフレに陥る
マネー・ストックの急激な減少がデフレをもたらした
デフレ予想は資産としての貨幣需要を増大させる
デフレ予想がデフレを生む
デフレ予想を生み出した日銀の金融政策レジーム
バブルつぶしの金融政策がデフレ予想を生んだ
マネタリー・ベースと量的緩和
バブル崩壊に対する日米の金融政策の相違
デフレを脱却するには
短期と長期でマネー・ストックの物価に及ぼす効果が異なる理由
バブルの発生を防止するためには、自己資本比率規制が有効
図表データ出所一覧 [272]
あとがき(一九九〇年六月 岩田規久男) [273-275]
学術文庫版あとがき(二〇一二年二月 岩田規久男) [276-278]